Dylan Thomasの使われ方などを考えるに、Coolmoreの現在の種牡馬ラインナップを見ておかないとどうしようもないってのはあるかなと思ったので。そんなわけでまずは本拠たるエリンから。ちうかコレだけで十分ではあるんだが。
で、Danehill直仔を詳しく見ていく。
Danehill Dancer: 2歳でGI2勝。3歳になったらもう終わってた。3歳で引退。
Holy Roman Emperor: 2歳のみで引退。GI2勝。
Rock of Gibraltar: 2歳からGIを7連勝。距離はマイル。3歳で引退。
Oratorio: 2歳でGI勝ち。3歳でも10FでGIを2勝。3歳で引退。
Aussie Rules: 仏ギニー馬。マイルGI2勝。3歳で引退。
Ivan Denisovich: GI勝ちは無し。9Fくらいまでで活躍。3歳で引退。
Catcher in the Rye: 仏ギニーを2着程度の実績。3歳で引退。
Dylan Thomas: 愛ダービー馬。10Fから12FのGIを6勝。4歳で引退。
Oratorioの使われ方も相当どうよと思うところはあったが、こうしてみるとCoolmoreはCoolmoreで必死なのだなとは思われる。3歳まで、マイルまでというプロフィールの種牡馬ばかり集めやがってという話ではあるが、そういう活躍をする馬が多かったのだから仕方ないというところでもあるのだろう。
このあたり、日本におけるサンデーサイレンス以上に先鋭的なんだが、それは欧州においては路線分離が確立していることと3歳での引退がある種当然と見られているからでもあるだろう。日本においてはそれほど確たる分離があるわけでもなく、また3歳における引退は選択ではなく無念の引退を余儀なくされるというパターンになってしまうからであることが、サンデーサイレンスとDanehillのおかれた状況の違いでもあったかと。
となると同じような競争実績の種牡馬ばかりという事態に陥るわけであり、だからこそオプションを付けてRock of Gibraltarを日本に売ってみたりなどもするわけです。ま、外に出す種牡馬を選ぶときに、Rock of Gibraltarを選べるというのが、オプションをつけたにせよ、またそれをあっさり発動することになったにせよ、凄さではないかと思われる。
北米に支場を持っているとはいえ、北米でのDanehillの状況(ま、それでもNorth Lightが三桁に届いたりはしているが)と言うものを考えたらば、そこに送るというのはちょっと難しいという判断はあるのだろう。そうなってくると三極で残る日本にとなるのは自然の成り行きで、昔Danehill自身もリースされていたし、外国産馬でファインモーションが出ているのなら悪くないはずなんだし。
で、Dylan Thomas。ここに出ているDanehill後継の種牡馬の中では異色の実績を誇っているので、競合するかとなるとそういう部分では競合しないと見て良いかとは思われる。ただ、そっちにいくとSadler's Wells、Galileo、Montjeuにぶち当たるんで、つらいものはある。High Chaparralはもろに割を喰うんじゃないかなと思われ、って実際状況良くないしな。
と言ったあたりでAshford。
で、オーストラリア。
12頭中Danehillが5頭とか。こっちも11頭までがNorthern Dancerの直系で、残るFusaichi PegasusだってDanzig持ち。
以上が今のところCoolmoreのサイトでチェックしたら出てくる種牡馬。つか、そんな気はしていたが、Northern Dancerばっかりかと。それ以外だとMr. Prospectorということに。
となると完全に浮いているのがAshfordのChapel Royal。2005年に種牡馬入りし、種付け頭数の推移は222頭(2005)、166頭(2006)、165頭(2007)。2007年分は速報値。10,000ドルと比較的安い種付け料で繁殖牝馬を集める種牡馬ですが、血統的な利点としてNorthern Dancer、Mr. Prospectorを持っていないというのがCoolmoreとしては使いやすいのだろうし、その他の生産者からしてもBold Rulerも持ってないのが良く使われる理由になっているのかなと。
ということで父系に注目すると異系を大胆に導入となるのがChapel Royalなんですが、牝系はかなりの活力を有しています。わざわざCoolmoreが買って種牡馬にまでした理由となれば、異系と言う以上にこの牝系なのだろう。三代母に現れるのがカナダの名繁殖Ciboulette。その娘にNorthern Dancerに最初にビッグタイトルをもたらした名競走馬にして母を超える名繁殖となったFanfrelucheが出ており、このFanfrelucheのファミリーからはEncosta de Lago、Flying Spur、Holy Roman Emperor、Flying Spur、Lode、Medaille d'Or、Majestic Roiなど活躍馬、名種牡馬が出まくっています。Chapel Royal自身はそのFanfrelucheを通るラインではなく、Never Bendを父に持つ半妹Silk Lillyのファミリーになりますが、狙ったのだろうなとは思います。ただ、Coolmoreにとっては積極的に導入するというのではなく、将来の保険的な役割を持たせる程度なのかなという気はしますが。
