ブラックタキシードですら桜花賞に続いて皐月賞にエントリーさせてくるのだからサンデーサイレンスの後継種牡馬が一定の人気を集めるのは当然のことかなと思う部分はある。
牝馬戦線と違って、いまいちこれと言った軸が存在しない皐月賞。いくらなんでも親父に似すぎているフサイチホウオーがこの舞台を勝ち切るとは思い難い。ジャングルポケットは好きですし、フサイチホウオーは初手から血統が嵌まりすぎてるというところも無きにしもあらずなので、勝って欲しいとは思いますけどね。祖母Moon Indigoの段階でHyperionが3本。Northern Dancerはどうでも良いとしても、Traffic Judgeを経由するAlibhaiと母系に直接入る2本はなかなか良い形です。そしてTom Fool、Caroと入れてEl Gran Senorと来るわけですが、このEl Gran Senorが持つBuckpasserに対してTom FoolとCaroが持つRelicの組み合わせでMan O' War、Black Toney、Vaila辺りの保障を得る事になりつつ、トニービンに対してはGrey Sovereign、Precipitationをフォローします。とはいえ結局のところトニービンにしてもサンデーサイレンスにしてもHyperionの恩恵を受けまくるという部分はあって、ジャングルポケットは五代母PaloriotにSickle=Pharamondの3X3を作った後Hyperionを集め、9本というHyperionを持つ事になります。フサイチホウオーにおいては血統内での位置がかなり後退しているとはいえ14本のHyperionが存在します。サンデーサイレンスがトニービンにもNureyevにも相性が良かったということも考えるとジャングルポケットというのはこれからの母父サンデーサイレンスの時代の恩恵を強く受けられるんではないかなと思うところもあります。
アドマイヤオーラはビワハイジの息子ですから、アドマイヤジャパンの半弟。ビワハイジ自身もそうでしたし、アドマイヤジャパンもそうですが、良い期間が長続きしないという印象はあります。それで、父がサンデーサイレンスからアグネスタキオンに変わったとなれば、それら以上に長持ちしないんだろうなあという気もして、まあこの皐月賞がギリギリというところではないだろうか。弥生賞もそんな良いレースではなかったと思うので微妙。フサイチホウオーが元からこの舞台を苦手にしそうなところに1枠なんて引いたから一番人気になってるようですけどね。外を回して差しきれるかということになるかな。
ドリームジャーニーが一番分からない馬ではあるかな。弥生賞で思ったより伸びてこなかったのを休み明けだったからという理由で納得するかどうか。ステイゴールド、メジロマックイーンという血統は長距離っぽく見られるところであるかとは思いますが、メジロマックイーンは種牡馬としてはそんなに長距離に強くなく、マイル近辺の活躍馬をよく出していました。ステイゴールドが種牡馬としてどの程度の距離をカバーするかというのはまあ考えても無駄かなと思います。でもステイゴールドにステイヤーというイメージを持った事はありません。で、ドリームジャーニーが3着に負けたのは1800mの東京スポーツ杯と2000mの弥生賞ということで、距離に問題があるという可能性を考えた方が良いのかもしれません。
ココナッツパンチはキャリア1戦で弥生賞2着なんだから非凡な馬ではあるでしょう。マンハッタンカフェはスローのレースで差して勝った馬で、ココナッツパンチもその特徴を受け継いでいるとは言えそうです。血統を見て気になるのはグルームダンサーの父Blushing GroomとLomondの母My Charmer。どちらもサンデーサイレンスが苦手とした血であるかと思います。Blushing Groomの方はサンデーサイレンスがHyperionを好むくせにKhaledの効きが弱いという事に尽きるんでしょうが、Tudor Minstrelなども入るのでまだマシかと。マンハッタンカフェは血統表でかなり後退しているというのが気になるところですが、ちゃんと必要なところを持っているのでフォローされるでしょう。ただ、My Charmerに関しては手が打てないかなと。その部分で足を引っ張られるかなあ。
