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Imaginations from the Other Side

Pedigree Archive

December 15, 2005

アイスドールをきっかけに泥縄的に血統の話 1

本当はアイスドールの話を阪神JFの前にやろうと思ってたのですが、気が付いたらこんな時期ですよ。
アイスドール: キャプテンスティーヴ - ビスクドール by サンデーサイレンス
キャプテンスティーヴはドバイWCの勝ち馬。そのとき2着に下したのがトゥザヴィクトリー。そしてビスクドールはトゥザヴィクトリーの全妹。
ビスクドール自身は未勝利のまま繁殖入りとなっていますが、血統的背景から期待を受ける繁殖牝馬であったのは間違いないでしょう。当時の社台グループはサンデーサイレンスの次を担う種牡馬を試行錯誤している段階であり、ノーザンファームにおいてはフレンチデピュティとクロフネの親仔がその期待を集める存在でした。
事実ビスクドールの母フェアリードールには後にフレンチデピュティが、姉トゥザヴィクトリーにはオーナーの期待のもとクロフネが配されてましたし、後にはフォーティナイナーという選択もありました。そしてこのアイスドールの半妹はクロフネ産駒です。
こういった血統でありながらビスクドールの初年度の相手にそういった種牡馬よりもその年が種付け初年度であったキャプテンスティーヴが選ばれたことにはドバイWCの結果を考慮された部分が少なからず存在するでしょう。そして産まれたアイスドールはキャプテンスティーヴにとっても最良の血統背景を有し、キャプテンスティーヴが種牡馬として成功するかどうかの鍵を握ることになってもおかしくない存在となりました。

Captain Steve: Fly So Free - Sparking Delite by Vice Regent
Captain Steveは2歳から重賞に顔を出していた存在でBC Juvenileは11着に敗れますが、その後Hollywood Futurity Sを勝っています。しかし、3歳になってからは今ひとつ足りない結果が続き、Kentuckey DerbyではFusaichi Pegasusの8着に終わりました。その後のPreakness Sでは4着に終わってBelmont Sはスキップ。相手関係の楽なIowa Derbyを選んで出走して勝つと、そこから本格化してSwaps Sも勝って連勝。その後は安定した結果を残せるようになり、BC前哨戦のGoodwood BCHではTiznowを相手に好勝負をして見せて、BC Classicでは人気薄ながら3着に食い込みました。明け4歳初戦のDonn Hを快勝して北米のエースとしてドバイに参戦。一番人気を背負い、直線でTo the Victoryを軽くかわしたこのレースこそが彼の競争生活におけるハイライトとなりました。その後はドバイ遠征馬の不振の例に洩れず、復帰戦のStephen Foster Hこそ2着に入りますが、Pacific Classicを最後に引退しました。その後JRAによって購入され、JBBA供用種牡馬となり、結果初年度産駒として53頭の産駒を誕生させることになりました。
Damascusによって再興されたTeddyのラインであり、このDamascus系の種牡馬をサンデーサイレンスと組み合わせるという配合はエイシンワシントンを有するエイシンの手によって幾度か試みられエイシンヘーベという馬を出しました。その絶対数を考慮するとまず悪くないというレベルの配合にはなるでしょうか。
Captain Steveは祖父Time For a ChangeGrey Flight一門の出身であるという程度にしか目立つところの無い血統で、牝系も祖母が5勝を挙げる活躍馬だったのが目立つ程度。それでもその活躍でVice Regentを捕まえることができたのだから十分か。
5代内のクロスはNative Dancer4x5、Bold Ruler5x4、Nasrullah5x5、My Babu5x5。Native Dancerは父Fly So Freeの牝系とNorthern Dancer経由。Bold RulerはReviewerJacinto。NasrullahはBold RulerのものとNashuaの仔Stevward。My BabuはDamascusの母父とCrozier。北米の馬としてはMy Babuをクロスしているのが珍しいが、Crozier経由ならそこそこ見かけるかなという入れ方でしょう。 牝系は少し遠いところでAffiliateProud DeltaIndy Five Hundredなどが出ており、フサイチエアデールもその近親にあたります。しかしCaptain Steve自身の累代はEight Thirty、Crozier、Jacinto、Vice Regent、Fly So Freeと一流とは言い切れないレベルです。
父Fly So FreeはBC JuvenileとFlorida Derbyを勝ち、5歳まで活躍しました。Sun AgainとNasrullahをそれぞれ5x4で持ちます。だが、Captain Steveを出したもののそれ以外では上級産駒はほとんど出せず、種牡馬としては失敗といわれても仕方ないレベルでしょう。

