French New Stallions
AAPなんぞを覗いてみたら、今年のフランス種牡馬の動向についてまとめた記事があったのでチェキ。
AAP: FRANCE: Stud and Stallions News
■Polish Summer: Polish Precedent - Hunt the Sun by Rainbow Quest
Dubai Sheema Classicを勝ったPolish SummerはHaras de Mortreeで種牡馬入り。Polish Precedent産駒で、半弟にGI馬のMeteor Storm。母の全兄にはGI馬のRaintrapとSunshackがいるという血統背景を持ち、種付け料は2,200ユーロ。
■American Post: Bering - Wells Fargo by Sadler's Wells
GI3勝馬American PostはHaras d'Etrehamで種牡馬入り。Racing Post Trophyのレベルが評価されたのか種付け料は7,000ユーロ。
■Spadoun: Kaldoun - Tolga by Irish River
2歳GIの勝ち馬SpadounはHaras d'Etrehamに購入されましたが、2005年のシーズンはHaras de la Tuilerieにて供用。2歳GIを勝っていますが、ジャンプレースでの勝ち星もあり、平地と障害の両方で種牡馬として期待できるのだそうです。
■Fair Mix: Linamix - Fairlee Wild by Wild Again
Fair MixはイギリスのShade Oak Studで種牡馬入り。こちらも平地と障害の両用となる事を期待されているようです。
■Diableneyev: Nureyev - La Pitie by Devil's Bag
Helios Quercusを出したDiableneyevは今年からHaras du Thenneyに購入されて供用地をそこに遷す。種付け料は3,200ユーロに設定。
■Idaho Quest: Rainbow Quest - Javandra by Lyphard
今年で8歳ですが、種牡馬引退が決定。母がDancing Brave、Jolyphaの全妹という血統を買われて種牡馬入りしていました。今後はEsprit du Nordと同じところで繋養される模様。
■Miesque's Son: Mr. Prospector - Miesque by Nureyev
Miesque's Sonにはフランスでの初年度となる産駒が誕生。現在の供用地はHaras des Chartreuxで種付け料は7,500ユーロとのこと。
■Kabool: Groom Dancer - Sheroog by Shareef Dancer
GII勝ち馬Kaboolは南アフリカのシンジケートによって購入され、当地のDaytona Studにて供用される。これまでにも南アフリカにシャトルサイアーとして過去2年のシーズンで種付けを行っていたが、南アフリカでのFort Woodの活躍などもあり、同じくFall Aspenのファミリー出身であるKaboolの購入という決定が下された模様。
■Danehill Dancer: Danehill - Mira Adonde by Sharpen Up
先月のGI Prix Renaud du Vivierを勝ったチャンピオンハードラーMaia Eriaの初年度の種付け相手にDanehill Dancerが決定した模様。
Salt Champ
一方StallionにはSalt Champの血統解説が載っていたのでこちらもチェキ。
Stallions: PEDIGREE INSIGHTS - NOBLE RED AND SALT CHAMP
Noble Redは先週のChester Maniford Sの勝ち馬らしいですが、これはパスしてSalt Champだけ。
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世界中のどんなところにいても成功を収めたであろう種牡馬が存在する一方で、その地の遺伝子的環境(おそらく供用地の血統の偏りなどを指してるんだと思う)に大きな影響を受けていた種牡馬が存在する事も疑い様のないことである。例を挙げるならば、非常に疑わしいのはNZで種牡馬入りしなかった場合のSir TristramかNoble Bijouであろう。彼らの父はSir Tristram(と書いてあるのですがSir Ivorよな)とVaguely Nobleであり、彼らは種牡馬の父としては期待はずれに終わっている。
同様にアメリカのチャンピオンSpend a Buckもアメリカではたった1頭のGI馬しか送り出せていない(しかもそのGI馬の母はアルゼンチン産の牝馬である)が、1世代のブラジル産の産駒からPico CentralとHard BuckというアメリカGI馬を出した。
そして南アメリカの牝馬との間で成功を収めつつあるのがSalt Lakeである。このDeputy Minister産駒は2歳時にGIII Tremont BCS、GII Cowdin S、GI Hopeful Sを勝ち、3歳時にはGII King's Bishop SとGII Fall Highweight Hを勝った早熟のスプリンターである。種牡馬としては初年度からChampagne SのOrdwayなど6頭のステークス馬を出す好調なスタートを切った。しかし、その後はこの1月にSalt ChampがSanta Monica Hを勝つまでアメリカのGIを勝つ馬を輩出できずにいた。
