Worldwide GI Races in 2006
Worldwide GI Winners in 2006
このデータの一部を使って書いたのがこの記事だったりもします。今度は地域別に見ておきますか。
Oceania
とにかくDanehillという事になるかと思われます。特にオーストラリアではその傾向が強く出ています。一方でニュージーランドではDanehill以外のDanzig系などが目立ち、オーストラリアほどDanehillが圧倒しているという事はありません。すでにオーストラリアではDanehillの後継種牡馬が定着しており、その筆頭のRedoute's ChoiceはMiss FinlandでVRC Oaksを勝って距離の壁を突破。初年度と2年目の産駒の様子から早熟気は拭えませんが、これが問題になるかというとそうでもないかなといった感じ。この他オセアニアで2006年にGI馬を出したDanehill後継種牡馬にはDesert King、Arena、Catbird、Danewin、Commands、Flying Spur、Lion Hunter、Danzero、Danskeと多彩。まだこれからも増えるという一方でそろそろ淘汰されていくのではないかとも思われ、今が一番種類が多い時期になるのかなという印象もあります。去勢馬の多いオセアニアですので、Dance Heroのように3歳以降でくすぶっていた馬が突如復活ということもあるのが油断なりません。オーストラリアでRedoute's Choiceを追う存在なのがEncosta de Lago。Racing to Winという大物を得ています。Redoute's Choiceよりは3歳から古馬向きで、2歳戦でも活躍させられるものの、前出のDanehill後継陣に席巻されてしまいますが、そこから逆転させるだけの力を持つ馬を出しています。
オセアニアの雄だったZabeelは短距離への対応が渋い事と2歳戦を苦手とする事で、Redoute's ChoiceやEncosta de Lagoに遅れをとっているとも言えます。2006年はやや不振気味でGIを勝ったのはVRC DerbyのEfficientだけでした。それでも重賞クラスに産駒を送り込んで、中距離以上のレースでは存在感を発揮しています。後継のOctagonalは不振か。フランスにシャトルされていた時の産駒からLaverockが出ているだけ救いはあるがZabeelのようにはなれなかった。
この他で目立つのはSnippets、Pinsというオセアニアに土着したTom Fool系Silly Seasonのライン。距離をこなすのでZabeelの地位を奪うのはPinsという事になるやも知れません。NZが拠点という点も共通してますしねw。El Segundoらの活躍でオーストラリアからの注目が集まれば、今後産駒がもっとオーストラリアに進出する事になるでしょう。
Mr. Prospectorの進出はそれ程でなく、芝をこなせるタイプが活躍馬をたまに出す程度。NureyevやSadler's Wellsもシャトルサイアーを通じて一定の影響力は確保していて、NureyevからはStravinskyからSerenade Roseが出ているほかSpinning WorldもGI馬を出している。Sadler's WellsではSingspielなど。
Europe
英愛仏は既に世を去ったDanzigとDanehillの親仔によって制圧されている印象が強い。フランスでは26戦中14戦がDanzig直系の手に落ちた。スプリントからクラシックディスタンスまでをカバーする点がスプリントで存在感の無いSadler's Wellsと異なるところであり、差がついてしまうところでもあるかなと。ここでもDanehill後継種牡馬として英愛でDanehill Dancer、仏でDansiliが活躍。Rock of Gibraltarも初年度産駒からGI馬を出している。一方Danzigの方は代が進みGreen DesertからCape Cross、Desert Styleという種牡馬がGI馬を出したし、Grand LodgeやKey of Luckを抱えていたChief's CrownはSinndarに頼る形になってしまうかなと。Sadler's Wells後継種牡馬の筆頭に名乗りを挙げたMontjeuですが、昨年の成績はやや不満が残るところではあるか。初年度産駒は古馬になってからも活躍しましたが、それに続く世代がいまいちというところが気になります。初年度産駒が出来すぎていたということもありましょうが、こう極端になってしまうのもどうか。Galileoは初年度産駒をみる限りではMontjeuよりスタミナが勝った種牡馬であるという印象でしたし、実際St. Legerの出馬表に5頭並べてワンツースリーを決めてきたときにはGalileoのこの先が微妙に心配にもなりました。ただ、2歳にTeofiloという大物を出せましたし、まずまずか。
NureyevからはPivotal産駒Peeress、Gold Away産駒Alexander Goldrun、Peintre Celebre産駒Prideが牡馬と伍して戦うなどとにかく牝馬が強い。牡馬はどうなっとるんでしょうね。
Mr. ProspectorはWoodmanやMiswakiが一線から去り、また彼らは確たる後継種牡馬を残せなかった事もあって後退しているという印象すら受ける。MachiavellianがMediceanの活躍で地歩を得ている程度になってきつつある。後は昨年目立った無かったKingmamboがどこまで来るかということになってしまうのかもしれないなと。
Mill ReefはMark of EsteemがSir PercyとReverenceを出した。またドイツのDashing BladeからLord of Englandが出ている。
ドイツのMonsunはShirocco、Gentlewave、Schiaparelli、Floriotと4頭のGI馬を出して健在。これなら血統的な面を抜きにしてもあちこちから注目を集めるのも当然といったところではあるだろう。同じくドイツのLandoはDonaldsonとPrince FloriがGIを勝った。今年Prince Floriが国外に打って出て活躍できれば良しとなるか。