Teddyと9号族
20世紀に入って急速に発展した9号族は主に9-c族と9-e族の諸系統に分けられ、9-eから派生したのが9-f、9-g、9-hとなります。とは言うものの、最近のミトコンドリアDNAの研究によって本当の9号族はMaid of Nashamから派生する9-e族諸流であって、9-cの方は12号族と共通しているという結果が出ているようではあります(参照: Who's Your Momma III: Some Lines Misplaced by Thoroughbred Heritageの300 Year Old Mysteries)。追試されたという話は聞かないのでどこまで信頼してよいか分かりませんが、General Stud Boolの成立過程やその当時の命名則を考えれば、当然そういうことは起こりえるでしょうという感じであって、所詮ファミリーナンバーってのはインデックスですからね言っておけば良いかなと。いくらデンパな私でも9-fと9-cを同じように扱いやしないわけですし。それに9-cの方だって面白いことは面白いわけで、ラベリングと考えておけば問題なかろうねと。
そのMaid of Mashamを始祖とするのが9-e族で、そのMaid of Mashamの娘Toxophilite Mareが9-f、同じく娘Young Melbourne Mareが9-g、孫娘Adelaideが9-hの祖となります。Maid of Mashamが1845年産で、19世紀後半にこういった展開を見せ、20世紀に入る頃には9-e族からCylleneFair PlayFriar Rockといった種牡馬を出しています。またZaribaSaint Astraなどが次々と現れて大きく発展しました。
Teddy系の主な種牡馬でこの9-e族系統に所属するのはAsterusAbjerBull LeaSun Again。Asterusは9-f族のAstrellaを母に持ちます。Abjerの母は9-e族の名牝Zariba。Bull Leaは9-f族のRose Leaves、Sun Againも同じく9-f族のHug Againを母に持っています。その辺の牝系図を2つばかし。
Maid of Masham (1845 by Don John) 9-e
|Teddington Mare (1855 by Teddington)
||Adelaide (1866 by Young Melbourne) 9-h
|Young Melbourne Mare (1857 by Young Melbourne) 9-g
|Toxophilite Mare (1861 by Toxophilite) 9-f
|Faraway (1866 by Young Melbourne)
||Lands End (1873 by Trumpeter)
|||Distant Shore (1880 by Hermit)
||||Arcadia (1887 by Isonomy)
|||||Cyllene (1895 by Bona Vista)
|Lady Masham (1867 by Brother to Stafford)
||Pauline (1883 by Hermit)
|||Dame Masham (1889 by Galliard)
||||Fairy Gold (1896 by Bend Or)
|||||Fair Play (1905 by Hastings)
|||||Frair Rock (1913 by Rock Sand)
|||||St. Lucre (1901 by St. Serf)
||||||Zariba (1919 by Sardanapale)
|||||||Abjer (1933 by Asterus)

Toxophilite Mare (1861 by Toxophilite) 9-f
|Stella (1879 Brother to Stafford)
||Astrology (1887 by Hermit)
|||Saint Celestra (1897 by St. Angelo)
||||Saint Astra (1904 by Ladas)
|||||Diavolezza (1911 by Le Sagittaire)
||||||Farizade (1921 by Sardanapale)
|||||||Kassala (1926 by Cylgad)
||||||||Chevelerie (1933 by Abot's Speed)
|||||||||Prince Chavelier (1943 by Prince Rose)
|||||Astrella (1912 by Verdun)
||||||Asterus (1923 by Teddy)
|||Star Shoot (1898 by Isinglass)
|Black Star (1880 by Forerunner)
||The Apple (1886 by Hermit)
|||Thankful Blossom (1891 by Paradox)
||||Colonial (1897 by Trenton)
|||||La Venganza (1902 by Abercorn)
||||||Nellie Morse (1921 by Luke McLuke)
|||||Rose Leaves (1916 by Ballot)
||||||Bull Lea (1935 by Bull Dog)
|||One I Love (1893 by Minting)
||||Affection (1914 by Isidor)
|||||Escutcheon (1927 by Sir Gallahad)
||||||Strange Device (1938 by Stimulus)
||||||Demoliton (1940 by Foray)
||||||Bourtai (1942 by Stimulus)
|||||||Delta (1952 by Nasrullah)
|||||||Levee (1953 by Hill Prince)
|||||||Bayou (1954 by Hill Prince)
|||||Hug Again (1931 by Stimulus)
||||||Sun Again (1939 by Sun Teddy)
これだけでも十分いろいろな馬の名が出てくるんですが、アイスドールはStrange Device直系のファミリーです。その従弟のSun Againという種牡馬が現代に残るおそらく唯一のTeddyのメールラインで、3世孫Damascusによって枝葉が広げられる事になりました。
その話は次回として、ここはまず、Strange DeviceとSun Again双方に入っているStimulusの血統はかなり面白い。父Ultimusは19世紀後半に発展したアメリカンスピードの体現者Dominoが2x2で入る近親交配馬。母HurakanにもLeamingtonStockwellのクロスがあり、米血として見るならばこのLeamingtonもDominoとの関係もあって注目に値します。また、母父Uncleの父であるStar Shootは9-f族出身で、最初のアメリカ三冠馬Sir Bartonの父として知られています。なお、Sir Bartonは9-g族です。
Strange Deviceの母父はSir Gallahadということになりますので、Strange DeviceとSun AgainはともにStimulusとTeddy系の種牡馬の組み合わせということになります。Strange Deviceの全妹であるBourtaiLeveeを筆頭にDeltaBayouを出した超級の名牝で、LeveeとDeltaがBroodmare of the Yearを獲得し、直仔の成績は振るわなかったBayouは3歳女王でした。これに彼女らの半姉Bantaを合わせてそれぞれが牝系を大きく発展させています。
Strange Deviceの方は代が進みLikely Exchangeに及んで再び表舞台に現れています。この牝系はHyperionを継続的にクロスさせているのですが、父HaloBlue Larkspurのクロスを持ち、母父のUnderstandingはSun Againの傍流で、母系にはBull Leaを持つ血統のサンデーサイレンスによって血統の奥深くに眠っていたこのTeddyやDominoを刺激されたと言えるでしょう。サンデーサイレンスの場合は祖母Montain FlowerがHyperionを持つ事もあり、Fairy Dollに対して相性が良いのも当然といえるでしょう。そしてCaptain SteveはSun Againの直系としてその流れを受け継ぐ格好です。累代のEight Thirtyも強力な血統背景を持っています。