ナムラマースは母父フレンチグローリーでガクっと来るものの、祖母父がMr. ProspectorでGold Diggerがクロスする事になるし、その前にはHoist the Flagを入れてRibotのクロスも作るし、さらにもう一つ戻ったDouble JayからBalladierとチーフベアハートに対してかなり良い血統になってはいます。フレンチグローリーの持つフランス血脈に対しても、Sir Gallahad、Bull Dog、Admiral Drake、Bois RousselのPlucky Liege四兄弟をちりばめて、またBlandfordが随所に絡んで対処してるかとは思えます。Chief's Crownは重いDanzigですが、チーフベアハートは母からアメリカ的なスピードを注入されて多少は軽さを持ったかというところ。ナムラマース自身のファミリーは北米中心に活躍馬を多く出すCourtesyのファミリーで、例えば祖母のDoffはForty Ninerの従姉であり、母父がTom RolfeからHoist the Flagに替わるのですが、ここでHoist the FlagにしてTourbillon経由でFrizetteがもう一本入る形なのは良いのではないかなとも。まあ、中途半端な距離ばっかり勝つチーフベアハート産駒の例に漏れず、この馬もこれまでの4勝が全て1800mというのが気になるかな。
アサクサキングスはジェニュインの全妹の仔ということで注目されるところはあるだろうし、それなりの実績も残しています。ただ、ホワイトマズル自体がどっちかと言うと牝馬に強い種牡馬ですし、ジェニュインもサンデーサイレンス産駒としての血統の完成度はやや低いと思わされます。Tudor Minstrelが入って、Sir Gallahad=Bull Dogも豊富なのは良いのですが、Bull DogはBull Leaから牝馬というルートでないと威力半減といったところ。ホワイトマズルのEla-Mana-Mouが持つRockefellaとHigh Hatはやや扱いが難しいHyperionでしょうが、同時にFair Trialのクロスがあるのは良いと言えるでしょう。LyphardからもFair Trialを貰う事ができます。きさらぎ賞からの直行という何頭も失敗しているローテーションなのがどうかと思います。使い込んだわけでもないので、3月に走らせておくべきではなかったかなと。
ヴィクトリーはここでブライアンズタイムはどうよという話に集約されてしまうのではないかな。母方にGraustarkなりHasty RoadなりNashuaなりBull Leaを活かすのが欲しいんですが、トニービンにそんな芸当が出来るわけも無く、Sadler's Wellsもまあ無いな。ま、トニービンからNasrullahが入るし、Sadler's WellsからLalunが入るので、全くダメって事にはならんでしょうが、かなりの部分を母系のポテンシャルのみにを依存した形に見えます。そういう意味では父が逆になるが、ノーリーズン、グレイトジャーニー兄弟に似た趣か(あの母はBT向き)。
スプリングSを勝ったフライングアップルは安定感があるものの、突き抜けきらないという印象。スプリングSがメンバーが揃わない上にレースそのものも酷い有様で、トライアルの勝ち馬ながら人気になれないのも仕方なしか。
ローレルゲレイロはどう見ても皐月賞を勝とうと思うレース選択ではないように見える。キングヘイローはそもそも遡ってSquanderがBuckpasserとBetter SelfでLa Troienne、War Admiralの組み合わせクロスを組んだところに始まり、Proud FoolishではPrincequillo、Menow≒Athenia、Sir Gallahad=Bull Dogの多重、グッバイヘイローに至ってTurn-to、Mahmoud、Pharamondがクロスし、キングヘイローでSir Gaylord、Tom Fool、Almahmoudを追加と、多重近交を繰り返して来た血統です。Turn-to→Sir Gaylord、Princequillo→Sir Gaylord、Mahmoud→Almahmoud、Pharamond→Menow→Tom Fool→Buckpasserのようにきっちり繋がっているし、HaloがBlue LarkspurクロスであることはBuckpasserとBetter Selfに対するアプローチになるでしょう。