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July 02, 2006

2004年の欧州古馬牝馬路線改革の一つの成果

欧州上半期はまずちょっと違う方向から切り込んでみようかとは思います。要するにOuija Boardが勝つわ、Prideが勝つわと牝馬スキーの血が騒ぐような結果を連発しやがったので突発的にやったろうかなと思ったんではありますが、実はこの2頭はその恩恵を受けてないんですね。まあAlex勝ったしやっちまうか。
周知のとおり、欧州では2004年に牝馬限定戦の大幅な見直しが行われて、多くのレースがGIに昇格しました。
まず2003年以前からGI格を得ていたのが次の3レース。
このうちYorkshire Oaksは由緒あるオークスとして「おまいらとは格が違うんだよ、格が」とでも言いたげに1971年に重賞の格付けが始まった当初からGI格を維持。3歳馬限定から古馬に開放されたのが1991年。Nassau Sは1999年、Prix de l'Operaは2000年からGI昇格。
そんなわけでNassau Sの昇格からようやく、少しずつ古馬牝馬路線のレースが整備されつつある状況ではあったが、北米への流出は止まらずというのも事実として存在していました。この状況を一気に打開しようとしたのが2004年の改革であり、このときGIに昇格したのが以下のレース。
更にはPrix Vermeilleが4歳馬に解放されています。
2004年になっていきなり古馬の出走できる牝馬限定GIが3倍になったわけで、当初は増やしすぎだろと思ったし、馬名を出すのは失礼かも知れんがFavourable TermsやMarbyeがGI馬で良いのかねと思ったのも事実。
ここで注目されるべきはそれまで皆無であったマイルGIが一気に4レースとなり、数の上で10Fレースと並んだ事でしょう。その一方で12FとなるとPrix Vermeilleが4歳馬に解放された程度で相変わらずこの距離の目標はYorkshire Oaks程度しか存在しないです。まあこのあたりは現状、牝馬限定の12F戦なんてGIにしても出走馬を集められないという判断が働いたんでしょう。そしてもう一つ理由として考えられるのが、この改革全体のターゲットが北米への流出阻止であると言う事です。
ということでまずはGIとなった後の勝ち馬をとりあえず見ておこう。
■Falmouth S: Soviet Songが連覇
■Sun Chariot S: Attraction、Peeress
■Pretty PollyS: Chorist、Alexander Goldrun
■Matron S: Soviet Song、Attraction
■Astarte: Marbye、Divine Proportions
■Lydia Tessio: Lune d'Or、Dubai Surprise
■Nassau S: Favourable Terms、Alexander Goldrun
■Yorkshire Oaks: Quiff、Punctilious
■Opera: Alexander Goldrun、Kinnaird
この改革の恩恵を最大限に受けているのがAlexander GoldrunとSoviet Songということになるか。改めてみるとAttractionも結構コレに救われた印象はあるが。2頭とも牝馬限定戦を戦いつつ、牡馬相手のGIでも実績を残している。Soviet SongはFalmouth SがGIで無かったら今年の目標を喪失していたわけでわざわざ今年一年の現役続行を選ばなかったのではなかろうかという気はしている。Alexander Goldrunは牡馬相手の10Fに出走して、そこそこには走ったろうが、やはりこれほどの実績は挙げられなかっただろう。逆にこういったレースを勝ちながら狙い済まして牡馬挑戦という形がIrish Champion Sではあったのだし。Attractionに対してもこの英愛1000ギニーを無敗で駆け抜けた稀代の名牝に引退の花道を与えたとなれば十分に役割を果たしたと考えられます。
比較用の資料として北米の牝馬限定の芝GIが次のようになります。もちろん古馬が出るレースだけ。ここ2年の勝ち馬も合わせて出すかな。
この中でBC FMTとE.P. Taylor Sは1999年から、Diana Sは2003年からとなりますが、一方ではSanta AnitaにSanta Ana、Santa Barbaraの2レースが1996年と1995年までGIとして存在し、HollywoodではBeverly Hills Hが2002年までGI格を維持していました。これらのレースはMatriarch Sの8Fがありますが、それ以外は9F-10Fに集中しており、欧州の事情とあわせて考えるに中距離馬の流出は避けられないという形になっていました。Alexander Goldrunなんてあっさりこういうレースを目指して移籍してもおかしくは無かったろうと思うところではあります。