こんなところで次回はDamascusを取り上げる予定。

December 18, 2005

アイスドールをきっかけに泥縄的に血統の話 2

すでにアイスドールとの関係はないといえば無いわけだが。

Damascus: Sword Dancer - Kerala by My Babu
DamascusはKentuckey DerbyこそProud Clarionの前に3着と敗れますが、Preakness SとBelmont Sの二冠を達成。その後も勝ちまくり、3歳だけで16戦して12勝、2着3回という抜群の安定感とタフネスを披露して年度代表馬となりました。Woodward Sで10馬身千切り捨ててBuckpasserに引導を渡したのもこのDamascusです。4歳も現役を続け、重いハンデもあり3歳時ほどの凄みはありませんでしたが、Brooklyn Hではレコード勝ちするなど6勝を挙げています。2マイルのJockey Club Gold Cupで生涯唯一となる大敗を喫して引退しました。引退後の1974年に殿堂入りしています。
Sword Dancerも3歳で年度代表馬となり、後に殿堂入り。祖父Sun Glowもブラックタイプ。Captain Steveにとっては祖父にあたるTime For a ChangeもGI馬です。
Damascusの血統面での特徴は祖母Blade of Timeと父Sword Dancerの母父By Jimminyの血統的相似から来るPharamond=Sickleの4x3とBlue Larkspurの5x4となるでしょう。By Jimminyはその母BuginarugがBlack Toney3x2というやや強引な形で米血の特徴付けを受けているのに対し、Blade of Timeの母Bar Nothingは2代をかけてDominoの血を集めそれをBen Brushで支えるという米血の清華とも言うべきニックスを持ちます。Black ToneyにしてもこのDominoとBen Brushのニックスを踏んでいます。Blue LarkspurはPeter Pan父系の最後の繁栄を担った名種牡馬です。ボトムラインにPaduaを3x4でクロスさせ、更にMacaroniGalopinをそれぞれ5x5で持っています。すなわちBlue Larkspurはその血統中Black Toneyに由来する部分こそ米血を集めた形になりますが、他の部分はイギリスの血で構成されています。
Damascusは739頭の産駒から72頭のステークス馬を出しました。一流牝系の繁殖を集め、後継種牡馬にもLa Troienne系のPrivate Account、Grey Flight系のTime For a Change、Cequillo系のOgygianなど良血馬揃いでした。