母ビッグテンビーに目を向けてみると、まずマルゼンスキーがFlaming PageとBuckpasserの組み合わせでMenow、Bull Dog、Blue Larkspurの多重、このマルゼンスキーにボールドラッドUSAが居てPrincequilloとNearco、カコイーシーズがいるのでNasrullahやBull Leaを足しつつ、テンビーはRound TableとMill ReefからPrincequilloを享け、マルゼンスキーとの間でNijinskyをクロス。そんなわけで、ローレルゲレイロの両親は同じ指向性を持っているとは言えるでしょう。母方の中心がマルゼンスキーに対して父方はDroneという組み合わせになっているのがどうかなとは思われるところです。ということはやはりTurn-toのバランスが悪いという事になるかと。キングヘイローにとっては仕方ないとしか言えないですけどね。カワカミプリンセスもSeattle Slew、Secretariat、Key to the MintとPrincequilloを重ねてるので、キングヘイローにとってはPrincequilloをいかに使いこなすかというのが重要になってくるのでしょう。
1.ヴィクトリー: ブライアンズタイム - グレースアドマイヤ by トニービン
2.サンツェッペリン: テンビー - プラントオジジアン by オジジアン
3.フサイチホウオー: ジャングルポケット - アドマイヤサンデー by サンデーサイレンス
4.アドマイヤオーラ: アグネスタキオン - ビワハイジ by Caerleon
5.メイショウレガーロ: マンハッタンカフェ - コッコレ by Carson City
6.ローレルゲレイロ: キングヘイロー - ビッグテンビー by テンビー
7.アサクサキングス: ホワイトマズル - クールピアスター by サンデーサイレンス
8.ドリームジャーニー: ステイゴールド - オリエンタルアート by メジロマックイーン
9.ココナッツパンチ: マンハッタンカフェ - ココパシオン by グルームダンサー
10.マイネルシーガル: ゼンノエルシド - エイシンアイノウタ by サンデーサイレンス
11.ナムラマース: チーフベアハート - ビストロドゥパリ by フレンチグローリー
12.フライングアップル: Rahy - ローザロバータ by Fire Maker
13.サンライズマックス: ステイゴールド - グリーンヒルマック by ダンシングブレーヴ
14.ブラックシャンツェ: ブラックタキシード - シノギトップ by ガダボート
15.ニュービギニング: アグネスタキオン - ウインドインハーヘア by Alzao
16.フェラーリピサ: Touch Gold - Dolly Talbo by Capote
17.モチ: スターオブコジーン - イートンカラー by サーペンフロ
18.エーシンピーシー: Fusaichi Pegasus - Catalina by Storm Cat
ラップタイム: 12.2 - 11.2 - 12.1 - 11.6 - 12.3 - 12.3 - 12.3 - 11.6 - 12.0 - 12.3
ヴィクトリーは17番枠からのスタートだった割にはスムーズに逃げる体勢に入れたということと、他の馬が積極的に仕掛けてはこなかったというのがまず大きかったとは思う。スタート直後にハナを取りに行くのではなくて、1コーナーを回りながらすっと出られたのが良かったのだろう。サンツェッペリンが飛ばした2F目をやり過ごす事が出来ている。後はモチが完全に後ろからの競馬になってしまったし、アサクサキングスも来ず、サンツェッペリンも2番手で満足してくれたというところで、レース前に予想した展開が完全に外れた。その上でフサイチホウオーという末脚の強力な馬がいたことで前より後ろを警戒するという部分が強かったのだろう。結果として、ペースを落とす部分こそなかったとはいえ、淡々と逃げるヴィクトリーに対して後続は差を広げられすぎた。レースを見ていて後続馬群との差が開いたことからヴィクトリーの逃げは速い逃げかとも見えたが、1000mの通過タイムは平均ペースに近いものだった。直線でサンツェッペリンに並ばれ、一度はわずかに前に出られていたのを差し返すような力があるとは意外だったが、最初に無駄脚を使わずにすんだことが最後の局面で効いたのではあるだろう。さすがにきつくなってたとはいえ最後を12.3でまとめたのだから、この日の田中勝春は素晴らしい乗り方をしたと言えるだろう。あと松岡はデムーロではなかったともw
