Fasig-Tipton Calder Selected Two-Year-Olds in Training
北米圏のプレミア級2歳市場が3/1より開幕。今年の3歳では850,000ドルの値がついたFusaichi Rock Starが重賞を勝つなど活躍馬多数輩出のFasig-Tipton Calderです。とはいえ血統を見てて愉しくなるような馬はYearlingの段階で登場してしまっているので、こちらは見ていてもあまり愉しくなかったりするんですが。
適当にSire Indexを見ながら上場馬の血統表でも眺めてようかと。
まず2頭上場のA.P. Indyですが、304番の牡馬が三代母Coup de Folieというファミリーの出身。Way of Lightを出した分枝ということですが、どこまで信頼できますかねというところ。母と祖母は未出走。1Fを11秒という時計と思ったら2回目の公開調教が欠場になってますな。68番の牡馬は三代母がAlydarを出したSweet Tooth。母Cinnamon SugarはGII勝ちまでですが、3歳時にGazzelle H、Mother Goose S、Acorn Sを2着。その母Sugar and SpiceがMother Goose S勝ちという優秀なファミリー。1Fを11.1秒。
Kingmambo産駒は1頭だけ上場。190番の牡馬で母はLassie's Lady。名前で大体分かるとおりWeekend Surpriseの妹。ということはLemon Drop Kidに酷似した血統になるわけで、母父がSeattle SlewからAlydarに変わっています。母は既に高齢ですが、これまで14頭の産駒が競走年齢に達していて13頭が出走して9頭が勝ち馬になっています。出世頭はGII勝ちのあるBite the Bullet。現役にいる産駒ではBlack MamboがStakes Placed。1Fを11秒と10.4秒という時計。
Storm Catは3頭上場。184番の牝馬は四代母Nalees Flying Flagですが、伯父にGeriのいる分枝ということでやや主流からは外れていってます。母Kristiの初仔にあたる。1Fを11.1秒と11秒。354番の牝馬は半姉にPoint Givenを出したTurko's Turnで、グラスエイコウオーの従兄妹になる血統。1Fを10.3秒。
Apptitudeは99番の牡馬がRichter Scaleの半弟。要するに近親にBest Pal。兄はスピード自慢でしたが、1Fを11秒と2Fを22.4秒と平凡。
Behrensの11番は四代母Soaring。Balladeを出す分枝ではないが、祖母Dawn's CurtseyはGIを勝っていて活躍馬を出せるファミリーではある。1Fを10.3秒。晩成な気がしなくも無いBehrens産駒がこの時期に時計を出せる事に驚いたw。二回目はギャロップで流した程度。
206番のBelong to Meの牡馬は祖母がMyth to Reality。母Mambo Jamboは名前から分かるとおりDivine Proportionsの全姉さま。二回とも1Fを11秒。
111番のDixie Unionの牡馬は祖母がTo the HuntでStellar Jayneの甥。Stellar Jayneの半姉StarrerもGI馬。1Fを11.1秒と11秒。
324番の牡馬はElusive Cityの全弟。Elusive Qualityは昨年の種付けあたりから配合繁殖牝馬のクラスが上がっているんじゃないかと思われますが、これはその前ということでGI馬の全弟はこの世代のElusive Qualityとしてはトップクラスでしょう。2Fで21.4秒を出して、二回目はギャロップ。
287番のFusaichi Pegasusの牝馬は三代母My Charmer。とはいえMy Charmerは直仔の成績はSeattle Slew以外もLomondとSeattle Dancerがいてまずまずではあるものの、代を経て活躍馬を出しているというわけでもないんですよねえ。1Fを11.1秒でしたが、2回目は欠場。
197番のHonour and Gloryの牡馬は従姉に1998年最優秀3歳牝馬のBanshee Breezeがいる牝系。1Fを11.1秒と11秒。
