日曜日の夕方5時開始という普通に考えれば悪条件で、まだ2月である寒さも影響したか客入りが悪く、直前でもチケットは余裕であった。相手が動員力のないヴァンフォーレ甲府であったことも要因の一つではあっただろう。これまでは開幕戦チケットなぞまず無理だったが、吹田スタジアムで席数が大幅に増えたこともあって余裕を持てるのは良いことである。一方で開幕戦で空席が多いというのもそれはそれで見た目が悪いのではあるが。
BluSTORIA
吹田スタジアムに移転して新設されたガンバ大阪のミュージアムであるブルストリアをまだ見ていなかったので早めに現地到着して見に行った。
ガンバ大阪としての歴史ではあるが、JSL1部の最終メンバーであった記念証もあって松下電器産業サッカー部を継承している証も残されていた。松下電器産業サッカー部時代の記録や歴史も水口洋次氏などから協力を得てまとめてほしいとは思うところ。もう今でなければ当時の関係者からの聞き取りが難しくなるだろうから。
ガンバ大阪は何と言っても海外クラブとの対戦が多く、それら対戦相手のフラッグが飾られているこの場所こそがクラブの誇りであろう。
まずはヨーロッパ・西アジア・アフリカである。
最上部に燦然と輝く赤は2008年CWCでのマンチェスターユナイテッド。他の欧州チームはかつて親善試合で戦ったものがほとんどであった。
一方、下段中央にあるアラビア語で書かれたフラッグは2008年のACL決勝トーナメントで対戦したシリアのアル・カラーマである。本拠地のホムスはシリアの内戦で市街戦が展開され、ひどく荒廃したとのことである。当時の満員のスタジアムの映像を憶えている。あれからまだ10年経っていない。その間の変化を思うと、何とも無情である。シリアはいまだに情勢が落ち着かないし、元通りになることはないのだろうが、いつか再興されたアル・カラーマと公式戦で試合をすることがあればと思う。
中国は5チーム。対戦経験のある全てのクラブというわけではない。
上段から広州恒大、広州富力、大連実徳、山東魯能、河南建業であった。去年の上海上港だとか昔の天津泰達だとかは掲示されていない。近年のACLだとほぼグループリーグで組み合わせに入ってくるので、ACLに出場するたびに増えるといったところか。
韓国は10チーム分のフラッグがあった。
上段左から順にFCソウル、仁川ユナイテッド、全北現代、蔚山現代、城南FC、水原三星、浦項スティーラーズ、済州ユナイテッド、江原FC、全南ドラゴンズである。ACLに出てくるチームとはほとんど対戦経験があるのではなかろうか。江原FCはPSMとかだと思う。水原三星や浦項など主な獲得タイトルを示しているのは良いな。
オーストラリアはアデレードユナイテッドが2つと残りはメルボルンヴィクトリーである。
オーストラリアのチームでよく当たっているのがこの2チームとは思われる。意外とシドニーFCとは当たらない。
東南アジア。
上段はACLで対戦したタイの2チーム、ブリーラムユナイテッドとチョンブリFCである。ベトナムのダナンやシンガポールのアームドフォーシズもある。今だとほとんどタイのチームが来るのだが、ACLはこうした東南アジアのクラブとのマッチングも面白いところではあった。グループリーグを勝ち上がるという点からはレベルが大きく劣るチームが入ってくると攪乱要因になるので、避けてほしいのではあるが。
南北アメリカ。
ひときわ目立つのがスルガ銀行杯で試合をしたリーベルプレート。スル銀ということで言えば初回のアルセナルFCも見える。そしてガンバの誇りの一つであるCWCのときのパチューカFCもある。公式戦でこうした中南米のクラブと試合をする機会は貴重であるし、
LAギャラクシーとヒューストンダイナモは2008年のパンパシフィック選手権である。大会としてはすぐに終わってしまって継続されなかったものである。ガンバの翌年は大分トリニータが出場したんだったかな。その次はもうなかったように覚えている。プレシーズンにハワイで海外のクラブと2試合してくるというのは確かに負担ではあろうが、チームを作るにあたっては良い機会でもあった。
トロフィー類である。
2008年あたりで、ACLなどのトロフィーや写真が掲示されている。ACLのトロフィーを見ると、その後ろにある写真にも見えるが、あのミネイロの笑顔である。出場機会こそ少なかったが、いつも笑顔であったことが強く印象に残っている。2008年の過密日程のなか、ミネイロのような選手がベンチにいてくれてよかったと思っている。あの時代以前からのファンの皆様には同意いただけるのではないかと思う。