Private Account: Damascus - Numbered Account by Buckpasser
Private Accountは現役時にはGIを勝つ活躍を見せ、種牡馬入りしてからも活躍馬を送り出しましたが、その良血牝系の影響力に頼ったためか活躍馬が牝馬に偏るフィリーサイアーでした。Inside InformationEast of the MoonPersonal EnsignClassy Cathyという名牝を次々に送り出し、牡馬の産駒では最強であろうPrivate Termsですらこれらに較べると見劣りのする凄まじさです。
Inside InformationはGrey Flightのファミリーで通算17戦14勝。GIを6勝しましたが、そのハイライトは引退戦のBC Distaffで、同期でステープルメイトの同じくPhipps家の送り出した名牝にして前年の3歳女王Heavenly Prizeやその年のKentuckey Derbyにも出走した名牝Serena's Songといった相手を13馬身半ぶっ千切るという恐ろしいまでのパフォーマンスを見せて現役を去りました。引退してからもSmugglerを出しています。
East of the Moonは名牝Miesqueの娘でフランス牝馬二冠を達成して、母の繁殖牝馬としての名声を高めるのに一役買いました。自身は繁殖牝馬としての実績はまだGIIIを勝たせた程度ではありますが、これからというところはあるかな。Mr. ProspectorとかStorm Catばかりで面白くないなとかは思ったりするので、どうせLane's EndにいるんだったらA.P. Indyくらいいっとけと…。
Personal Ensignはアルゼンチンの名牝Doriaに連なるファミリー。最早説明不要な13戦全勝というパーフェクトな戦績を残して引退し、娘My Flagも孫娘Storm Flag FlyngもBCを勝つという名牝系を築いています。
Classy Cathyは9-e族Fairy Goldに遡る事ができる牝系でRomanitaを経由します。GI3勝をして引退、繁殖としては振るいませんでしたが、孫にNoble Causewayが出ました。
欧州でGIを2勝したChimes of FreedomもPrivate Accountの産駒です。8-f族Best in Showの末裔で、Niarchos家の手によってGood JourneyAldebaranという活躍馬を出しています。
Private Termsも祖母にShenanigansを持つ良血馬であり、後継種牡馬としての意地を見せAfternoon DeelitesSoul of the Matterを出して、Damascus後継の主流を成す存在でした。Soul of the Matterは日本で種牡馬入りしたものの成績は振るわず現在ではアメリカに戻って種牡馬生活を送っています。Afternoon Deelitesは初年度産駒から重賞馬が出ましたが、トータルとしては不振で現在はルイジアナで繋養されています。このようにPrivate Termsの後継2頭が成功をつかめなかった結果、現在の北米での影響力をほとんど失ってPrivate Accountの父系は傍流へと転落しました。

Time For a Change: Damascus - Resolver by Reviewer
Time For a Changeは母ResolverがGrey Flightの孫という良血馬で、AdjudicatingやDisputeの半兄にあたります。自身もGIを制しており、Private Accountと並ぶDamascusの良血後継種牡馬でした。種牡馬としてはFly So FreeやTechnologyを出していますが、後継種牡馬には恵まれず、Fly So FreeがCaptain Steveを出している程度です。

Ogygian: Damascus - Gonfalon by Francis S.
OgygianはCequilloのファミリーで従兄にFappianoらが出ています。当初北米で供用されるも産駒成績は良くなく、エイシンワシントンの活躍もあって日本に輸入されました。エイシンワシントンはGIこそ勝てませんでしたが、短距離戦でのスピードに優れた能力を持っていました。種牡馬となってからはほぼエイシンの繁殖牝馬を相手に産駒を送り、エイシンヘーベなどが出ています。他にThunder Gulchの半弟になるバトルラインも日本で種牡馬入りしていますが、目立った産駒は出せていません。

Timeless Moment: Damascus - Hour of Parting by Native Dancer
Timeless MomentはDamascusが初期に送り出した活躍馬で、種牡馬入りしてからGilded Timeを出しました。Gilded Timeは2歳時は4戦4勝でBC Juvenileを勝ちましたが、3歳になるとほとんどレースに使えずわずかに2戦して勝てずに引退しました。しかしBC Sprintに出走して3着に入っています。Gilded Timeは種牡馬入り後、初年度産駒から複数の重賞馬を送り評価を高めました、オーストラリアにもシャトルされるようになり、当地でも好調な産駒成績を収めています。

Cutlass: Damascus - Aphonia by Dunce
CutlassはGambettaの孫であり、テレグノシスと同系統に属するRough Shod系です。現役時は7勝を挙げるものの大きなタイトルは無く、良血に助けられての種牡馬入りとなり、期待に違わず種牡馬としてはそれなりの成功を手にしました。Friendly Loverが後継種牡馬となりファーストシーズンリーディング3位に入りましたが、未だGI馬は出ず、現在はIowaで供用されています。同じく後継種牡馬となったCutlass Realityも活躍馬を出せていません。

Eastern Echo: Damascus - Wild Applause by Northern Dancer
Eastern EchoはDamascus晩年の産駒でPrivate Accountと同じくLa Troienne系です。こちらはSearchingを経由するファミリーで半弟にはRoarが出ています。Swiss Yodelerが2歳に活躍し、種牡馬入りしました。Swiss Yodelerは自身の成績を反映させるかのように2歳戦で強みを見せましたが、まだ大物は出せていません。

