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在りし日々のガンガン 1話

ドラゴンクエスト列伝ロトの紋章 / 藤原カムイ 全21巻

ガンガンが創刊されるに当たっては当然エニックスからすればドラクエを前面に押し出すことになるのだが、4コママンガだけで人気を維持できるなどという夢は見なかったらしい。そこでロトシリーズと舞台を共有したマンガを看板として展開することになった。
当時藤原カムイがどのような評価を受けていたマンガ家だったのかは知る術が無いが、この人選は間違いではなかった。創刊直後は一人でガンガンを支える存在であり、この作品が失敗に終わっていたらガンガンも運命をともにしたことと考えられても不思議ではないからである。創刊から一年もすれば柴田亜美の南国少年パプワ君が大人気になったということもあって、運命共同体とは言えなくなったのも確かだが、長くガンガンの看板マンガとして雑誌を支えた。
ストーリーはドラクエIIIから100年後に設定され、ロトの子孫であるカーメン王国の王子アルスとゾーマを倒した勇者の仲間の子孫である3人のケンオウが異魔神と戦うというものだった。異魔神の下には4人の魔王がいて、上の世界とアレフガルドを攻めているなど、ドラクエを最大限に活かした設定が魅力だった。10巻のアリアハンでの獣王グノン戦までは名作と呼ばれるにふさわしいマンガであり、3巻のラストなど涙なくしては読めないものである。
しかし雑誌に計り知れない貢献をしたこのマンガの最後は不遇であった。ジパング編が終わる頃から加速度的に展開していくストーリーについていけなくなった読者も多かったのではないだろうか。その原因として一般に言われているのが、当時発売されたばかりのドラクエVIをマンガ連載する予定となり、編集部がロトの紋章を早く終わらせたかったというものである。そのためか、ストーリーの消化が急激に進み、最後はアルスとケンオウたちの物語ではなく、3人のロトの子孫による物語になってしまった印象が否めない。そして最後にはドラクエIにつながるような竜王のシーンもあって、この作品の立ち位置をはっきりと表していたのが印象的である。
この連載中のいくつかの謎は残されたままであり、例えばティーエとルビスの関係など、それらはよく議論の対象になっている。アステアの性別も本編中では一切語られておらず、胸がある/ないなどといった論争の種になっていたが、ガンガンYGに掲載されたReturnsにおいてはっきりと女性であることが示され、決着がついた。それで本編のコミックスを読み返してみると結構な抱き付き魔であるような気がしてくるから恐ろしいものである。ガンガンYGのReturnsでは他にもジャガンの過去やカダルの過去が明かされたが、肝心のアルスとティーエについてはまだ語られていない。
この作品が終了した後、作者を変えて連載されたドラクエVIのマンガ化はまず失敗と言うべき結果に終わったので、それが原因でロトの紋章の後半部がやや拙速な展開をしたのは悲しいことである。
なお現在はドラクエVIIが連載されており、こちらは藤原カムイ氏の手に戻っている。編集部も失敗を認めたのだろう。さらに、新創刊されたヤングガンガンにおいてもロトの紋章の続編という位置付けの作品が連載されている。


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