サンツェッペリンはスプリングSがあまりにも酷くて、最初から検討の対象外にしてしまっていたし、そこにはテンビー産駒という侮りもあったんだろう。京成杯の一発で終わる馬と思いこんでしまった。まあ、スプリングSからの短い期間で立て直してきた陣営がすばらしかったか。
フサイチホウオーはスタートをゆっくりと出て外に向いていたので、一瞬外に出してしまって勝負するのかなとも思ったが、結局内を回るという形になった。まあ外に向かおうにも壁があったし、ディープインパクトの真似事までやることは出来ないというところか。結局、4コーナーでフライングアップルを外に追いやりながらという形で出した。またもラフな競馬。フサイチホウオー自身の癖もあるんだろうが、このレースに関しては騎手の責任だろう。直線に入って競馬をやめてしまうことになったフライングアップルはかわいそうだった。結果論としては包まれるのを嫌って最初から外に出していた方がもうちょっと臨機応変に対応出来ただろうし、それなら直線でまとめて始末していたんではないかな。パトロール映像を見る限り、スムーズに外に出すチャンスはなさそうではあったが。それにしても直線に向いて加速がついた後は面白かったし、結果がある意味において期待に応えるような3着だったというのは、やはり父親に似すぎているよなあと。
アドマイヤオーラは4着に突っ込んできて驚いたというか、前の2頭とフサイチホウオーしか見てなかったので、どこから飛んできたんだと。
馬名 | 父 | 母 | 母父 | 騎手 | 調教師 | |
1 | フサイチホウオー | ジャングルポケット | アドマイヤサンデー | サンデーサイレンス | 安藤勝己 | 松田国英 |
2 | ローレルゲレイロ | キングヘイロー | ビッグテンビー | テンビー | 藤田伸二 | 昆貢 |
3 | マイネルシーガル | ゼンノエルシド | エイシンアイノウタ | サンデーサイレンス | 後藤浩輝 | 国枝栄 |
4 | ブラックシャンツェ | ブラックタキシード | シノギトップ | ガダボート | 上村洋行 | 長浜博之 |
5 | フェラーリピサ | Touch Gold | Dolly Talbo | Capote | 岩田康誠 | 白井寿昭 |
6 | ドリームジャーニー | ステイゴールド | オリエンタルアート | メジロマックイーン | 蝦名正義 | 池江泰寿 |
7 | サンライズマックス | ステイゴールド | グリーンヒルマック | ダンシングブレーヴ | 池添謙一 | 増本豊 |
8 | ナムラマース | チーフベアハート | ビストロドゥパリ | フレンチグローリー | 藤岡祐介 | 福島信晴 |
9 | サンツェッペリン | テンビー | プラントオジジアン | オジジアン | 松岡正海 | 斉藤誠 |
10 | メイショウレガーロ | マンハッタンカフェ | コッコレ | Carson City | 福永祐一 | 小島太 |
11 | ニュービギニング | アグネスタキオン | ウインドインハーヘア | Alzao | 四位洋文 | 池江泰郎 |
12 | アサクサキングス | ホワイトマズル | クールピアスター | サンデーサイレンス | 武幸四郎 | 大久保龍志 |
13 | モチ | スターオブコジーン | イートンカラー | サーペンフロ | 川田将雅 | 田中章博 |
14 | エーシンピーシー | Fusaichi Pegasus | Catalina | Storm Cat | 柴田善臣 | 久保田貴士 |
15 | アドマイヤオーラ | アグネスタキオン | ビワハイジ | Caerleon | 武豊 | 松田博資 |
16 | フライングアップル | Rahy | ローザロバータ | Fire Maker | 横山典弘 | 藤沢和雄 |
17 | ヴィクトリー | ブライアンズタイム | グレースアドマイヤ | トニービン | 田中勝春 | 音無秀孝 |