Bailjumper: Damascus - Court Circuit by Royal Vale
BailjumperはHonorable Missの全弟で、GIは勝てませんでしたが種牡馬入りしてSkip Trialを出しました。Skip TrialはHuskell Invitational Hなどを勝ちましたが、種牡馬としては人気を集める存在ではなく、毎年数少ない産駒を堅実に勝ち上がらせるタイプの種牡馬でした。その少ない産駒からでたSkip Awayは3歳最後のレースだったJockey Club Gold Cupで倒したCigarの後を継いで北米に君臨した古馬王者で、ぱっとしないレースが続いた明け4歳はJockey Club GCの連覇で立ち直ると、BC Classicを圧勝して見せました。その翌年はWoodward Sまで連勝を続けますが、三連覇のかかるJockey Club GCで敗れ、BC Classicの連覇もなりませんでした。その後引退して種牡馬入りしましたが、これまでのところ大物は出ていません。

このように現在ではPrivate Accountが象徴的であるように母系に埋没する傾向が強くなり、直系の種牡馬としてはGilded Timeが一頭気を吐くという状況であり、期待のSkip Awayもいまいちパッとしないという有様。日本にいるエイシンワシントンにしても相手が限られているわけで今後どこまでやれるかは疑問であるわけで、Captain Steveはガンバレと思うもののJBBA供用種牡馬の例に漏れず種付け頭数を大きく減らしてしまってるのが残念。

January 4, 2006

アイスドールをきっかけに泥縄的に血統の話 3

Teddy
さてDamascusはTeddyの直系です。現代の主流父系であるNorthern Dancer、Nasrullah、Native Dancerを内包するPhalarisとはBend Orまでの流れを共有しています。Teddyの父系はBend Orから16戦無敗の三冠馬Ormondeに分かれていきます。Ormondeは種牡馬生活の後半をアルゼンチンを経てアメリカで送ることになりますが、イギリスでの供用中にSt. Simonの全姉Angelicaとの間にOrmeという後継種牡馬を得ました。Ormeもまた能力に秀でた馬で18戦14勝。10F以下の距離に強いところを見せました。Ormeの後継種牡馬には三冠馬Flying Foxがいて、Galopinの3x2という強いクロスをかけられた彼は種牡馬としてフランスに渡り、5戦無敗のAjaxの父となりました。このAjaxがTeddyの父です。Ormeのもう1頭の有力な後継種牡馬としてOrbyがいて、後に快速血統として名を馳せるThe Bossが出ています。また日本初の三冠馬となったセントライトもOrbyの父系でした。Phalarisが登場するまではBona Vista、Cyllene、Polymelusの流れより上位にあり、Stockwell父系を代表するラインであったと言えるでしょう。
現役時代は第一次世界大戦の影響をまともに受けたTeddyですが、フランスで種牡馬入りし次々に名馬を送りました。後継種牡馬にも恵まれ、フランスと産駒の多くが輸入されたアメリカにおける主流父系にまでのし上がります。Teddyは祖父Flying FoxがGalopinを濃く持ち、母からもGalopinが入りますが、St. Simonは入りません。St. Simonの全姉Angelicaが見える程度です。また、OrmondeはBend OrとMacaroniのニックスを利用していましたが、祖母Doremiもこのニックスを使っています。

Sir Gallahad=Bull Dog
20世紀前半に現れた名繁殖Plucky Liegeを母として産まれたSir Gallahadは仏2000ギニーなどを勝ち種牡馬としてアメリカに輸出されました。Sir GallahadからはFighting Foxが出て、更にその産駒にCrafty Admiralが出ます。Crafty AdmiralはPink Dominoのファミリーの出身で、母父のWar AdmiralからもPink Dominoが入り、更にSir Gallahad=Bull Dogの2x3と言う形でTeddy以前の北米を代表するDomino系とTeddyの血を強く結びつけた配合になっています。後継となったAdmirals Voyageの代で表舞台から姿を消すことになりますが、母系に入って良くAdmirals VoyageはDanzigの母系に名を連ねています。
Sir Gallahadの全弟Bull Dogは兄ほどの現役成績は残せませんでしたが、引退時にはすでに兄がアメリカにおいて名種牡馬としての地位を固めていたので、同じようにアメリカに渡り、種牡馬としては兄以上の成功を収め、北米におけるTeddy系を代表する種牡馬になりました。リーディングサイアーも獲得しますが、それ以上に母父として素晴らしく、Tom FoolやRough'n Tumbleの母父でリーディングBMSを3度獲得しています。その産駒にはBull Leaが現れ、Teddy系の最盛期を担うことになります。Bull LeaはCitationなどを出して大成功を収め、また、父と同じく母父として優れており、Bull Leaの牝馬というのは北米の血統において最も頻出するものの一つです。しかし種牡馬の父としては無残な結果に終わり、16連勝を記録したCitationでさえも種牡馬としては失敗に終わりました。こうしてBull Leaの血はあっという間に勢いをなくして現在ではそのほとんどが牝馬経由で見られるだけとなっています。Bull Leaの後継種牡馬として最も名が知られているのはBull Pageでしょう。カナダの年度代表馬になり、産駒成績は他のBull Leaの後継種牡馬と然程変わらない失敗に終わりますが、牝駒Flaming PageがNijinskyを産んだため、その母父として知られることになりました。また牡駒でカナダの初代三冠馬であるNew Providenceは同じくE.P. Taylorの手が入った馬であり、Storm Birdの母父となりました。
こうしたBull Dog、Sir Gallahadの成功を受けてTeddyは種牡馬生活の後年をアメリカで送ることになります。