60番のLangfuhrの牡馬は三代母にGay Hostessという血統ながら、さほど活躍馬の出ているラインではなく半兄がGIIIを勝っている程度のところです。1Fを10.3秒。
74番のLemon Drop Kidの牡馬はAd Valoremの半弟。ほかにClassic Go GoやTight Spotも出ている牝系のようです。1Fを11.1秒と10.4秒。
9番のSeeking the Goldの牡馬は祖母がWeekend Surprise。母父Storm Birdで母はSummer Squallの全妹。ということで半兄タガノインディーだったりするわけですが、1Fを11秒と10.3秒。
258番のSeeking the Goldの牡馬はLa Troienne系Intriguingを三代母に持つ血統で半兄にブラジルで活躍して北米に移籍し、Eddie Read Hなどを勝ったRedattoreがいます。1Fを10.3秒。
55番のStorm Bootの牡馬がMedaglia D'Oroの半弟。Medaglia D'Oroが出てくる前なのでStorm Bootなんて微妙なクラスの種牡馬を使ってますな。母の産駒は全て勝ちあがっているものの、使った種牡馬の格相応の活躍という気がしなくも無く。1Fを11.1秒と11.1秒。
51番のStormin Feverの牡馬は従兄にStravinskyやMoscow Ballet…と言ってもMoscow Burningの父ではなく、昨年のSecretariat Sで3着だった方の馬。母Burning Riverは未出走ながらも全兄DowsingがGIを勝っています。1Fを11.1秒と11.2秒。
58番のTale of the Catの牡馬は三代母Con GameがSeeking the Goldの母。1Fを10.3秒。
まあ、Training Saleなんてのは血統より公開調教の動きの方が余程大きなファクターになるわけで、初日の公開調教の映像はFasig-Tiptonのサイトで公開されていますが、そこまで見る気にはなれず。とりあえず初日の一番時計である10.1をマークした209番のTale of the Catの牝駒の映像を見てみましたが、普通にレースに出せるレベルではありますねえ。二日目の公開調教ではArchの牝駒が芝1Fを9.8とかいう時計で走ったらしき。これは2004年のBarretts Marchで記録されたトレーニングセールでのレコードに迫る時計。ただし、Barrettsのはダートで今回は芝ではあります。
Sire Indexを見ているとこういうところでの人気種牡馬が良く分かります。とにかくStorm Cat系でStorm Catの直仔はあまり出てこないのですが、後継種牡馬はForestlyが10頭、Tale of the Catが12頭と大量に上場してきています。これに続くのが、Gone West系でGone West自身が7頭上場している上にMr. Greeley、Grand Slam、Elusive Quality、El Corredorなどが頭数を揃えてきています。あとはDixieland Band、Dixie Union親仔とかUnbridled's Song、Songandaprayer親仔も多めかなと。特に今年が初年度となるSongandaprayerの産駒は公開調教のタイムが軒並み良くかなり目立ってます。逆にA.P. Indy系はApptitude産駒こそ多いもののほかは数の面では見劣りしていますねえ。Halo系は今年の2歳が最後のSaint Balladoとその後継があまり数多く出てきていないのに対して、これが2世代目のMore Than Readyが結構多め。
まあ、Training SaleのしかもSelectedの上場馬の数を見て言っても仕方ないのかもしれませんが、ある面では北米の人気種牡馬の傾向を表しているといえるのではないかなと。Yearlingよりもより即戦力として2歳から活躍する早熟な完成度を要求するという面ではということですが。
