今更Ebor開幕。とか言いつつ。
Racing Postのトップにも出てくるくらいなのだからZenno Rob Royへの期待あるいは注目というのはかなり高いのだろう。最もAceやElectrocutionistが人気を競うというこのメンバー相手に負けて欲しくないというところはあります。この頭数で単勝4.5倍も付くならそれなりに勝負したいと思うようなところかなと。問題は藤沢厩舎の馬をいまいち信頼しきれないところがあったり、陣営的には慣れているはずではあるとはいえ、馬は初めての海外遠征となるところですかね。RPRでの評価は133で、これはAce、Electrocutionistと同じ。この上に135のNorse Dancerがいるのですが、この馬は勝ち味に遠いというところがあるためか4番人気。でも、ここを落としたらもう次は無いだろうというくらいのGIを取るチャンスではあるでしょうから、一番警戒しておかないといけないのはNorse Dancerという事になるのではないかなとは思う。ElectrocutionistはイタリアのGI馬で立場的にはZenno Rob Royと同じようなものでしょう。Racing PostではZenno Rob Royを上に評価しているようではあります。Aceは今年はGIばかりを走って、大崩れしたのは前走のKing Georgeだけ。メンバーが一気に軽くなったここならというところはあるでしょう。Doyenは今年になっても散々でやはりこの馬はAscotの12Fではなかろうかと。
1.Electrocutionist: Red Ransom - Elbaaha by Arazi
2.Zenno Rob Roy: Sunday Silence - Roamin Rachel by Mining
3.Maraahel: Alzao - Nasanice by Nashwan
4.Ace: Danehill - Tea House by Sassafras
5.Norse Dancer: Halling - River Patrol by Rousillon
6.Doyen: Sadler's Wells - Moon Cuctas by Kris
7.New Morning: Sadler's Wells - Hellenic by Darshaan
惜しかったなあというのが、終わった直後に思ったこと。ElectrocutionistにKinaneが乗っていて、Zenno Rob Royの後ろから襲い掛かる形になったのが不運といえば不運か。とはいえElectrocutionistはこれで7戦6勝。重馬場得意のShiroccoに一度だけやられたことがあるもののこれまでのところ底を見せていないとも言え、この先どのレースに使うか分かりませんが、その評価はまだこの後に固まっていくような馬ではあります。そういう意味ではこれから強いメンバー相手に使われて、そこでどこまでやれるか注目していきたいところではあるか。
Zenno Rob Royとしてはやや前が詰まるような形になったようで、そこは藤沢厩舎の優等生的なこの馬には堪える部分ではあったか。スムーズに行ってももっと際どい勝負くらいだったかもしれないが。
僅差の3着にMaraahelが来てるあたりでややレベルに疑問をもたれそうな気もするが、その分Electrocutionistの今後の活躍に期待というところで。
Aceは最終的にやや抜けた一番人気になりましたが、やはりGIを勝てるクラスの馬とはいえないか。Norse DancerはAzamourがいないとこんなものなのですかねえ…。ま、らしいといえばらしいね。Doyenはもう終わったか。
とかやってると怒られそうですが、そんなものだろうと思えるところもあるしねえ。Red Ransomは近年は主に欧州に活躍馬を送るRoberto後継種牡馬で、故障もあって現役成績は3戦2勝に止まりますが、そのレースで能力の高さを見せていたことと隙のない血統で活躍馬を送り出す種牡馬になりました。Electrocutionistは母系にArazi、Ela-Mana-Mouが入り底支えをする形ではあり、欧州的な瞬発力とパワーを要求されるレースになってゼンノロブロイを差したというところでしょう。一方のゼンノロブロイは母父にMr. Prospector系を持ってくるサンデーサイレンス産駒としてはこれ以上にない完成度の血統です。サンデーサイレンスに対するMr. Prospectorの使い方は、Mr. Prospector X Buckpasserという形を入れるのが成功パターンで、Buckpasserの母BusandaとHail to Reasonの母NothirdchanceがBlue Larkspur、Man o'War、Teddyを共有し、Buckpasserの直父祖であるPharamondがHaloの母父Cosmic Bombの父として入る形になります。