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FAIRY DOLL (NUREYEV-DREAMDEAL by SHARPEN UP)

フェアリードールとその牝系

フェアリードールはアメリカでGI勝ちを多く出している9号族のToxophilite Mareの分枝である9-f族であり、なかでもEscutcheonに連なる名牝系の出身で母はアメリカGIモンマスオークスを勝ったDREAMDEAL。
このDREAMDEALの半兄にはGIを7勝したCREME FRAICHEがおり、その母LIKELY EXCHANGEは通算成績72戦23勝というとてつもない成績でGIも制している。
フェアリードール自身は1戦未勝利のまま引退したが、半妹にGI3勝を記録したCLEAR MANDATEもいる良血馬である 。
引退後、社台グループの一角であるノーザンファームによって輸入された。当時産駒が活躍し始めていたサンデーサイレンスを配合されて産まれたトゥザヴィクトリーが初仔となる。
ここ二年間は流産と種付けをしなかったこともあって、今年産まれた2年ぶりの産駒はサンデーサイレンス最終世代の牝馬。

フェアリードールの産駒履歴

トゥザヴィクトリー (サンデーサイレンス) 1996 TO THE VICTORY (SUNDAY SILENCE)
ゴーナウ (トニービン) 1997 GO NOW (TONY BIN)
ビスクドール (サンデーサイレンス) 1998 BISQUE DOLL (SUNDAY SILENCE)
ビーポジティブ (サンデーサイレンス) 1999 BE POSITIVE (SUNDAY SILENCE)
サイレントディール (サンデーサイレンス) 2000 SILENT DEAL (SUNDAY SILENCE)
フェアリードールの03 (サンデーサイレンス) 2003 2005年デビュー予定 (SUNDAY SILENCE)
トゥザヴィクトリーは通算21戦6勝、GIエリザベス女王杯など重賞は4勝で、この他1999年オークス、2001年ドバイワールドカップ2着、2001年フェブラリーS、有馬記念3着など。2002年ドバイワールドカップ11着を最後に引退・繁殖入りした。2003年にクロフネの仔を無事に出産、芦毛の牡馬です。また、2003年も続けてクロフネと配合された模様。2004年はフォーティナイナーが予定されている。
ゴーナウは中央競馬では実績を残せなかったがホッカイドウ競馬に移籍し、14戦13勝という成績を上げている。
ビスクドールは未勝利のまま引退し、繁殖牝馬となった。2003年2月15日に初仔となるキャプテンスティーヴの栗毛の牝馬を出産。
ビーポジティブは現時点で交流重賞であるクイーン賞(交流G3)を含め3勝を挙げている。近走はTCK女王盃、エンプレス杯(交流G2)を2着している。

フェアリードール血統概観

フェアリードールの5代クロス
HYPERION 5*5X5(*6*6*7*7*7)
NATIVE DANCER 4X4
NEARCO 4(*6)X5

ここでも明らかな通り母Fairy DollはHyperionが幾重にも重ねられてきた血統である。このFairy DollへのHyperionの入り方はまずLikely Swapに存在する3X3という濃いクロスがある。これは母父がHyperion直仔のHeliopolisで父は直孫のSwapsというところに由来している。そして次に入ったTerrible Tigerですが、これは父のAmerigoがまさに代を空けたNearcoとHyperionのニックを利用していて、そこにAlibhaiを持つ母を使ってHyperionを4X4にした配合。よってLikely Exchange内には5*5X4*4というクロスが存在することになる。そしてSharpen UpはHyperionを5X3これは父Atanの母父にTudor Minstrel、自身の母父がRockfellaというところに由来。これによってDream Dealは6*4X6*6*5*5とHyperionを持つことになった。さらにここにNureyevを入れたのがFairy Dollで、NureyevはNorthern Dancer由来のHyperionのほかに母父ForliからもHyperionを受け継いで4x4となる。ここまでで入っているHyperionのキーホースは順にHeliopolis、Swaps-Khaled、Your Host-Alibhai、Tudor Minstrel-Owen Tudor、Rockefella、Forli-Aristophanesと多彩ですが、ある意味ではHyperionらしくないかもしれないようなスピード側によったクロスなのかもしれません。特にSwapsは絶大なスピードと距離不問で鳴らした名馬で種牡馬としては母系に入って影響力を行使するタイプなので、Hyperionに拘ったこの配合は継続的にSwapsの影響下に置くということになる。
近親にはCreme Fraicheがいて、これは父にHeliopolis直系のRich Creamをもってきた配合でSwapsを意識したと言うほかない。現在までで唯一頭のBelmont Sを勝ったセン馬でもあるが、この馬の場合はどうもHyperionらしくスタミナがやや過剰なのではなかったのかなという気もする。去勢しなければそこまでの競走成績を残せなかったのを承知で言うが、この馬が種牡馬入りできていたら、まだHeliopolis直系が生き残れていた可能性もあったかと。
サンデーサイレンスの場合、2代母に3X4という形でHyperionが入っている(Montparnasse-Gulf Stream X Hillary-Khaled)にとどまっているので最後の段階で過剰なHyperionをやや避けたと見ることも可能かもしれません。現在Hyperionがクロスしてないような馬なんてほとんどないので母系の5X6くらい大目に見てみる。
サンデー亡き後のこの偉大なる母への配合相手にFrench Deputyが選ばれたようであるが、これはFrench Deputyを看板にしたいノーザンファームの意向が半分、Clear Mandateを意識した分が半分というところではなかろうか。間違いなくノーザンファームはサンデー後の流れとしてFrench Deputy・クロフネ親子を推している節がある。これらとFairy Dollあるいはトゥザヴィクトリーという配合では基本的にアウトブリードとなります。クロスとなるのはNorthern Dancerでクロフネの場合は別ラインからNearcticもクロスすることになりますが、いずれにせよサンデーサイレンスの場合のAlmahmoudが無くなってNorthern Dancerがクロスしてしまうと言うべきなのかもしれません。そしてFrench Deputyの場合はクロフネにせよグラスエイコウオーにせよNorthern Dancer以外のNearcticを抱えているというのは留意すべきでしょう。多分母Blue Avenueが優秀な分クロフネは救われるでしょうけど、French Deputy自身はダート短距離に活路を見出すしかないかもしれません。Fairy Dollとの配合では、この牝系の最重要点でもあるHyperionが薄いのは避けられないか。
Fairy Dollの血統はシンプルではありながらもHyperionへの愚直なまでの拘りが効いているのは間違いないので、そのあたりを意識した配合があってよいとは思う。トゥザヴィクトリーの場合は一旦その流れを切ってしまったという面もあるが、それでもHyperionはかなりの影響を残しているので、再びHyperionを意識するというのもあり。もちろんクロフネの場合はNearcticがその役を担うのだが、かなり遠くなってるので微妙かも知れない。フォーティナイナーだと累代に隠れるようにしてHyperionはいるのだが、むしろSt. Simonにまで遡って母父にいるTom Rolfeに頼った方が良いかもしれない。フォーティナイナーXトゥザヴィクトリーというのはベストトゥベストから行けば常道ではあるのですが、どの程度芝あるいは距離への融通力が残ってくれるか疑問でもあります。ユートピアが芝こなせるんだから問題ないかもしれませんけど。

DREAMDEAL
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