Blood-Horseの記事によると、今年の2歳プレミア市場を占うセリになるとのこと。昨年暴れたSheikh MohammedとFusao Sekiguchiが今年はどうするかというのが一つの注目のようです。昨年はSheikh Mohammedが3.1MillionのDubai Dreamer、Fusao Sekiguchiが5.4Millionという2歳馬の落札額としては市場最高額のFusaichi Samuraiを落札しています。Fasig-Tiptonのexecutive vice presidentでありchief operating officerという立場にあるBrowning氏は今年も市場は非常に強いものになるであろうということではあります。平均価格では昨年はFusaichi Samuraiの影響で高くなったため、今年はそれよりは落ちるだろうが、セリとしては強い状態であるだろうということです。しかし2/20に行われた初回の公開調教は向かい風が強く理想的な状態とは言い難かった上に強く追われなかった馬もいるということで、日曜に行われた二回目の公開調教と、セリの前に行われる最後の公開調教の結果に注目が集まるという状態の模様。なお、2月の中旬に行われたOBSの2歳馬セリは堅調なスタートで、平均価格は1%の下落ながら、中間価格が37.1%上昇してセールとしてはレコードに到達したという結果を出しているようです。
Las Flores H GIII Santa Anita CA Dirt 6F
1.Miss Terrible: Numerous - Teidi by Farnesio
2.Puxa Saco: Dehere - Salty Sal by Cox's Ridge
3.Mazella: Mazel Trick - Wonderful by Olympio
4.Quero Quero: Royal Academy - Big Dreams by Great Above
5.Victory U.S.A.: Victory Gallop - Fordyce by Cox's Ridge
Victory U.S.A.も一番人気というわけではなかったのですねえ。一番人気はPapa to Kinzieでしたが、こちらは6着。Victory U.S.A.も長期休養とかいろいろ嫌われる要素はあったということですか。負けてるんだからそんなもんだったかということですけどね。
復活したのは北米移籍後はGamely BCHを含む2戦のみでここまでは勝ち星なし。故障もあって1年以上の長期休養からの復帰線を飾りました。アルゼンチンでGIを連勝していた頃は距離不問的な面もありましたので今回は6F戦なれど、中距離でもやれるでしょうしレースの選択肢は広いのだと思われ。北米移籍当初はRobert Frankel厩舎にいましたが、今はBradley Ross師が管理しているようです。
今週の北米
9Rもありやがります(挨拶。
ほどほどにしておかないと怒られそうやな
忘れないように適当にメモ。
サンタアニタは伝統の一戦Santa Anita H。どうやらSaint Liamはここに出走してきそうで、さらには西海岸で地歩を固めたRock Hard Tenも出走予定。この他Truly a JudgeとかIsland Fashionも25日に出たプレスリリースを読む限りでは出走する予定はあるとのこと。
Santa Catalina SにはDeclan's Moonがスタンバイ。調整は順調なようでここからSanta Anita Derbyでも使って本番になるのかなと。距離は持つものと信じておきます。
どうせ本番は3着とか言わないように。A.P. Indy後継種牡馬もかなりA.P. Indy自身と同じような傾向なのが困りもの。
いつの間にやらGIになっていた芝のマイル戦Kilroe MileにはBC Mile勝ち馬のSingletaryが登場予定。
Gulfstreamでは日曜にGI Gulfstream Park BCH。これは芝。この前GIIに落ちて開催時期も早くなってしまった土曜のGulfstream Park Hはダート。最も西のSanta Catalinaと並ぶ3歳の注目レースFountain of Youthが土曜のGulfstreamのメインではあるか。三歳限定戦が多いのできついよなあ。Gulfstreamなんて牡馬と牝馬の8.5Fと7Fをそれぞれ開催しやがるし…。
マイネルセレクトとドバイ
ドバイ遠征取り止めとのこと。これで日本馬はアジュディミツオーとテレグノシスのみ。