とはいえ異系を導入する場合はこうあるべきというチョイスとは思います。まぁCoolmoreってかなり父系で商売をしているという印象はあるんだが、ちゃんと見てるところは見てるなと。異系ならなんでも良いやってのは絶対違うと思う。これ以上語るとめんどくさいのでパスするが。
ともかくこういうのを見るとサラブレッドの生産とは牝系を軸にして行うものであるという認識を確認できるので良いな。
Coolmore Ireland
- Sadler's Wells by Northern Dancer: Private
- Galileo by Sadler's Wells: Private
- Montjeu by Sadler's Wells: 125,000EUR
- Hurricane Run by Montjeu: 30,000EUR
- High Chaparral by Sadler's Wells: 15,000EUR
- Ad Valorem by Danzig: 12,500EUR
- Danehill Dancer by Danehill: 115,000EUR
- Choisir by Danehill Dancer: 12,500EUR
- Dylan Thomas by Danehill: 50,000EUR
- Rock of Gibraltar by Danehill: 35,000EUR
- Holy Roman Emperor by Danehill: 35,000EUR
- Oratorio by Danehill: 25,000EUR
- Aussie Rules by Danehill: 7,5000EUR
- Ivan Denisovich by Danehill: 7,000EUR
- Catcher in the Rye by Danehill: 4,000EUR
- Strategic Prince by Dansili: 9,000EUR
- Peintre Celebre by Nureyev: 25,000EUR
- Excellent Art by Pivotal: 25,000EUR
- One Cool Cat by Storm Cat: 12,500EUR
- Footstepsinthesand by Giant's Causeway: 25,000EUR
- Night Shift by Northern Dancer: 15,000EUR
- Hawk Wing by Woodman: 15,000EUR
で、Danehill直仔を詳しく見ていく。
Danehill Dancer: 2歳でGI2勝。3歳になったらもう終わってた。3歳で引退。
Holy Roman Emperor: 2歳のみで引退。GI2勝。
Rock of Gibraltar: 2歳からGIを7連勝。距離はマイル。3歳で引退。
Oratorio: 2歳でGI勝ち。3歳でも10FでGIを2勝。3歳で引退。
Aussie Rules: 仏ギニー馬。マイルGI2勝。3歳で引退。
Ivan Denisovich: GI勝ちは無し。9Fくらいまでで活躍。3歳で引退。
Catcher in the Rye: 仏ギニーを2着程度の実績。3歳で引退。
Dylan Thomas: 愛ダービー馬。10Fから12FのGIを6勝。4歳で引退。
Oratorioの使われ方も相当どうよと思うところはあったが、こうしてみるとCoolmoreはCoolmoreで必死なのだなとは思われる。3歳まで、マイルまでというプロフィールの種牡馬ばかり集めやがってという話ではあるが、そういう活躍をする馬が多かったのだから仕方ないというところでもあるのだろう。
このあたり、日本におけるサンデーサイレンス以上に先鋭的なんだが、それは欧州においては路線分離が確立していることと3歳での引退がある種当然と見られているからでもあるだろう。日本においてはそれほど確たる分離があるわけでもなく、また3歳における引退は選択ではなく無念の引退を余儀なくされるというパターンになってしまうからであることが、サンデーサイレンスとDanehillのおかれた状況の違いでもあったかと。
となると同じような競争実績の種牡馬ばかりという事態に陥るわけであり、だからこそオプションを付けてRock of Gibraltarを日本に売ってみたりなどもするわけです。ま、外に出す種牡馬を選ぶときに、Rock of Gibraltarを選べるというのが、オプションをつけたにせよ、またそれをあっさり発動することになったにせよ、凄さではないかと思われる。
北米に支場を持っているとはいえ、北米でのDanehillの状況(ま、それでもNorth Lightが三桁に届いたりはしているが)と言うものを考えたらば、そこに送るというのはちょっと難しいという判断はあるのだろう。そうなってくると三極で残る日本にとなるのは自然の成り行きで、昔Danehill自身もリースされていたし、外国産馬でファインモーションが出ているのなら悪くないはずなんだし。