18 | ココナッツパンチ | マンハッタンカフェ | ココパシオン | グルームダンサー | 吉田豊 | 大久保洋吉 |
アドマイヤオーラはビワハイジの息子ですから、アドマイヤジャパンの半弟。ビワハイジ自身もそうでしたし、アドマイヤジャパンもそうですが、良い期間が長続きしないという印象はあります。それで、父がサンデーサイレンスからアグネスタキオンに変わったとなれば、それら以上に長持ちしないんだろうなあという気もして、まあこの皐月賞がギリギリというところではないだろうか。弥生賞もそんな良いレースではなかったと思うので微妙。フサイチホウオーが元からこの舞台を苦手にしそうなところに1枠なんて引いたから一番人気になってるようですけどね。外を回して差しきれるかということになるかな。
ドリームジャーニーが一番分からない馬ではあるかな。弥生賞で思ったより伸びてこなかったのを休み明けだったからという理由で納得するかどうか。ステイゴールド、メジロマックイーンという血統は長距離っぽく見られるところであるかとは思いますが、メジロマックイーンは種牡馬としてはそんなに長距離に強くなく、マイル近辺の活躍馬をよく出していました。ステイゴールドが種牡馬としてどの程度の距離をカバーするかというのはまあ考えても無駄かなと思います。でもステイゴールドにステイヤーというイメージを持った事はありません。で、ドリームジャーニーが3着に負けたのは1800mの東京スポーツ杯と2000mの弥生賞ということで、距離に問題があるという可能性を考えた方が良いのかもしれません。
ココナッツパンチはキャリア1戦で弥生賞2着なんだから非凡な馬ではあるでしょう。マンハッタンカフェはスローのレースで差して勝った馬で、ココナッツパンチもその特徴を受け継いでいるとは言えそうです。血統を見て気になるのはグルームダンサーの父Blushing GroomとLomondの母My Charmer。どちらもサンデーサイレンスが苦手とした血であるかと思います。Blushing Groomの方はサンデーサイレンスがHyperionを好むくせにKhaledの効きが弱いという事に尽きるんでしょうが、Tudor Minstrelなども入るのでまだマシかと。マンハッタンカフェは血統表でかなり後退しているというのが気になるところですが、ちゃんと必要なところを持っているのでフォローされるでしょう。ただ、My Charmerに関しては手が打てないかなと。その部分で足を引っ張られるかなあ。
ナムラマースは母父フレンチグローリーでガクっと来るものの、祖母父がMr. ProspectorでGold Diggerがクロスする事になるし、その前にはHoist the Flagを入れてRibotのクロスも作るし、さらにもう一つ戻ったDouble JayからBalladierとチーフベアハートに対してかなり良い血統になってはいます。フレンチグローリーの持つフランス血脈に対しても、Sir Gallahad、Bull Dog、Admiral Drake、Bois RousselのPlucky Liege四兄弟をちりばめて、またBlandfordが随所に絡んで対処してるかとは思えます。Chief's Crownは重いDanzigですが、チーフベアハートは母からアメリカ的なスピードを注入されて多少は軽さを持ったかというところ。ナムラマース自身のファミリーは北米中心に活躍馬を多く出すCourtesyのファミリーで、例えば祖母のDoffはForty Ninerの従姉であり、母父がTom RolfeからHoist the Flagに替わるのですが、ここでHoist the FlagにしてTourbillon経由でFrizetteがもう一本入る形なのは良いのではないかなとも。まあ、中途半端な距離ばっかり勝つチーフベアハート産駒の例に漏れず、この馬もこれまでの4勝が全て1800mというのが気になるかな。