AethelstanとAsterus
フランス供用時代に現地に残した後継種牡馬としてはAethelstanとAsterusが挙げられます。
Aethelstanは五代内でHamptonの4x4、Angelica=St. Simonの5x4、Galopinの5x5の他Wellingtoniaの5x5というクロスがあります。フランスに土着した父系で、スタミナ色の強い父系です。代を経てフランスのリーディングサイアーTantiemeを出しています。この末裔からはFidionが日本に輸入されメジロデュレンが出ています。
Asterusはフランスの大生産者Marcel Boussacが初期に手に入れた名馬であり、種牡馬としてもBoussacを支えました。特に母父としての能力が高く、6年連続でフランスのリーディングBMSを獲得しています。Hampton4x4、Gaopin5x5*5、Angelica=St. Simon5x4、Wellingtonia5x5のクロスを持ち、Aethelstanと同じような持ち方をしています。Boussacの生産したAsterus産駒Abjerは母に名牝Zaribaを持ち、St. Simonを強く持つ馬でした。種牡馬としても期待されますが、わずかに2年間の種牡馬生活の後に夭折しましたが、Caravelleなどを出しています。後継種牡馬としてはNosca、Tifinarがおり、Noscaの産駒にFaucheleventがいます。また牝駒Solitudeのファミリーからは後にMaxzeneが出ています。また、Tifinarは凱旋門賞などを勝ったOrosoの父です。

Sun Again
Teddyがアメリカに移ってからの産駒にSun Teddyが出ます。Travers Sで2着という実績を残して種牡馬となり、Sun Againを出しました。Sun Againは母父にStimulusを持ち、Ultimus経由でのDominoが入ります。そこからSun Glow、Sword Dancerを経て現れたのがDamascusです。