このMr. Prospector X Buckpasserという組み合わせでMiswakiがサイレンススズカを出すなどしており、ある程度ニッキングといえるパターン。ゼンノロブロイはそれに加えてサンデーサイレンスが好むスピードタイプのHyperionのHeliopolisが入りますし、MiningがGoodbye Haloの近親だったり、Roamin Rachel自身活躍馬できょうだいもMiningを父とした活躍馬が揃うという牝系の確度の高さも、サンデーサイレンスという種牡馬が特意とするタイプではあったでしょう。ただ、ここまでの仕掛けをもってしても、あるいはこれだけやった結果欧州への適応力を減じたか、ゼンノロブロイはElectrocutionistの切れ味の前に屈する結果になりました。そんなわけなのでこの馬Arlington Millionとかだったらあっさり勝ったかもしれないし、BC Turfくらい走ってくれば良いのにとかは思う。
そう思うが、ゼンノロブロイはこのまま帰ってきて、秋のGI3連戦に備えるのだそうで、つまんないね。それならわざわざアメリカに行けとは言わないからせめてIrish Championくらいとは見てるだけの勝手な意見ではあるのですけども。レース映像を見て何となくゼンノロブロイらしいという気もしました。ああいう不利を受けやすいところにいてきっちり受けてしまうというのは菊花賞とか今年の宝塚記念でも結局不利を捌き切れずに負けているので、そこまでの底力は持ってないということなのでしょう。逆に多少相手が強くなっても付いていけるところはあるのではないかなとも思ったわけで、だからIrish Championくらいはと。
不利を受けて負けたのはゼンノロブロイという馬がそういう馬なのだということのほうが大きく、少頭数であんな不利を受けた事で騎手に対する非難もありますが、頭数が少なかろうが向こうのレースは結構ああいった展開になりやすいとは思います。そこをぶち抜いていける一部の馬が真に強い馬として称されることになるのではないかと。
No. | Post | Horse | Sire | Dam | Broodmare Sire | Jockey | Trainer |
1 | 1 | Ace | Danehill | Tea House | Sassafras | K. Fallon | A.P. O'Brien |
2 | 7 | Doyen | Sadler's Wells | Moon Cuctas | Kris | K. McEvoy | Saeed bin Suroor |
3 | 5 | Electrocutionist | Red Ransom | Elbaaha | Arazi | M.J. Kinane | V. Valiani |
4 | 2 | Maraahel | Alzao | Nasanice | Nashwan | R. Hills | Sir Michael Stoute |
5 | 3 | Norse Dancer | Halling | River Patrol | Rousillon | J.F. Eagan | D.R.C. Elsworth |
6 | 6 | Zenno Rob Roy | Sunday Silence | Roamin Rachel | Mining | Y. Take | Kazuo Fujisawa |
7 | 4 | New Morning | Sadler's Wells | Hellenic | Darshaan | P. Robinson | M.A. Jarvis |
RESULT
んで、結果。1.Electrocutionist: Red Ransom - Elbaaha by Arazi
2.Zenno Rob Roy: Sunday Silence - Roamin Rachel by Mining
3.Maraahel: Alzao - Nasanice by Nashwan
4.Ace: Danehill - Tea House by Sassafras
5.Norse Dancer: Halling - River Patrol by Rousillon
6.Doyen: Sadler's Wells - Moon Cuctas by Kris
7.New Morning: Sadler's Wells - Hellenic by Darshaan
