RITCHIE BLACKMORE
DEEP PURPLE
メンバーチェンジを繰り返しながら、現在も活動を続けるHard Rockの歴史と伝説。
DEEP PURPLEはメンバーチェンジの多さもありますが、同じメンバーで作られているアルバムでもアルバム毎の落差の大きなバンドです。ライブで本領を発揮するバンドでもあり、ライブ盤のリリースも多くありますが、こちらも落差が大きいです。
解散中の1980年に発表されたベストアルバムDEEPEST PURPLEがもっとも入りやすいアルバムです。
DEEP PURPLEの中心となったのはRitchie Blackmoreのギター、John Lordのキーボード、Ian Paiceのドラムです。しかし、1994年のアルバムTHE BATTLE RAGES ONを最後にRichie Blackmoreが2度目の脱退。2003年にはRitchieの、次に辞めるのはJohnだ、という言葉のとおりJohn Lordが脱退。現在もDEEP PURPLEに残るのはIan Paiceだけとなっています。
DEEP PURPLE Mark I
第一期DEEP PURPLEはRitchie、John、Ian Paiceの他ヴォーカルにRod Evans、ベースにNick Simperというメンバーで3枚のアルバムをリリースしています。
この頃はどちらかというとアメリカで人気のあるバンドという程度の認識だったようです。第一期はJohnのオルガンを主体としたサウンドでプログレに近い作風となっています。
DEEP PURPLE MarkII
LED ZEPPELINの成功に刺激を受けたRitchieはRobert Plantのようなシャウトのできるヴォーカルの必要性を感じ、同時にベーシストも替えてIan GillanとRoger Gloverが加入します。
こうしてDEEP PURPLEは第二期に入りますが、ここでJohnが主導権を持ちオーケストラとの共演によるIN CONCERTを発表し、イギリスでもその名が知られるようになります。そして、Ritchieが主導権を持ったアルバムIN ROCKでHard Rockバンドとしての評価を確かなものとしました。
黄金時代と評される第二期ですが、スタジオアルバムとしてはIN ROCKとMACHINE HEADが良いくらいでその他はあまりアルバム単位では良くありません。曲ごとに見ていくとまた違うのですが、DEEPEST PURPLEにほとんど入ってます。ライブアルバムも多く出ていて、最も有名なのはLIVE IN JAPANです。
DEEP PURPLE Mark III
Ritchie Blackmoreは次第にシャウトするだけでメロディを歌えないIan Gillanに対して不満を抱くようになります。他のメンバーもIan Gillanを扱いかねていたため、Ian GillanはDEEP PURPLEを解雇される事になります。それと同時にRitchieもDEEP PURPLEから脱退することになっていましたが、John LordとIan PaiceはRoger Gloverを辞めさせる事でRitchieを残留させます。
Rogerに解雇を伝えたのはRitchieでしたが、このような事情からRogerはJohnとIan Paiceに裏切られたと感じていた事を後に明かしています。
こうしてDEEP PURPLEは再びヴォーカルとベースを交代させることになり、当時TRAPEZEというバンドでヴォーカル兼ベースとして活躍していたGlenn Hughesが加入する事になります。Glennはヴォーカリストとしても十分な力量を持っていましたが、更にオーディションでDavid Coverdaleが採用され、Davidがメイン、Glennがサブとヴォーカルを分担する事になります。
これが第三期DEEP PURPLEの編成で、第二期とは違いメロディを重視した曲風が特徴となります。スタジオアルバムとしてはBURNとSTORMBRINGERがあり、特にBURNは第二期の名盤であるIN ROCKなどに匹敵するすばらしいアルバムに仕上がっています。またRitchieのライブパフォーマンスが有名になったCARIFOLNIA JAMはこの第三期によるライブです。
DEEP PURPLE Mark IV
アルバムSTORMBRINGER収録時に思い通りにならなかった事、音楽性の違いによるGlennとの衝突などからRitchieはDEEP PURPLEからの脱退を決め、もう一つの黄金時代である第三期は終焉を迎えます。
バンドはRitchieの後任としてTomy Borlinを採用し、COME TASTE THE BANDを完成させますが、第四期となるこの編成はうまく行かず、スタジオアルバムは一枚のみでバンドは解散する事になります。
Interval of DEEP PURPLE
Ritchie BlackmoreはRAINBOWを結成し、アルバムごとの恒例となったメンバー交代の結果Roger Gloverが加入する事になります。RAINBOWについては後述。
David Coverdaleはソロキャリアを開始し、やがてWHITE SNAKEが結成されます。WHITE SNAKEにはJohn LordとIan Paiceが参加しましたが、Paiceはすぐに脱退しGary MooreのアルバムCORRIDORS OF POWERに参加することになります。