April 25, 2006

BLANDFORD

成り行きでBlandfordについて書くことになったので、底が浅いのはご容赦願います。
父系直系としては1990年代に至って急速に凋落し、ドイツとアルゼンチン以外ではほぼ表舞台から姿を消した(北米だとVal d'Orneの後継は次々と失われましたが、Mahmoudの直系でSuper Derbyを勝ったHome at Lastが種牡馬として生き残っている)とはいえ、Blandfordなんてありふれた種牡馬ですので、現代のサラブレッドの血統を10代も調査したら入ってない馬を探す方が困難です。
Blandford自身はイギリスとフランスでリーディングサイアーを獲得。当時は世界的な大種牡馬でした。後継種牡馬にも良種牡馬が揃いますし、母父としての能力も高くその血は欧州を中心に広まりました。
種牡馬としては第二次世界大戦に巻き込まれ必ずしも満足の行く結果ではなかったフランスのBrantome。このBrantomeからはフランスリーディングのVieux Manoirが出て、Val de Loir、更にVal d'Orneとフランスで代を繋ぎ、Val d'OrneはE.P. Taylorの手で種牡馬になった後、北米に渡りPay the Butlerらを出しています。Vieux Manoirの産駒としてはLe Haarも重要です。そこからExbury>Zamazaan>Beau Zamと繋がります。
イギリス三冠馬のBahramはイギリスからアメリカを経由してアルゼンチンにまで流れ、トータルでは必ずしも期待に応えたとは言えませんが、その仔Persian Gulfは種牡馬として成功し、後にドイツで花開くTamerlaneが出ました。TamerlaneからDschingis Khan>Königsstuhl>Monsunと繋がります。また、BahramとMumtaz Mahalの間に出来た娘Mah IranはAlamsharらの牝祖です。Bahramに限らず、Mumtaz MahalのファミリーにはBlandford系種牡馬が欠かせません。
BlenheimはBlandfordの後継種牡馬としては最も成功し、イギリスにおいては純白のダービー馬Mahmoud、テシオの手にDonatelloを、Mumtaz Mahalとの間にスプリンターMirzaとNasrullahの母になるMumtaz Begumを、アメリカに渡って後は三冠馬Whirlaway、Kentucky Derby馬Jet Pilotを出しました。
Mumtaz Mahalの娘Mah Mahalを母とするMahmoudは父と同じくアメリカに渡り、The AxeやCohoesという後継を得た他、AlmahmoudとGrey Flight、Boudoirといった牝馬の父となり、その影響力は絶大です。Cohoesの直系が前出のHome at Lastです。
DonatelloはAlycidon、Crepelloという後継種牡馬を得た他、Aureoleの母父として知られます。AlycidonはAlycide>Remandというラインの他、南米にLacydon>Cipayo>Fitzcarraldというサイアーラインを残しています。一方のCrepelloはイギリスでBusted>BustinoあるいはMtotoという代を経ています。MtotoはShaamitを出し、更にBollin Ericが出ました。Shaamitは亡くなっていますが、Mtotoは現役の種牡馬を続けていますし、Bollin Ericも種牡馬入りし、父系を繋ぐ役割を担います。
Whirlawayは見るべき産駒を残せませんでした。Jet Pilotはその仔Jet Actionが一角の成功を手にしています。
Mirzaは第二次世界大戦の影響を受けた事もあり、波乱の生涯を送りましたが、Skylarkingの父として名を残しました。SkylarkingのファミリーからはBalladeに代表されるSoaringや、グラスワンダーが出るPi Phi Galが出ています。
牝馬Mumtaz BegumはNasrullahを産んだ他、Solarioとの間に牝駒Sun Princessを出しました。Sun PrincessはRoyal Chargerを産んだ他、オセアニア最強繁殖のEight Caratの三代母になるTessa Gillianを産みました。
UmidwarはUdaipurの全弟で、いくつかの重要な牝系に入ることになります。Eclairとの間に産まれたEmaliはAimeeの母であり、このファミリーはBlushing Groomやアグネスデジタルらを出す事になります。Lady Lawlessとの間の娘Uviraは現在Lane's Endの至宝であるMissy Babaを産みましたし、スキーパラダイスが出るObedientをも産んでいます。ラグビーボールらの三代母British RailwaysもUmidwarの娘です。
Windsor Ladはダービーを勝つものの競争馬としては脚の故障もあり、全力を出し切れずに終わりました。その産駒にアイルランド三冠馬となったWindsor Slipperが出ました。Windsor Slipperはその祖母がSimon's Shoesという血統馬で、Rough Shodらと同じファミリーに属し、またVal de Loirも同族になります。Windsor Slipper>Solar Slipper>Panaslipperというラインが存在しました。
Blandfordは牝馬の父としても素晴らしく、Udaipur、Dalmaryを出した他Wild Riskなどの母父です。Udaipurは孫にHindostanが出る他、その末裔にWild AgainやSoda Streamが出ます。DalmaryはRough ShodとJennydangという2頭の基幹牝馬を産んでいます。姉にWindsor Slipperの母Carpet Slipper。Rough ShodからはNureyevを始めとして、Sadler's Wells、Fairy Kingあるいはエルコンドルパサーというのは良く知られた話。JennydangはそのファミリーからThatching、Lorenzaccioまたミスオンワードを出します。