Salt Champは2000-2001シーズンにアルゼンチンで産まれたSalt Lakeの産駒である。アルゼンチンでは6戦して4勝(何処かのレースが抜けてるようで実際には7戦4勝)で3つのGIを制している。そしてSalt Lakeはこの世代から3頭のGI馬を送り、少なくとも7頭の重賞馬を出している。
Salt Champの血統は完全なアウトクロスである。彼女の母Wandelは母の父としてアメリカGI馬を出しているFitzcarraldoを父としている。Fitzcarraldoはイギリスの偉大なるステイヤーAlycidonの直系である。Wandel自身はアルゼンチンで重賞入着歴があり、彼女の全兄にMount Wilsonが出ている。
Wandelの血統は興味深く、Gran Premio Carlos Pellegriniを勝ったEl Centauroの4X3を持っている。また、El Centauroの父は2度のリーディングを獲得した偉大なSideralであり、彼はWandelの四代母Constelacionの全兄に当たる。よってWandelはこの血を5X4*4で持つ。これはSalt Champが彼の著名なファミリーの出身である事を意味する。Constelacionの祖母は英1000ギニーとオークスで2着したFeolaであり、Round Table、Aureole、Hypericum、Highclere、近年ではNashwan、Unfuwain、Nayefそしてアメリカの種牡馬Pulpit、Tale of the Catを出した家系である。
Salt Champは六代アウトクロスと言えども、ダービー卿によって蓄積されたHyperion、Pharos、Fairway、Swynford、Chaucer、Gondolette、Pilgrimageの血を強く持っているのである。
これらの血はまたSalt Lakeの父Deputy MinisterからVice Regent、さらにNorthern Dancerに強く濃縮されている。
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以上で訳出終わり。ま、そんな事言い出したら、現代ではほとんどの馬にそういう血はかなりの割合で含まれてるはずではあるんですけどね。まあ出て来ているように名馬が続出した2-f族のFeolaの牝系にとってはアルゼンチンにいたことでこういった血を収束させる事が出来たのは良かったのでしょう。そして、Salt Lakeを使ってこれまで入っていなかったNearcoの血や北米血統に一気に晒される事で能力開花ってとこですか?
そして記事中にあるようにSalt Lake自身がこうした南米血統に対して親和力があると言うのも見逃せませんが。ということでStallion RegisterのSalt Lakeのところを見てみたらアルゼンチンで2000年に産まれた産駒から出たGI馬はSalt Champを含めて4頭でした。で、残りの3頭が以下のとおりです。
Emergente: Salt Lake - Early Princess by Kitwood
Gran Premio Raul y Raul E. ChevelierとGran Premio Estrellas Juvenileで2歳GI2勝。累代で見るとKitwood (by Nureyev)、Awesome Gold (by Mr. Prospector)、Early Release (by Sea-Bird)などと出てくるので、こっちはそれほど米血が入ってないというわけでもなく、むしろよく入ってる印象か。
Asset: Salt Lake - La Quipa by Southern Halo
Gran Premio Estrellas Junior Sprint勝ち。これもSouthern HaloにFoever Sparkle (by Secretariat)なんて入っているあたりでSalt Champとはタイプが違うかななどと思ってみたり。
From the Sky: Salt Lake - Galaxy Light by Stage Door Johnny
Gran Premio Internacional Joaquin de Anchorena勝ち。こちらもどっちかと言うとアメリカン。
ということでSalt Champみたく母に徹底的に米血が入ってないような血統はさすがにないみたいね。で、勝ったGIを見てるとEstrellasの2歳戦で2勝してたり、とにかく早熟のスピード馬を多く出す種牡馬らしい結果だなあとは思うのです。そして、Salt Champも含めた4頭全てSan Isidroの芝GI勝ちがあるので、軽い芝でこそという種牡馬ではないのかなとも。
Kingmambo - Believe by Sunday Silence
父Kingmamboなビリーヴの初仔が誕生してたらしいでっす。とりあえず日本で走る予定なのだとか。まあ、Kingmambo産駒ならアメリカよりは日本ですな。ただ、欧州に持っていってくれたらもっと愉しかったのにとかデンパな事を言ってみるw。
ちょっと遠いがBlack Rayからいろいろと出てくる牝系で、キングカメハメハもその一員。このBelieveの産駒の場合はDanzig経由でBelieveがNorthern Dancerを持っているので、お約束のNorthern Dancerクロスも存在します。ただ、母父にHail to Reason系を抱えたKingmambo産駒の活躍馬ってのはとっさに思い浮かばないのですがねえ。まあ、化けるととにかく手のつけられないのがKingmambo産駒ですので、アタリ引いてるとよいですなというところ。
んで、今年の種付け相手はElusive Qualityを予定ってのにはオイオイとか思ってしまうんですがw。いや、Kingmamboをつけたんなら、次はA.P. Indyだろがと・・・。