Ian GillanはIAN GILLAN BANDを経てRonnie James Dioの後任としてBLACK SABBATHに加入します。
こうしてDEEP PURPLEのメンバーは新たなキャリアを築いていましたが、1980年にリリースされたベストアルバムDEEPEST PURPLEがNWOBHMの流れにも乗って脅威的な売上を記録すると、再結成が期待されるようになります。特に当時金銭的に困難な立場にいたIan Gillanが強く再結成を望んでいましたが、再結成にはいたらずRAINBOWがアルバムレコーディングに入ったことでいったん再結成は流れてしまいます。
しかし再びDEEP PURPLE再結成に対して巨額のオファーが提示され、ついにDEEP PURPLEの再結成が実現しました。
DEEP PURPLE Reunion
1984年のDEEP PURPLEの再結成は第二期のメンバーで行われました。
このメンバーではPERFECT STRANGERSとTHE HOUSE OF THE BLUE LIGHTと2枚のアルバムをリリースしましたが、Ian Gillanの声の衰えが明らかで、またアルバム収録中に非協力的であったためまたしても解雇されます。
Gillanの後任には様々な名が挙がり最終的にRAINBOWの3代目ヴォーカリストJoe Lynn Turnerに決まります。こうして制作されたアルバムがSLAVES AND MASTERSですが、次のTHE BATTLE RAGES ONではヴォーカルがGillanに戻ります。
この状況に嫌気がさしたのかアルバム制作後のツアー中にRitchieは脱退を表明しました。DEEP PURPLEは残りのツアーをJoe Satrianiのサポートでしのぎ、正式な後任にはSteve Morseが選ばれました。
その後もコンスタントにスタジオ作をリリースしていましたが、バンドの30周年記念として行われたIN CONCERTの再演で満足したのかJohn Lordがついに脱退を表明。すぐに後任としてDon Aireyが加入する事が発表され、現在もバンドとしての活動を続けています。
再結成後のDEEP PURPLEに対しては、迷走という言葉がふさわしいように感じます。
RAINBOW
個性的なメンバーたちと繰り広げられた魔術師の技
RAINBOWはDEEP PURPLEで思い通りにいかない事が多くなったRitchie BlackmoreがRonnie James Dio率いるELFのメンバーを使ってシングルのレコーディングを行った際にRonnieの才能に気付いて、DEEP PURPLE脱退後にアルバムの制作をしたことから始まっています。
アルバム毎にメンバーチェンジが行われていますが、特に重要なのがシンガーの交代です。これはRitchieが徐々にアメリカのラジオで好まれるポップな路線にシフトしたことが原因となっています。
後半はDEEP PURPLE再結成に翻弄されてBENT OUT OF SHAPEを最後に解散しました。Joe Lynn Turnerとは後にDEEP PURPLEでもコンビを組んでいます。
RAINBOW History
DEEP PURPLEから脱退したRitchie Blackmoreはその原因の一つともなったカヴァー曲の収録をRonie James Dioの率いるELFというバンドのメンバーと行います。この収録が予想以上にうまくいった事もあって、そのままアルバムのレコーディングに入り完成したのがRITCHIE BLACKMORE'S RAINBOW(銀嶺の覇者)です。
しかしライブツアーを行うにあたってメンバーチェンジの必要性を感じたRitchieはRonie以外のメンバーを解雇し、新たにCozy Powellらが加入します。そして2ndアルバムのレコーディングが行われ、名盤RISING(虹をつかむ覇者)が完成し、RAINBOWの名義でリリースされる事になります。
RAINBOWはメンバーチェンジを繰り返しながら次第にPopな要素を持つようになっていきます。
Ronnieは3rdのLONG LIVE ROCK'N' ROLL(バビロンの城門)を最後にクビになり、Graham Bonetが加入して制作されたDAWN TO EARTH、Joe Lynn Turnerを迎えて制作されたDIFFICULT TO CURE(I SURRENDER)、STRAIGHT BETWEEN THE EYES(闇からの一撃)、BENT OUT OF SHAPE(STREET OF DREAMS)を残して、DEEP PURPLE再結成のため解散しました。()内は日本で発売さた時のアルバムタイトルです。
RitchieとJohnがそれぞれに主導権を持っていたDEEP PURPLEとは異なり、RAINBOWにおいてはRitchieが全てを決める立場ですので、メンバーも次々に入れ替わります。さすがにRAINBOWに関してはメンバーチェンジの一つ一つをフォローはしていません。
