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January 04, 2006

アイスドールをきっかけに泥縄的に血統の話 3

Teddy
さてDamascusはTeddyの直系です。現代の主流父系であるNorthern Dancer、Nasrullah、Native Dancerを内包するPhalarisとはBend Orまでの流れを共有しています。Teddyの父系はBend Orから16戦無敗の三冠馬Ormondeに分かれていきます。Ormondeは種牡馬生活の後半をアルゼンチンを経てアメリカで送ることになりますが、イギリスでの供用中にSt. Simonの全姉Angelicaとの間にOrmeという後継種牡馬を得ました。Ormeもまた能力に秀でた馬で18戦14勝。10F以下の距離に強いところを見せました。Ormeの後継種牡馬には三冠馬Flying Foxがいて、Galopinの3x2という強いクロスをかけられた彼は種牡馬としてフランスに渡り、5戦無敗のAjaxの父となりました。このAjaxがTeddyの父です。Ormeのもう1頭の有力な後継種牡馬としてOrbyがいて、後に快速血統として名を馳せるThe Bossが出ています。また日本初の三冠馬となったセントライトもOrbyの父系でした。Phalarisが登場するまではBona Vista、Cyllene、Polymelusの流れより上位にあり、Stockwell父系を代表するラインであったと言えるでしょう。
現役時代は第一次世界大戦の影響をまともに受けたTeddyですが、フランスで種牡馬入りし次々に名馬を送りました。後継種牡馬にも恵まれ、フランスと産駒の多くが輸入されたアメリカにおける主流父系にまでのし上がります。Teddyは祖父Flying FoxがGalopinを濃く持ち、母からもGalopinが入りますが、St. Simonは入りません。St. Simonの全姉Angelicaが見える程度です。また、OrmondeはBend OrとMacaroniのニックスを利用していましたが、祖母Doremiもこのニックスを使っています。

Sir Gallahad=Bull Dog
20世紀前半に現れた名繁殖Plucky Liegeを母として産まれたSir Gallahadは仏2000ギニーなどを勝ち種牡馬としてアメリカに輸出されました。Sir GallahadからはFighting Foxが出て、更にその産駒にCrafty Admiralが出ます。Crafty AdmiralはPink Dominoのファミリーの出身で、母父のWar AdmiralからもPink Dominoが入り、更にSir Gallahad=Bull Dogの2x3と言う形でTeddy以前の北米を代表するDomino系とTeddyの血を強く結びつけた配合になっています。後継となったAdmirals Voyageの代で表舞台から姿を消すことになりますが、母系に入って良くAdmirals VoyageはDanzigの母系に名を連ねています。
Sir Gallahadの全弟Bull Dogは兄ほどの現役成績は残せませんでしたが、引退時にはすでに兄がアメリカにおいて名種牡馬としての地位を固めていたので、同じようにアメリカに渡り、種牡馬としては兄以上の成功を収め、北米におけるTeddy系を代表する種牡馬になりました。リーディングサイアーも獲得しますが、それ以上に母父として素晴らしく、Tom FoolやRough'n Tumbleの母父でリーディングBMSを3度獲得しています。その産駒にはBull Leaが現れ、Teddy系の最盛期を担うことになります。Bull LeaはCitationなどを出して大成功を収め、また、父と同じく母父として優れており、Bull Leaの牝馬というのは北米の血統において最も頻出するものの一つです。しかし種牡馬の父としては無残な結果に終わり、16連勝を記録したCitationでさえも種牡馬としては失敗に終わりました。こうしてBull Leaの血はあっという間に勢いをなくして現在ではそのほとんどが牝馬経由で見られるだけとなっています。Bull Leaの後継種牡馬として最も名が知られているのはBull Pageでしょう。カナダの年度代表馬になり、産駒成績は他のBull Leaの後継種牡馬と然程変わらない失敗に終わりますが、牝駒Flaming PageがNijinskyを産んだため、その母父として知られることになりました。また牡駒でカナダの初代三冠馬であるNew Providenceは同じくE.P. Taylorの手が入った馬であり、Storm Birdの母父となりました。
こうしたBull Dog、Sir Gallahadの成功を受けてTeddyは種牡馬生活の後年をアメリカで送ることになります。

AethelstanとAsterus
フランス供用時代に現地に残した後継種牡馬としてはAethelstanとAsterusが挙げられます。
Aethelstanは五代内でHamptonの4x4、Angelica=St. Simonの5x4、Galopinの5x5の他Wellingtoniaの5x5というクロスがあります。フランスに土着した父系で、スタミナ色の強い父系です。代を経てフランスのリーディングサイアーTantiemeを出しています。この末裔からはFidionが日本に輸入されメジロデュレンが出ています。
Asterusはフランスの大生産者Marcel Boussacが初期に手に入れた名馬であり、種牡馬としてもBoussacを支えました。特に母父としての能力が高く、6年連続でフランスのリーディングBMSを獲得しています。Hampton4x4、Gaopin5x5*5、Angelica=St. Simon5x4、Wellingtonia5x5のクロスを持ち、Aethelstanと同じような持ち方をしています。Boussacの生産したAsterus産駒Abjerは母に名牝Zaribaを持ち、St. Simonを強く持つ馬でした。種牡馬としても期待されますが、わずかに2年間の種牡馬生活の後に夭折しましたが、Caravelleなどを出しています。後継種牡馬としてはNosca、Tifinarがおり、Noscaの産駒にFaucheleventがいます。また牝駒Solitudeのファミリーからは後にMaxzeneが出ています。また、Tifinarは凱旋門賞などを勝ったOrosoの父です。

Sun Again
Teddyがアメリカに移ってからの産駒にSun Teddyが出ます。Travers Sで2着という実績を残して種牡馬となり、Sun Againを出しました。Sun Againは母父にStimulusを持ち、Ultimus経由でのDominoが入ります。そこからSun Glow、Sword Dancerを経て現れたのがDamascusです。

Posted by Marius : January 4, 2006 11:53 PM

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