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在りし日々のガンガン 4話

輝竜戦鬼ナーガス / 増田晴彦 全9巻

ロトの紋章を始めとした人気作の脇を固めた作品といってよいだろうか。初期ガンガンの中にあってはそのクオリティはロトの紋章と並んで一つ抜けた存在であった。作者の増田晴彦はナーガス以前にも連載経験のある作家でそういった面がものを言ったのだろう。
世界設定はしっかりとしており、世界各地の神話などからモチーフを得ている。物語は魔精界と呼ばれる世界の勢力争いに負けた水の一族が救世主たるナーガスを探して現代にやってくるところから始まる。ストーリーの骨格はケルト神話におけるルー・ラヴァーダの祖父殺しと一致しており、これが作中ではナーガス伝説と言われている。主人公霧山竜輝はそのナーガスであり、火と水と竜族の魔神と人間のハーフである。よって火の力と水の力を操ることができるが、魔神として覚醒したてでは怒りによる火の力で戦っていた。その後に水の力を使うようになる。この辺りの話の展開は主人公が未知の力に目覚める、壁にぶつかって次の力に目覚めていくということになっているが、むやみやたらと繰り返したのではなく、日常生活から離れていく描写とともに出てきていた。(具体的にはサラマンドラバーンが初めて上位魔神と戦った時、ハイドラシュレッダーが初めて火の上位魔神と戦った時である。前者では家と父親を失い、後者では幼馴染を巻き込んでしまう)
その後もライバルであるギレウスの登場によって打ちのめされたり、大いなる力に飲み込まれたりと堅実にストーリーを展開させていたが、最終決戦とその直前での炎魔六将の扱いを見るに多少急いだ感も受ける。作者が最終巻で明かしたところによれば、その少し前から最終回の予定が決まっていたと言うことである。よってこれは打ち切られたと見ることも出来ようが、その予定が決まってからの分量を考えれば打ち切りと言ってしまうのはあまりにも乱暴であろう。ガンガンの長期連載として最初にしっかりとした最終回を迎えるという役割を担っただけのことである。
また、ナーガス連載中には過去の作品であるサーガオブドラゴンと超新世モンスターロードのコミックがエニックスから再版されるなど、それなりに良い待遇を受けていたようにも思われる。
なお余談のようになってしまうが、大いなる力の持ち主だったウザーテースが語るナーガス伝説の真実(大戦の敗北者ウザーテースによる竜と火の共倒れを狙った呪いに過ぎない)があって、単純な少年マンガのように伝説の勇者が魔王を倒しましたというストーリーにしなかったのは作者の見識であろう。
この後の増田晴彦はエニックスの雑誌でいくつかの連載を持つが、その全てが打ち切られるという結果になっている。多少の絵柄の変化はあるものの、基本的にナーガスのようなテイストの絵、本人が怪獣マンガ家などというほどモンスターを描くのが好きでどの作品にもそういったファンタジーを持ち込んでいたことが原因で人気が出なかったのであろう。ようはガンガンがナーガスのようなマンガを受け入れなくなっていったとも言える。
風の騎士団は異世界を舞台にしたファンタジーマンガで当初はガンガンに連載されていたが、月2回刊行になるに当たってGファンタジーに移籍した。Gファンタジーも創刊当時ならいざ知らず、徐々に方向性が変わりつつあった時代であり、不遇な扱いのまま打ち切られた。このため、数々の設定が投げ出されたまま最終回を迎えてしまい、ナーガスとは比べるまでも無い完成度の低さとなっている。せめてナーガスと同じ程度の分量あるいは余裕があればと思われるものであった。なお、公式サイトの掲示板における作者のコメントを見るに、風の騎士団については作者自身もかなり未練を残しており、機会があれば続編を描きたいとは考えているようである。問題はその機会を与えてくれる場がまず無いであろうというところではあって、創刊当初からヤングガンガンならそれを受け入れる事も出来そうな感じはしているのだが、まだまだそうはならないようである。
続いて連載されたのは生体融結バイオガーダーという作品でこれはガンガンWINGに連載された。ガンガンWINGがまだガンガンの別冊として季刊で刊行されていた時代から連載されていたが、次第に雑誌の方向との乖離が見られるようになって打ち切られた。
このあとしばらく間が空いて、ガンガンに復帰することになったのがスサノオという作品である。日本神話をベースとした作品でやっぱりモンスターマンガ。超新世モンスターロードに近い作品であった。連載初回は巻頭カラーに加えて60ページを超えるページ数などそれまでのことを考えると破格の待遇といっても良かったが、当時のガンガンの方向性に合う作品ではなく、アッサリと打ち切られてしまった。この作品の場合は編集部に見殺しにされ壮絶に散ったという印象すら受けるのである。作品のイメージとしては日本神話を舞台に再構築された超新世モンスターロードだったというところはあって当時のガンガンのメインとなる読者層には受け入れられなかった。
近年は成人マンガを描いておられるようですが、それすらも最近は見かけないという状況ではあります。
公式サイト: 寄生工房通信http://www.annie.ne.jp/%7Eshidu/koubou/


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