しかしヴォーカルの交代が大きな転換点となっていて、最初のRonnieの時代がドラムのCozyの影響もあってもっともHard Rock的であり、後に様式美ともいわれる大曲が揃っています。Grahamの場合はそのヴォーカルを活かしたHard Rock作となり、最後のJoeの時代にはPopな曲が目立つようになります。特にJoeはRAINBOWをPopバンドにしたとよく非難される立場にあるのですが、Ritchie自身がこの路線を狙った事はインタビューなどでもはっきりと明かされています。他の主な参加メンバーにはDAWN TO EARTHとDIFFICULT TO CUREに参加したDon Airey、DAWN TO EARTH以降のアルバムでベース兼プロデューサーとして参加したRoger Gloverがいます。
RAINBOWの代表的なアルバムとしてはRISINGとBENT OUT OF SHAPEが挙げられ、これにDAWN TO EARTHを加えた3枚の中からヴォーカリストの好みなどから選ぶのがよいと思います。
曲としてはRISINGからはStargazer・Light in the blackの組曲、DAWN TO EARTHからはEyes of the world、BENT OUT OF SHAPEからはStreet of dreamsが代表曲として挙げられます。
DEEP PURPLE同様ライブアルバムも多くリリースされていますが、ON STAGEとFINYL VINYLが有名です。ON STAGEはRonnie時代のライブを収録しており、FINYL VINYLはJoe時代の曲が多く収録されています。
個人的にはギタープレイについてはDEEP PERPLEのライブが一番聴き応えがあり、作曲者としてはRAINBOWのスタジオ作がを聴くのが良いと思います。
BLACKMORE'S NIGHT
現代を旅する吟遊詩人
再びDEEP PURPLEを脱退したRitchie BlackmoreはDEEP PURPLEにIan Gillanを復帰させる事と引き換えに得たといわれるレコード契約を消費するためのアルバムの制作に入ります。
Prelude to the BLACKMORE'S NIGHT
DEEP PURPLEから2度目の脱退をしたRitchie BlackmoreはヴォーカルにDoggie Whiteを迎えてソロアルバムを作成しました。Doggie以外のメンバーがJoe Lynn Turnerに近いメンバーだったこと。またDEEP PURPLEでも結局Joeに決まったとういう経緯もあり、Joeがヴォーカルなのではという噂が絶えないなか制作されたアルバムですが、Doggieが健闘してよいアルバムにしあがっています。
これがRITCHIE BLACKMORE'S RAINBOWの名義で発表されたSTRANGER IN US ALLで、収録曲のうちAriel、Black masqueradeなどで作詞とコーラスを担当したのがCandice Nightです。
BLACKMORE'S NIGHT
ついにRitchie Blackmoreは夢の実現に動き出します。
Candice Nightをシンガーに据え、アコースティックを主体としたサウンドでクラシック曲を基にした曲や、中世欧州世界をイメージさせるような曲を中心としたSHADOW OF THE MOONをBLACKMORE'S NIGHT名義でリリースします。
SHADOW OF THE MOONでは一切キーボードを使わずに制作されましたが、続くUNDER THE VIOLET MOONでは同じ路線を踏襲しながらも、更に曲のバラエティが増し、キーボードによるサウンドも聴かれるようになっています。しかしUNDER THE VIOLET MOONではエレキギターを使用したのは一曲だけと、よりアコースティックにこだわりを見せています。
その後も3枚目のスタジオ作FIRES AT MIDNIGHT、ライブアルバムPAST TIME WITH GOOD COMPANIESとコンスタントにリリースされ、最新のスタジオアルバムとしてGHOST OF A ROSEが発表されました。
個人的なお勧め
DEEP PURPLE
アルバムごとのばらつきだけでなくアルバムの中でさえも全く違ってくるのでまずは全盛期の曲を集めたベルトアルバムDEEPEST PURPLEかライブアルバムLIVE IN JAPANあたりから入るのがよいかもしれません。再結成後はPERFECT STRANGERSとJoeの参加しているSLAVES AND MASTERSがお勧めです。
RAINBOW
どのシンガーが好みかによって評価が変ってくるので、RonnieならRAINBOW RISING、JoeならBENT OUT OF SHAPEが最もよいアルバムでしょう。Grahamに選択の余地はありません。DAWN TO EARTHも素晴らしいアルバムでシンガーGraham Bonetは確かに凄い声の持ち主だと思い知らされます。
STRANGER IN US ALLもクオリティの高いアルバムで、特にDoggie Whiteは当時は無名のシンガーでしたが、今ではYngwie Malmsteenのバンドでヴォーカルを担当しているようにかなりの実力を持ったシンガーです。
BLACKMORE'S NIGHT
初期の2作品が特にお勧め。
SHADOW OF THE MOONはRitchieのクラシック趣味が如何なく発揮されていますし、UNDER A VIOLET MOONはさらに多彩な欧州民族音楽を採り入れています。一枚に絞るならUNDER A VIOLET MOONを選びますが。