惜しかったなあというのが、終わった直後に思ったこと。ElectrocutionistにKinaneが乗っていて、Zenno Rob Royの後ろから襲い掛かる形になったのが不運といえば不運か。とはいえElectrocutionistはこれで7戦6勝。重馬場得意のShiroccoに一度だけやられたことがあるもののこれまでのところ底を見せていないとも言え、この先どのレースに使うか分かりませんが、その評価はまだこの後に固まっていくような馬ではあります。そういう意味ではこれから強いメンバー相手に使われて、そこでどこまでやれるか注目していきたいところではあるか。
Zenno Rob Royとしてはやや前が詰まるような形になったようで、そこは藤沢厩舎の優等生的なこの馬には堪える部分ではあったか。スムーズに行ってももっと際どい勝負くらいだったかもしれないが。
僅差の3着にMaraahelが来てるあたりでややレベルに疑問をもたれそうな気もするが、その分Electrocutionistの今後の活躍に期待というところで。
Aceは最終的にやや抜けた一番人気になりましたが、やはりGIを勝てるクラスの馬とはいえないか。Norse DancerはAzamourがいないとこんなものなのですかねえ…。ま、らしいといえばらしいね。Doyenはもう終わったか。
Post Script
欧州の芝においてはRoberto >> Halo、Q.E.D.とかやってると怒られそうですが、そんなものだろうと思えるところもあるしねえ。Red Ransomは近年は主に欧州に活躍馬を送るRoberto後継種牡馬で、故障もあって現役成績は3戦2勝に止まりますが、そのレースで能力の高さを見せていたことと隙のない血統で活躍馬を送り出す種牡馬になりました。Electrocutionistは母系にArazi、Ela-Mana-Mouが入り底支えをする形ではあり、欧州的な瞬発力とパワーを要求されるレースになってゼンノロブロイを差したというところでしょう。一方のゼンノロブロイは母父にMr. Prospector系を持ってくるサンデーサイレンス産駒としてはこれ以上にない完成度の血統です。サンデーサイレンスに対するMr. Prospectorの使い方は、Mr. Prospector X Buckpasserという形を入れるのが成功パターンで、Buckpasserの母BusandaとHail to Reasonの母NothirdchanceがBlue Larkspur、Man o'War、Teddyを共有し、Buckpasserの直父祖であるPharamondがHaloの母父Cosmic Bombの父として入る形になります。このMr. Prospector X Buckpasserという組み合わせでMiswakiがサイレンススズカを出すなどしており、ある程度ニッキングといえるパターン。ゼンノロブロイはそれに加えてサンデーサイレンスが好むスピードタイプのHyperionのHeliopolisが入りますし、MiningがGoodbye Haloの近親だったり、Roamin Rachel自身活躍馬できょうだいもMiningを父とした活躍馬が揃うという牝系の確度の高さも、サンデーサイレンスという種牡馬が特意とするタイプではあったでしょう。ただ、ここまでの仕掛けをもってしても、あるいはこれだけやった結果欧州への適応力を減じたか、ゼンノロブロイはElectrocutionistの切れ味の前に屈する結果になりました。そんなわけなのでこの馬Arlington Millionとかだったらあっさり勝ったかもしれないし、BC Turfくらい走ってくれば良いのにとかは思う。
そう思うが、ゼンノロブロイはこのまま帰ってきて、秋のGI3連戦に備えるのだそうで、つまんないね。それならわざわざアメリカに行けとは言わないからせめてIrish Championくらいとは見てるだけの勝手な意見ではあるのですけども。レース映像を見て何となくゼンノロブロイらしいという気もしました。ああいう不利を受けやすいところにいてきっちり受けてしまうというのは菊花賞とか今年の宝塚記念でも結局不利を捌き切れずに負けているので、そこまでの底力は持ってないということなのでしょう。逆に多少相手が強くなっても付いていけるところはあるのではないかなとも思ったわけで、だからIrish Championくらいはと。
不利を受けて負けたのはゼンノロブロイという馬がそういう馬なのだということのほうが大きく、少頭数であんな不利を受けた事で騎手に対する非難もありますが、頭数が少なかろうが向こうのレースは結構ああいった展開になりやすいとは思います。そこをぶち抜いていける一部の馬が真に強い馬として称されることになるのではないかと。