これまでにガンバ大阪に所属した選手の写真がずらっと並ぶ壁面もあり、クラブの歴史がここに刻まれていくという実感があった。こういった場所を持つことができたことも専用スタジアムの意義だろう。今後もここにガンバ大阪の誇りが積み重ねられていくのだと思うとわくわくする気持ちでいっぱいである。そのためには強くあり続けなければならないのも事実であるが。
試合
ガンバ大阪のスターティングイレブンは週中のアデレードユナイテッド戦と変更なしであった。季節が逆の地で戦ってきて中3日かつ移動で1日かけている悪条件の上、怪我等の影響が考えられるプレイヤーもおり、ターンオーバーしないことは裏目に出る予感しかない。ACLに出場する場合はどうしてもこの種の不利はあるので、それをこなす力量がチームに求められる。ターンオーバーは不可欠と考えているので、この日のスターティング発表には失望感があった。
開始直後からガンバの攻勢が続いたが、決定的なチャンスに至ることは少なかったと思う。ヴァンフォーレ甲府は今年も5バックで守備に徹するシステムであるため、前線はボール保持者がすぐに囲まれて自由なプレイができるシーンはほとんどなかった。その上、DFラインの前から小椋が守備をするが、ここで細かく攻撃の起点を防がれているように思えた。
前半も半ばを過ぎると甲府の攻撃を受けるシーンも出てきて、惜しいシーンを作られていた。ここまでのガンバのシステムが中盤をダイヤモンド型配置にするものであるため、サイドのスペースが空いていることが多いため、サイド攻撃を受けるともろさを見せる。後半の失点シーンもそのサイド攻撃への弱さが原因で、がら空きの逆サイドに振られて対処なしであった。このシステムを採用する以上は避けられないリスクで、逆サイドはどこまでカバーするかなどは微調整が必要であろう。
攻撃面では甲府の守備戦術にはめられた印象が強く、特に前半は全体を通してみると低調であった。アデミウソンはテクニックと瞬間のスピードが優れているが、パワーはそれほどでもないので突破力には期待できない。近年の在籍選手で言えばルーカスやリンスと同じタイプでつぶされるシーンも多く、甲府のような守備をするチーム相手だとつらい面が出てしまった。長沢はポストプレイでほぼ勝っていたが、その後の展開が乏しく、甲府のDF陣に囲まれるだけになることが多かった。このあたり、縦に突破できるストライカーが必要ではあるだろう。
ガンバのDFはときおりまずいシーンを作ってしまったが、おおむね安定していた。また、三浦弦太の鋭いフィードが何度も通っており、これは攻撃のパターンとして有力たり得るように思われた。かように明るい要素も見受けられたが、全体としては遠征の疲労が強く見られ、全体的に動きが少なく集中力を欠くシーンも多かった。また連携面はシーズンが始まったばかりということもあり、まだまだ不十分と見えた。交代は堂安、泉澤、初瀬が投入された。ドリブルが武器と言われる泉澤はもっと時間を見たかった。この試合ではドリブルで仕掛けるシーンはほとんど見られなかった。もっとも前線走りこみタイプの藤春とは若干相性が悪いようには見える。
同点のシーンは遠藤のFKから今野が合わせたもの。セットプレイはこういうチームを崩すのに有効で、特に後半はコーナーキックでもチャンスが多く、最後になってようやく結果になった。もっともそのためには必要なエリアで仕掛けてファールをとるということが重要になるのだが、この試合では良い位置のFKは少なかった。これもチームとしてクリアしなければいけない課題ではあるだろう。
さて、ヴァンフォーレ甲府。今年も守備的な試合運びであるが、カウンターに威力があり、かなり厄介な相手であった。また、小椋の加入はかなり大きく、DFラインの前からあの守備力に張りつかれると崩しにかかるまえの問題となる。ファールで止めるところもわきまえているし、プレイスタイルに合う良いチームに行けたのではないかと。ガンバではポジションを得られなかったが、活躍してほしいと思う選手である。
DAZNによる中継配信など
DAZNについては今回現地に行くことを決めたのでまだである。dアカウントで契約する予定なので3月に入ってからで十分と判断していた。土曜日の開幕戦でも川崎フロンターレの試合で映像が粗いという情報があり気になっていたが、この日のガンバの試合は配信そのものに問題があったらしい。二日続けて問題が発生し、どうやら違う原因でありそう。
結果的にJリーグがYoutubeを使って試合映像の公開に踏み切ったため、帰宅後に中継映像を確認することができた。