North America
ここにきてようやくMr. Prospectorという感じではある。基本的に南北アメリカで目立ったもののそれ以外だと案外だったなあとは思ったり。昨年、北米でGI馬を出したMr. Prospector系種牡馬を列挙してみよう。Pioneering(Storm Catの半弟、直仔)、Thunder Gulch(言わずと知れた二冠馬様、Gulch)、Seeking the Gold(安定感無しだが強い馬は桁が違う、直仔)、Lemon Drop Kid(癖のある馬が多すぎる、Kingmambo)、Real Quiet(都落ちの二冠馬だが復権出来るか、Quiet American)、Smart Strike(最近評価が急上昇中、直仔)、Stolen Gold(Conquistador Cielo)、Strategic Mission(血統構成に優れポテンシャルは高そう、直仔)、Point Given(親仔2代の二冠馬となった名馬、Thunder Gulch)Unbridled's Song(Fappianoラインの嫡流、Unbridled)、Street Cry(DWC馬、Machiavellian)、Miesque's Son(ホントにMiesqueは凄いね、直仔)、Kingmambo(久々の北米GIはやっぱり芝、直仔)
Real Quietは初期産駒の結果が散々でケンタッキーからペンシルバニアに移ってしまい評価が地に落ちているのですが、Pussycat DollとWonder Lady Anne Lを出しました。これで評価が持ち直せば良いけどね。Thunder Gulchも一時期酷かったがそれは脱した様。Kingmamboの北米成績は悲惨の一言。今年はオーストラリアでTawqeetが活躍したがそれ以外だとさっぱり。Blood-Horseのリーディングではまだ欧州での稼ぎで61位に食い込むが、北米圏内限定では100位にすら入らず、芝リーディングでもGI馬を出しておきながらLemon Drop KidはおろかKing Cugatにまで劣る94位という惨状。種付け料30万ドルが泣くぞ…というかPrivateにされてしまったのはこの辺りの事情かなとは思われます。
一方Storm Cat。自身が出したGI馬はBluegrass Catのみ。GI馬を出した後継種牡馬をこちらも並べてみる。
Giant's Causeway(Aragorn)、Hennessy(Henny Hughes)、Johannesburg(Scat Daddy)、Forestry(Discreet Cat)、Stormy Atlantic(Stormello)、Storm At a Half(Downthedustyroad)
古馬はAragornのみ。この辺りはさすがGiant's Causewayという事になりますかね。そして注目すべきはついに良血種牡馬としての本領を発揮しつつあるStormy Atlantic。またそのうち採り上げますが今年の北米リーディングで10位に入り、Storm Cat系の種牡馬としてはGiant's Causewayに次ぐ位置に躍進してきました。自身が古馬になってから活躍したスプリンターであり、産駒も古馬になっても活躍を見せます。またHot Stormのような強力なスプリンターも出しますが、距離を持たせる産駒も多くマイルくらいは余裕。種牡馬としての同期がElusive Quality、Awesome Again、Tale of the Cat、Grand Slam、Distorted Humor、Wild Rush、Skip Away、Indian Charlieなどという凄まじいメンバーで目立たずフロリダで6,000ドルという状況だったのですが、そこから這い上がりケンタッキーに迎えられて、種付け料は現在30,000ドル。今年はStormelloの活躍もあって2歳リーディングを取っていますし、三代母がMoccasinという種牡馬一族の血でもありますし、Storm Cat後継の中核を占めてもおかしくはないかなと。
Asia
日本でSunday Silenceが猛威を振るう。後継種牡馬としてGI馬を出したのは以下。フジキセキ、アドマイヤベガ、アグネスタキオン、タヤスツヨシ、ステイゴールド
日本では32戦14勝でした。
サンデー以外だとエルコンドルパサーが最後に2頭GI馬を出したという事は大きいか。とはいえMr. Prospector系がこのエリアで勝てたのはその二つとTakeover Targetだけではあり、なかなかトップクラスへの浸透は難しいというところはあるのかも。
2006年の日本のGI馬は同じ馬が勝つという結果が多く、ディープインパクトが4勝、アジュディミツオー、ブルーコンコルドが3勝、ダイワメジャー、メイショウサムソン、カワカミプリンセスが2勝。
South America
特にアルゼンチンでMr. Prospectorが目立つ。その中でも強力なのはFappiano系Roy、Seeking the Gold系Mutakddim、直仔Hussonet。良血HussonetはRoyが去ってからチリのトップサイアーに君臨中。Storm CatはアルゼンチンでBernsteinが奮闘している。他にSouthern Haloも昔ほどではなかろうが強いね。 一方ブラジルはそこまで行かなくて、Rainbow Questの仔NedawiとかRoyal Academyのように芝でスタミナという要求はあるかと思われる。他にもShirley Heights系が目立っている。
ペルーではMullerが三冠を達成。2月に芝と距離を克服すれば四冠となる。Mullerの父El CompincheはSouthern Haloの後継種牡馬。Estrellas Classicをダートで2勝するなどしたSouthern Haloの代表産駒の一頭でしたが、種牡馬としては6世代の産駒を残すに止まっています。