アサクサキングスはジェニュインの全妹の仔ということで注目されるところはあるだろうし、それなりの実績も残しています。ただ、ホワイトマズル自体がどっちかと言うと牝馬に強い種牡馬ですし、ジェニュインもサンデーサイレンス産駒としての血統の完成度はやや低いと思わされます。Tudor Minstrelが入って、Sir Gallahad=Bull Dogも豊富なのは良いのですが、Bull DogはBull Leaから牝馬というルートでないと威力半減といったところ。ホワイトマズルのEla-Mana-Mouが持つRockefellaとHigh Hatはやや扱いが難しいHyperionでしょうが、同時にFair Trialのクロスがあるのは良いと言えるでしょう。LyphardからもFair Trialを貰う事ができます。きさらぎ賞からの直行という何頭も失敗しているローテーションなのがどうかと思います。使い込んだわけでもないので、3月に走らせておくべきではなかったかなと。
ヴィクトリーはここでブライアンズタイムはどうよという話に集約されてしまうのではないかな。母方にGraustarkなりHasty RoadなりNashuaなりBull Leaを活かすのが欲しいんですが、トニービンにそんな芸当が出来るわけも無く、Sadler's Wellsもまあ無いな。ま、トニービンからNasrullahが入るし、Sadler's WellsからLalunが入るので、全くダメって事にはならんでしょうが、かなりの部分を母系のポテンシャルのみにを依存した形に見えます。そういう意味では父が逆になるが、ノーリーズン、グレイトジャーニー兄弟に似た趣か(あの母はBT向き)。
スプリングSを勝ったフライングアップルは安定感があるものの、突き抜けきらないという印象。スプリングSがメンバーが揃わない上にレースそのものも酷い有様で、トライアルの勝ち馬ながら人気になれないのも仕方なしか。
ローレルゲレイロはどう見ても皐月賞を勝とうと思うレース選択ではないように見える。キングヘイローはそもそも遡ってSquanderがBuckpasserとBetter SelfでLa Troienne、War Admiralの組み合わせクロスを組んだところに始まり、Proud FoolishではPrincequillo、Menow≒Athenia、Sir Gallahad=Bull Dogの多重、グッバイヘイローに至ってTurn-to、Mahmoud、Pharamondがクロスし、キングヘイローでSir Gaylord、Tom Fool、Almahmoudを追加と、多重近交を繰り返して来た血統です。Turn-to→Sir Gaylord、Princequillo→Sir Gaylord、Mahmoud→Almahmoud、Pharamond→Menow→Tom Fool→Buckpasserのようにきっちり繋がっているし、HaloがBlue LarkspurクロスであることはBuckpasserとBetter Selfに対するアプローチになるでしょう。母ビッグテンビーに目を向けてみると、まずマルゼンスキーがFlaming PageとBuckpasserの組み合わせでMenow、Bull Dog、Blue Larkspurの多重、このマルゼンスキーにボールドラッドUSAが居てPrincequilloとNearco、カコイーシーズがいるのでNasrullahやBull Leaを足しつつ、テンビーはRound TableとMill ReefからPrincequilloを享け、マルゼンスキーとの間でNijinskyをクロス。そんなわけで、ローレルゲレイロの両親は同じ指向性を持っているとは言えるでしょう。母方の中心がマルゼンスキーに対して父方はDroneという組み合わせになっているのがどうかなとは思われるところです。ということはやはりTurn-toのバランスが悪いという事になるかと。キングヘイローにとっては仕方ないとしか言えないですけどね。カワカミプリンセスもSeattle Slew、Secretariat、Key to the MintとPrincequilloを重ねてるので、キングヘイローにとってはPrincequilloをいかに使いこなすかというのが重要になってくるのでしょう。
Result
ヴィクトリーですか…1.ヴィクトリー: ブライアンズタイム - グレースアドマイヤ by トニービン
2.サンツェッペリン: テンビー - プラントオジジアン by オジジアン
3.フサイチホウオー: ジャングルポケット - アドマイヤサンデー by サンデーサイレンス
4.アドマイヤオーラ: アグネスタキオン - ビワハイジ by Caerleon
5.メイショウレガーロ: マンハッタンカフェ - コッコレ by Carson City