で、Dylan Thomas。ここに出ているDanehill後継の種牡馬の中では異色の実績を誇っているので、競合するかとなるとそういう部分では競合しないと見て良いかとは思われる。ただ、そっちにいくとSadler's Wells、Galileo、Montjeuにぶち当たるんで、つらいものはある。High Chaparralはもろに割を喰うんじゃないかなと思われ、って実際状況良くないしな。
と言ったあたりでAshford。
Ashford
- Giant's Causeway by Storm Cat: 125,000$
- Johannesburg by Hennessy: 65,000$
- Scat Daddy by Johannesburg: 30,000$
- Tale of the Cat by Storm Cat: 37,500$
- Lion Heart by Tale of the Cat: 20,000$
- Van Nisterlooy by Storm Cat: 25,000$
- Royal Academy by Nijinsky: 15,000$
- Powerscourt by Sadler's Wells: 7,500$
- Dehere by Deputy Minister: 17,500
- Fusaichi Pegasus by Mr. Prospector: 45,000$
- Grand Slam by Gone West: 35,000$
- Thunder Gulch by Gulch: 20,000$
- Chapel Royal by Montbrook: 10,000$
で、オーストラリア。
Coolmore Australia
- Encosta de Lago by Fairy King: 220,000AU$
- Holy Roman Emperor by Danehill: 44,000AU$
- Oratorio by Danehill: 27,500AU$
- Rock of Gibraltar by Danehill: 82,500AU$
- Choisir by Danehill Dancer: 33,000AU$
- Fastnet Rock by Danehill: 55,000AU$
- Antonius Pius by Danzig: 8,800AU$
- Dehere by Deputy Minister: 55,000AU$
- Royal Academy by Nijinsky: 27,500AU$
- Stravinsky by Nureyev: 44,000AU$
- Spinning World by Nureyev: 8,800AU$
- Fusaichi Pegasus by Mr. Prospector: 66,000AU$
12頭中Danehillが5頭とか。こっちも11頭までがNorthern Dancerの直系で、残るFusaichi PegasusだってDanzig持ち。
以上が今のところCoolmoreのサイトでチェックしたら出てくる種牡馬。つか、そんな気はしていたが、Northern Dancerばっかりかと。それ以外だとMr. Prospectorということに。
となると完全に浮いているのがAshfordのChapel Royal。2005年に種牡馬入りし、種付け頭数の推移は222頭(2005)、166頭(2006)、165頭(2007)。2007年分は速報値。10,000ドルと比較的安い種付け料で繁殖牝馬を集める種牡馬ですが、血統的な利点としてNorthern Dancer、Mr. Prospectorを持っていないというのがCoolmoreとしては使いやすいのだろうし、その他の生産者からしてもBold Rulerも持ってないのが良く使われる理由になっているのかなと。
ということで父系に注目すると異系を大胆に導入となるのがChapel Royalなんですが、牝系はかなりの活力を有しています。わざわざCoolmoreが買って種牡馬にまでした理由となれば、異系と言う以上にこの牝系なのだろう。三代母に現れるのがカナダの名繁殖Ciboulette。その娘にNorthern Dancerに最初にビッグタイトルをもたらした名競走馬にして母を超える名繁殖となったFanfrelucheが出ており、このFanfrelucheのファミリーからはEncosta de Lago、Flying Spur、Holy Roman Emperor、Flying Spur、Lode、Medaille d'Or、Majestic Roiなど活躍馬、名種牡馬が出まくっています。Chapel Royal自身はそのFanfrelucheを通るラインではなく、Never Bendを父に持つ半妹Silk Lillyのファミリーになりますが、狙ったのだろうなとは思います。ただ、Coolmoreにとっては積極的に導入するというのではなく、将来の保険的な役割を持たせる程度なのかなという気はしますが。
とはいえ異系を導入する場合はこうあるべきというチョイスとは思います。まぁCoolmoreってかなり父系で商売をしているという印象はあるんだが、ちゃんと見てるところは見てるなと。異系ならなんでも良いやってのは絶対違うと思う。これ以上語るとめんどくさいのでパスするが。
ともかくこういうのを見るとサラブレッドの生産とは牝系を軸にして行うものであるという認識を確認できるので良いな。