マイネルセレクトはフェブラリーSも感冒で枠順が決まる前に回避となってますし、これ以前にもいろいろとあって予定していたレースを使えない事が何度かあって順調に行かない馬だなあということではありますか。確か昨年のドバイも最終的には出走したけど、行けるかどうか微妙なところであったように記憶していますので、残念ながらそういう馬なのでしょうね。
テレグノシスは海外の左回りならそこそこやれるのではないかと思われ、今年はアメリカ勢がそれなりに強力そうなWorld Cupに出走のアジュディミツオーよりは勝算があるんではないですかね。アジュディミツオーは走るならこの週末のChallenge Round 3くらい楽勝してくれないとなあというところではあります。
サイレントディール@仁川S OP 阪神 ダート1800m
昨日の段階でサイレントディールが登録している事を確認して喜んでましたが、今日のハンデ発表を見てみると結構無茶な事をされてしまったなあという気がしてなりません。過大評価しすぎな気がするんですが。とりあえず重い順に見てみますか。
59.0 サイレントディール(GIIIシンザン記念、GIII武蔵野S、GIフェブラリーS2着)
57.5 ビッグウルフ(GIII兵庫チャンピオンS、GIII名古屋優駿、GIダービーGP2着)
56.0 サカラート(OP灘S)
56.0 サミーミラクル(GIIIガーネットS3着)
56.0 シャドウスケイプ(GIII根岸S)
56.0 ジンクライシス(GI JCD3着)
56.0 マイネルブライアン(GIIIグランシャリオC、GIII群馬記念)
55.0 エンゲルグレーセ(GIIIエルムS)
55.0 キングフィデリア(GIII新潟大賞典)
55.0 シロキタゴッドラン(OPベテルギウスS)
55.0 ブラックコンドル(GIII平安S2着)
以下省略。
まあ、このメンバーですからトップハンデを背負うくらいは当然といえば当然なのでしょう。ただ、フェブラリーSには間に合わなかったといっても、そのあとの名古屋大賞典は補欠第三位という状況だっただけにいかにOPのハンデ戦といえども59kも背負わされるのかというところではあります。次に背負っているビッグウルフが57.5kしかないのですから、サイレントディール1頭だけが抜けた斤量を背負う事になります。大体これまで3着以内を外したことがなくて今一番怖いジンクライシスは56.0ですよ。ジンクライシスも勝ちきれなくて賞金不足でフェブラリーSを除外されているというところで、重賞実績としても3着までしかないのではありますが、JCD3着よ。Total Impactに先着したんですよ。3kもハンデを差し上げるのはさすがに厳しいところではないかと思われ。大体OPということで賞金加算のためには勝つしかなく、ジンクライシスも本気で勝ちに来るだろうしなあ。同じレースで走るのはシンザン記念以来のサカラートはこの条件のレコード持ってますし、平安S4着でジンクライシスとタイム差無しですから当然怖いんだよねえ。
まあ、変に情けをかけられてハンデが軽かったらそれはそれで泣けてくるので、普通にGIでも勝ち負けしてた馬がOPのハンデ戦に出てくる以上はそれなりに重いのを覚悟しろということではありましょう。ここ以外は除外されるから出られないというのはどうかと思うけどね。来週の大阪城Sに回っても状況が好転するとは思えないので、とっとと賞金積んで除外を恐れずに重賞に出られるようにしておいてくださいというところか。
で、日曜は皆様ご注目の弥生賞があってディープインパクトvsマイネルレコルトだったりするわけですが、天候悪いらしいので馬場が悪化してアドマイヤジャパンあたりに持っていかれたら、笑えない事態かと。とか言いながら気になるのはフルゲートになりそうな中京記念まである上で阪神で乗る騎手は誰かということと、その中から誰がサイレントディールに乗るのかだったりするのですがー。
レースとしては弥生賞より土曜日のチューリップ賞の方が面白くなりそうかなというところではあります。ディアデラノビア、オリエントチャーム、エリモファイナルと揃って出てくる予定にはなってますし、エイシンテンダーも出走予定ということになってますねえ。ジェダイトも登録しましたが、トライアルなのでオリエントチャームと使い分けて予定通りこっちはフィリーズレビューですかね。エルフィンSでエアメサイアとジェダイトにやられた連中はいらんだろうし。
久々にブックなりギャロップなり欲しくなってきたなあ…。