6.ローレルゲレイロ: キングヘイロー - ビッグテンビー by テンビー
7.アサクサキングス: ホワイトマズル - クールピアスター by サンデーサイレンス
8.ドリームジャーニー: ステイゴールド - オリエンタルアート by メジロマックイーン
9.ココナッツパンチ: マンハッタンカフェ - ココパシオン by グルームダンサー
10.マイネルシーガル: ゼンノエルシド - エイシンアイノウタ by サンデーサイレンス
11.ナムラマース: チーフベアハート - ビストロドゥパリ by フレンチグローリー
12.フライングアップル: Rahy - ローザロバータ by Fire Maker
13.サンライズマックス: ステイゴールド - グリーンヒルマック by ダンシングブレーヴ
14.ブラックシャンツェ: ブラックタキシード - シノギトップ by ガダボート
15.ニュービギニング: アグネスタキオン - ウインドインハーヘア by Alzao
16.フェラーリピサ: Touch Gold - Dolly Talbo by Capote
17.モチ: スターオブコジーン - イートンカラー by サーペンフロ
18.エーシンピーシー: Fusaichi Pegasus - Catalina by Storm Cat
ラップタイム: 12.2 - 11.2 - 12.1 - 11.6 - 12.3 - 12.3 - 12.3 - 11.6 - 12.0 - 12.3
ヴィクトリーは17番枠からのスタートだった割にはスムーズに逃げる体勢に入れたということと、他の馬が積極的に仕掛けてはこなかったというのがまず大きかったとは思う。スタート直後にハナを取りに行くのではなくて、1コーナーを回りながらすっと出られたのが良かったのだろう。サンツェッペリンが飛ばした2F目をやり過ごす事が出来ている。後はモチが完全に後ろからの競馬になってしまったし、アサクサキングスも来ず、サンツェッペリンも2番手で満足してくれたというところで、レース前に予想した展開が完全に外れた。その上でフサイチホウオーという末脚の強力な馬がいたことで前より後ろを警戒するという部分が強かったのだろう。結果として、ペースを落とす部分こそなかったとはいえ、淡々と逃げるヴィクトリーに対して後続は差を広げられすぎた。レースを見ていて後続馬群との差が開いたことからヴィクトリーの逃げは速い逃げかとも見えたが、1000mの通過タイムは平均ペースに近いものだった。直線でサンツェッペリンに並ばれ、一度はわずかに前に出られていたのを差し返すような力があるとは意外だったが、最初に無駄脚を使わずにすんだことが最後の局面で効いたのではあるだろう。さすがにきつくなってたとはいえ最後を12.3でまとめたのだから、この日の田中勝春は素晴らしい乗り方をしたと言えるだろう。あと松岡はデムーロではなかったともw
サンツェッペリンはスプリングSがあまりにも酷くて、最初から検討の対象外にしてしまっていたし、そこにはテンビー産駒という侮りもあったんだろう。京成杯の一発で終わる馬と思いこんでしまった。まあ、スプリングSからの短い期間で立て直してきた陣営がすばらしかったか。
フサイチホウオーはスタートをゆっくりと出て外に向いていたので、一瞬外に出してしまって勝負するのかなとも思ったが、結局内を回るという形になった。まあ外に向かおうにも壁があったし、ディープインパクトの真似事までやることは出来ないというところか。結局、4コーナーでフライングアップルを外に追いやりながらという形で出した。またもラフな競馬。フサイチホウオー自身の癖もあるんだろうが、このレースに関しては騎手の責任だろう。直線に入って競馬をやめてしまうことになったフライングアップルはかわいそうだった。結果論としては包まれるのを嫌って最初から外に出していた方がもうちょっと臨機応変に対応出来ただろうし、それなら直線でまとめて始末していたんではないかな。パトロール映像を見る限り、スムーズに外に出すチャンスはなさそうではあったが。それにしても直線に向いて加速がついた後は面白かったし、結果がある意味において期待に応えるような3着だったというのは、やはり父親に似すぎているよなあと。
アドマイヤオーラは4着に突っ込んできて驚いたというか、前の2頭とフサイチホウオーしか見てなかったので、どこから飛んできたんだと。