ハンプトン系最大の繁栄を誇ったのはハイペリオンから派生する系統です。
ハイペリオンは種牡馬となり大成功を収め、20世紀半ばにその子孫は世界中で繁栄を極めました。
一時はネアルコ(NEARCO)系を凌ぐ支配力を持ちましたが、ネアルコ後継種牡馬の前に次第に母系に埋没して現在では衰退の道を歩んでいます。
ハイペリオンの血統的な特徴はガロピン、セントサイモンの濃いクロスです。
当時すでに主流から外れていたセントサイモンの血を受け継いでいることになります。
ハイペリオンの母はチョーサーの産駒で他にシックル(SICKLE)、ファラモンド(PHARAMOND)を産んだ名牝シリーニ(SELENE)です。
ハイペリオンから派生した系統としては、ロックフェラ(ROCKEFELLA)、ケーレッド(KHALED)、オーエンテューダー(OWEN TUDOR)、オリオール(AUREOLE)、アリバイ(ALIBHAI)、アリストファネス(ARISTOPHANES)、ホーンビーム(HORN BEAM)、スターダスト(STARDUST)、ヘリオポリス(HELIOPOLIS)など多彩で、日本にも多くの種牡馬が輸入されました。
しかし現在ではこれらハイペリオンの系統は影響力を失い、マイナー血脈と化しています。
アリストファネスは南米に渡って種牡馬となり大成功を収めました。産駒のフォルリ(FORLI)はアルゼンチンの四冠馬となってアメリカに渡り、種牡馬となってからはフォアゴー(FOREGO)やサッチ(THATCH)を出した他、名牝スペシャル(SPECIAL)の父となりました。フォアゴーはセン馬で種牡馬にはなれませんでしたが、サッチはサッチング(THATCHING)からチロル(TIROL)やシャルフォード(SHALFORD)が出ています。フォルリの産駒には他にポッセ(POSSE)、フォルミダブル(FORMIDABLE)がいて、それぞれシェリフズスター(SHERIFF'S STAR)、エフィシオ(EFISIO)が出ています。
セイウンスカイはシェリフズスターの血をひく唯一の種牡馬として活躍が期待されています。
オーエンテューダーからはテューダーミンストレル(TUDOR MINSTREL)が出て、スピードのあるハイペリオン系として栄え、現在ではカドゥージェネルー(CADEAUX GENERUEX)に受け継がれています。スターダストは産駒のスターキングダム(STAR KINGDOM)がオセアニアで一大勢力を築きました。
多くのハイペリオン後継種牡馬の血統は現在にいたって断絶状態にあります。ロックフェラは日本に輸入されたチャイナロック(CHINA ROCK)がハイセイコーやタケシバオーを出して大成功を収めましたが、内国産種牡馬不遇の時代に直系は失われました。と思っていましたが、ハイセイコーからカツラノハイセイコと来てテツノセンゴクオーが種牡馬入りしたようです。あとハクタイセイも完全に種牡馬引退となったわけではないようです。ホーンビームはインターメゾ(INTERMEZZO)からグリーングラスが出ていますが、グリーングラスは後継に恵まれませんでした。ケーレッドからはスワップス(SWAPS)が出て、シャトーゲイ(CHATEAUGAY)に繋がります。ヘリオポリスはアメリカのスピードを持った種牡馬でその産駒のオリンピア(OLYMPIA)とともに北米血統の母系でスピードを与えています。ヘリオポリスの血統からはリッチクリーム(RICH CREAM)が出ましたが、代表産駒となったクレームフレッシュ(CREME FRAICHE)はセン馬で種牡馬になれずに終わりました。オリオール系からはセントクレスピン(ST. CRESPIN)やゲイメセン(GAY MECENE)が出て、日本に合う血統でした。
ほとんどのハイペリオン系種牡馬は母系に入って産駒にスタミナと底力を与える役割を担っています。
この母父としての影響力の大きさは、ハイペリオン系を母系に埋もれされる結果となってしまいました。
ハイペリオン系は総じてネアルコの系統と相性がよく、このハイペリオン系とネアルコ系の組み合わせによる配合は数々の名馬を送り出しました。
しかし直接ハイペリオンとネアルコを組み合わせる配合ではほとんど成功せず、代を経た配合が主流でした。
ほとんど唯一の例外となるのがネアルコの産駒でハイペリオンを母父に持ったニアークティック(NEARCTIC)で、ノーザンダンサー(NORTHERN DANCER)の父となりました。