GIはあまり勝っていないが目立つのはMegahertzでこれはもともとフランスからの移籍馬、他にはMusical Chimes、Amorama、Intercontinental、Light Jig、Commercante、Angaraと言ったところが移籍組。一方北米叩き上げはRiskaverseとかSandspringsとかWonder Againとかかな。全部Dynaformerの娘やんけ。Crimson Palaceは南アフリカからの刺客。しかし移籍馬の中で欧州での実績を誇れるほどのものとなるとIntercontinentalとMusical Chimesの2頭ではあるかな。Intercontinentalは2003年の1000ギニーでRussian Rhythm、Six Perfections、Soviet Songと激突して3着。Musical Chimesはその年の仏ギニー馬。
それでこの後もLaticeが北米に移籍となった時点では状況は変わってないなという印象を持ちましたが、その後にはギニーやオークスでの実績を持つ馬の移籍が無くなっているんですよね。去年なんかはレベルの問題に帰着されるのかもしれないですが、今年のGamely BCHとかそれに向かうSanta Anitaの芝戦なんかを見ても、これまで以上に北米芝牝馬の層が薄いというのは感じられるところで、欧州で低迷して北米で開花というパターンになる移籍も減っているのだろうと思わされます。
ということは欧州の牝馬は逆に層が厚くなっていると考えられ、Pretty Pollyでも3歳馬は返り討ちにあっていますが、この辺も少しはかわいそうなところがあるよなと思わんでもないです。Alexander Goldrunのような古馬とこんな時期に戦わなければならないのは不運でしょう。ま、それでも言い訳できないような大敗を喫したわけですが、世代のレベルはある程度その上の世代をどうやって倒すかという部分によるわけで、これまでならもう既に引退していたり、北米に渡ってしまったりしていなくなってるような古馬がたくさん残っているという点は考慮にいれるべきではあるかなと。
中距離までの路線はこのような事情があるんですが、12Fとなると話は全く異なります。アメリカに行ったところでやる事が無いので、この路線は欧州残留。近いところでもIslington、Vallee Enchanteeがいましたし、現役のOuija Board、Prideも抱えている事情は同じ。欧州に残留するしかないし、レースが限られているのでGIに出てくるなら牡馬相手に戦うしかないという部分はあるのです。そんなわけで元々この10F-12F路線というのは結構牝馬がGIで牡馬を倒すシーンがみられるというところはあって、偶々Ouija Board、Prideと連続しましただけじゃねえかなとは思う。
ま、2000年代に入ってちょっとそういう活躍をする牝馬が減っているというところもありますが、これは最初に出したように、GIの整備というところはあってNassau SとPrix de l'OperaのGI昇格の影響かなとも思います。ということで更にGIが増えた現在ではその傾向が強くなるんではないかと思わんでも無い状況でしたが、Ouija BoardやPrideというその恩恵に浴することの出来ない牝馬が牡馬相手に勝ったり、Peeress、Soviet Song、Alexander Goldrunなどが牡馬に伍する結果を残すのですから、層の厚さがよい結果を生んでいるとは言えるでしょう。尤も今後4歳、3歳から上位に食い込める馬が現れてこないと来年以降が怖そうではありますが。
さて、Alexander Goldrunに対置されるべき存在としてAlboradaを挙げておきましょう。Champion S連覇で知られる馬ですが、当時はGIIのNassau SやPretty Polly Sも勝っているわけでGIがちゃんと整備されていたらもっと華々しいレースキャリアを手に入れていたのではないかなと思う反面、これらのレースがGIではなく、古馬にとって全く魅力が無かったというのもあるか。実際Alborada自身が4歳ではGI昇格直後のNassau Sには出走したものの、GIIだったPretty Polly Sには出走していないわけだし。また同時期にShivaも活躍していたわけで、こっちも今程度にGIがあればなという馬ではあるかな。
ということで今後Alexander Goldrunにおかれましては、牡馬挑戦ならびに再度の12F挑戦を敢行していただきたく。

Posted by Marius : July 2, 2006 03:31 AM

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