No. | Post | Horse | Sire | Dam | Broodmare Sire | Jockey | Trainer |
1 | 2 | Deep Impact | Sunday Silence | Wind in Her Hair | Alzao | Y. Take | Y. Ikee |
2 | 1 | Hurricane Run | Montjeu | Hold On | Surumu | K. Fallon | A. Fabre |
3 | 6 | Shirocco | Monsun | So Sedulous | The Minstrel | C. Soumillon | A. Fabre |
4 | 5 | Pride | Peintre Celebre | Specificity | Alleged | C. Lemaire | A. de Royar-Dupre |
5 | 4 | Rail Link | Dansili | Docklands | Theatrical | S. Pasquier | A. Fabre |
6 | 8 | Sixties Icon | Galileo | Love Divine | Diesis | L. Dettori | J. Noseda |
7 | 7 | Irish Wells | Poliglote | Sign of the Vine | Kendor | D. Boeuf | F. Rohaut |
8 | 3 | Best Name | King's Best | Flawly | Old Vic | O. Peslier | Robert Collet |
出走8頭と例年に無く少ない頭数で争われる凱旋門賞ながら、メンバーは例年に遜色の無いものとなった。
2枠のDeep Impactは宝塚記念以来のレースではあるものの、この舞台に休み明けだからなどという言い訳が通用するはずの無い事は何よりも陣営が知っていようし、それなりの準備をして、そしてそれは結局のところこの馬のいつも通りに、何一つ破綻することなくレース当日を迎えられそうではある。そして、三冠を無敗で成し遂げたときにも聞かれた運の良い馬という評価はある意味正しいのだろう。思いもよらず凱旋門賞で出走頭数が10頭を割り込んだということは、特に馬群の外を回して差すというスタイルのDeep Impactにとっては幸運であるというほかは無い。Hurricane RunとBest Nameに挟まれた2番枠もそう悪いものではないと思える。この8頭の中で最も勝ち目の薄いのがBest Nameである。そしてその鞍上はO. Peslierであり、DettoriやSoumillonではない。シーズンオフには日本で乗るPeslierがわざわざ社台の不興を買うようなマネは、すまい。
Hurricane Runは最内1番枠を引いた。昨年Shawandaがスタート直後に終了するなど、凱旋門賞における1番枠は死に枠であるとも言われるが、今回は少頭数のレースとなったことでその危険性は大きく減じている。更に隣がおそらく後からの競馬となるであろうDeep Impactであり、その隣のBest NameにはHurricane Runをどうにかするような力は無いだろう。となれば彼にとって最内は絶好枠に転ずる。今年のキングジョージにも見られるようにこの馬は最内から直線で伸びる競馬で勝つ馬である。労せずしてその埒沿いを最後まで走りきれるのだからこれは願っても無いというべきか。Hurricane Runに先着した馬はこれまでに3頭である。Shamardal、Pride、Shiroccoがその全てであり、そのうち2400mのレースでそれをやってのけた2頭はそのときのパートナーをそのままに再びHurricane Runに襲い掛かってくるであろう。良い枠こそ手に入れたが、それでも厳しいレースに間違いは無い。
Shiroccoは最終的にLongchampにおいて最も頼りになるC. Soumillonを確保できた事は大きい。前走でもShiroccoに乗り、Hurricane Runを下しているのだし、キングジョージではそのHurricane Runをして勝たせしめている。SoumillonはHurricane Runがどのような馬であるかを熟知出来る立場にいて、それに勝つためにLongchampで何をすれば良いのかもはっきりとイメージしているだろう。そのSoumillonのイメージにShiroccoが付いていけたならHurricane Runはその前にあっさりと敗北を喫するのではないか。おそらくまだ若い牝馬のMandeshaでは斤量差の恩恵を以ってしてもそれは成せなかったろうが、古馬として充実したShiroccoを以ってすればとSoumillonはイメージしているに違いない。取れたはずのいくつかのGIを捨て置いてもこのレースをというUllmann男爵の判断はShiroccoをHurricane Runに対して優位に立たせていると言えるだろう。
PrideはRail Linkにさえ劣る5番人気という評価だが、Prix FoyでのパフォーマンスはShirocco、Hurricane Runにも引けを取らない見事なものである。Prideは過去2年凱旋門賞の舞台を踏んだ。そしてこれが三度目。凱旋門賞マニア(by Winning Post)である。とはいえ今年は過去2年とは異なり、シーズンの早い時期からはっきりとこのレースを勝つことを目標にして来ている。それはShiroccoがやったのと同じよう方法で、PrideもGrand Prix Saint-Cloudを制した後はレースを使わず、Prix Foyを一叩きしての本番となった。フランスにその名も高きAlain de Royar-Dupre厩舎は本気でこのPrideで凱旋門賞を取りにきているのだ。そしてそのパートナーであるC. LemaireはHeart's CryでDeep Impactの追撃を振り切り、Prideを駆ってHurricane Runを差しきった騎手であるという事はもっと警戒されるべきであるだろう。King GeorgeにおけるHeart's Cryの騎乗は褒められたものではなかったが、ここはフランス、Longchampである。その種の心配は無用。
3歳馬を代表しての参戦とも言えるRail Linkではあるが、彼は最強の3歳馬ではないだろう。おそらく直接対決となればDylan Thomasに分があろうし、ここにSir Percyがしっかりと調整されてやってきていたらという気持ちはある。その面ではDragon Dancerが最終的に出走しないと言う判断を下したのは残念だ。それでもフランスの真なるDerby馬Rail Linkがその2頭の、英愛のDerby馬に優る部分があるとすれば、Longchampの2400mを3連勝してきたということに尽きる。その3戦の相手が強かったかと言えば、否である。しかし、コース巧者である事は否定できない。
Deep Impactとしてはこの馬の常のようにスタートから1頭やや遅れるような形で最後方となるのではなかろうか。これを総掛かりで包みに来るようなマネをする余裕はあるのか。William HillなどはDeep Impact、Hurricane Run、Shiroccoの3頭を3.5倍で並べてしまうほどの3強鼎立の混戦である。それにスローペースになろうが、Deep Impactという馬は自分のペースを刻むだけで勝手に行ってしまうような超然としたところがある。そういう部分から不利を受ける可能性はあまり無いと言えるだろう。
Hurricane RunとShiroccoはFabre厩舎のステーブルメイトであるとはいえ、オーナーは異なる。このレースにそれぞれ賭けるものがある。Hurricane Runは父親が掴み損ねた栄光をその手にしようとするのだし、ShiroccoはUllmann男爵の夢である。同じ厩舎だからというような理由でのチームプレイなどあり得ない。ベストな臨戦から機を窺うRail Linkもいれば、Prideの実力もまた非凡である。
Deep Impactは、Takeがその末脚の持続する距離を見誤りでもしない限り、後から差されるという事は無いだろう。フォルスストレートで、最後の軽いコーナーで、外から捲ってくるであろうDeep Impactに交わされたらそれで終わる。Longchampの平坦な直線をゴールポストまで伸びきられたらどうしようもない。そういうことを一番良く知っているのはLemaireだろう。Deep Impactの横あるいは目前でレースを進めるつもりは無いだろう。だがLemaireのPrideは差して勝負の馬である。Heart's Cryの有馬記念と同じことをLemaireがもう一度やるだろうか。今回はDeep Impactを倒して終わりではない。少なくともShiroccoとHurricane Runがいる。
Nureyevが好きな私としては厳しい条件ではあるだろうけど、Prideには頑張っていただきたいところ。Best Nameでは荷が重すぎようし…え?Rail Linkですか?Danehillの力は借りんw