May 3, 2006

Domino the Black Whirlwind

6歳で夭折し、20頭にも満たない産駒を残したにとどまったDomino。しかしこのDominoこそがアメリカ血統をキャラクタライズしているといっても過言ではないほどに後世に影響力を発揮しました。自身Lexingtonの強いクロスを持ちますが、後にDominoの濃いクロスを持った馬が次々に繁殖として成功します。それは丁度スタミナ重視のイギリス競馬からスピードを重視した競馬へと変化するアメリカに、黒き旋風と呼ばれ、類まれなスプリント能力を示したDominoがマッチしたということになるでしょう。
Dominoの後継種牡馬となったのはCommandoですが、彼もまた7歳という若さで世を去りました。その短い種牡馬生活の中で15戦無敗のColin、大種牡馬Peter Panらを送り出しています。さらに注目すべきはDominoの2x2という濃いクロスを持つUltimusの存在です。彼は強い近親交配馬によくあるように未出走のまま種牡馬となり、大きな成功を手に入れています。
またDominoの娘ではSweepを産んだPink Dominoが最重要です。彼女は後にその仔Sweepと末裔John P. Grierを通じてNative Dancerにも影響を与えることになります。
Dominoは三代母Lecomte MareにおいてReel≒Judithという2x2の近親相似クロスを持ち、祖母がLecomte≒War DanceというReelを母とする兄弟クロスを持ちます。ReelとJudithの父はLexington前のアメリカの大種牡馬であり、Lexingtonらにニックスとして使われることでアメリカにおいても最強のBMSになったGlencoeです。War DanceはLexington産駒で、Lecomteはその父のBostonの産駒という極めて似通った血統のクロスです。特にLecomteはLexingtonが現役時に唯一の敗戦を喫した相手でもあります。
この時代既にイギリスではStockwellやNewminsterが現れ、繁栄を誇ったHerod父系の駆逐が始まりますが、アメリカではBostonが最後に残したLexingtonの登場を契機にHerodの楽園が現出することになります。Lexingtonは父BostonにDiomedの3x3というクロスが入り、自身はその仔Sir Archyを3x4と入れています。このSir ArchyはHerodの3x4という形のクロスを持ち、LexingtonはこのHerod-Florizel-Diomed-Sir Archyというアメリカが最初に手に入れた名馬Diomedのラインブリードがかけられています。そこにLeamington x Lexingtonという血統の種牡馬を使って母はLexingtonの3x3を持つようになります。ここにLexingtonを母父に持つ種牡馬Himyarを使って産まれたのがDomino。
その血統はLexingtonが3x4*4でその父Bostonが4x5*5*5となる上、母系にはLexingtonにぶつけるようにReelが4*5という形で入っていることになります。従ってアメリカが血統の独自性を持ち始めた時代の大種牡馬Lexingtonに特化した血統であり、Dominoは3代に渡って準備されたLexingtonの再生であるとも言えます。
Dominoの半姉Lady ReelはLexington x Glencoeという血統の母を持つFellowcraftの産駒で、Glencoe直系のHanoverとの間にHamburgを産んでいます。この父HanoverはGlencoeの仔Vandalを3x3で持つHerod系の近親交配馬で、Herodのラインを強く持つこのHamburgは北米有数の名牝系を築き上げたFrizetteの父となりました。
一方でアメリカにおけるHerod系のフラッグシップを担ったLexington父系はこのDominoの出現と前後して急速に衰退し、欧州に渡った直系にNorfolk=The Nunの全兄妹クロス2x2を持つAmericusを通じてLady Josephineのスピードの核となることで存在感を示したものの、ほぼそのAmericusを最後として表舞台から姿を消しました。アメリカにおけるSt. Simonとも言えましょう。
Dominoは数代に渡る近親交配の結果として純化され、後のクロス対象馬として優れた資質を持っていました。
DominoはLexington、Leamington、Alarmを共有するBen Brushとの間にニックス関係がありました。Peter Panの後継となったBlack Toneyは母父がBen Brushであり、Ben Brushの後継の一翼であるSweepは母父がDominoでした。Ben Brush父系の最後の光輝であるJohn P. Grierは母がDominoの2x3という近親交配馬でした。
Domino系の種牡馬の中でも注目に値するのがUltimusで、彼はDominoの2x2という近親交配馬です。その後継になったStimulusによってアメリカ血統の母系に多く取り込まれる結果になりました。またHigh TimeはUltimusの相手に更に母父がDominoという血統になっていて、Dominoの3*3x2という強力なクロスを得て、多重近交の名種牡馬Eight Thirtyの母父として名を残しました。
後にPink Dominoの末裔からは名牝First Flightが出ていますが、Mahmoudを父とするFirst FlightはDominoとLady JosephineからLexingtonの血を再び融合させることになりました。

May 23, 2006

Eight Caratの一族

この前のEaster Carnivalなんかでは顕著になってましたが、現状のオセアニアにおけるEight Caratの血の勢いというものは凄まじいものですね。丁度昨日はBig Oの産駒もGIを勝ったことだし、このオセアニア最強繁殖牝馬について少しまとめておこうと思った次第。
この一族のファミリーナンバーとしては9-cであり、Tessa Gillianを経由してくるMumtaz Mahalのファミリーです。このTessa GillianはRoyal Chargerの全妹でもあります。
Eight Caratは繁殖牝馬としては最晩年に"The Big O"ことOctagonalを出してその名声を不動のものとしましたが、もともとKaapstadなどを出す名繁殖ではあります。
現在のオセアニアにおいて主流血統たる地位を占めているのは過去に導入され土着したSir Tristramとシャトルサイアーとして君臨したDanehillということになりましょう。
Sir Tristramの後継種牡馬としてはZabeelが有名ですが、Kaapstadも有力な後継種牡馬でありました。今でもZabeelは健在ですが、さすがに御年20歳で後継者が待ち望まれるところであり、OctagonalはLohnroを出してその最有力候補でしたのが、このところちょっと不振かなとは思わせます。今後産駒がデビューするLonhroに期待がかかるところですね。
一方Danehillの後継としてオセアニアでは有力なDanewinはEight Caratの孫ということになります。母Cotehele Houseは現役時代未勝利でしたが、Danewinにその全弟Commandsや孫にもEmerald Dreamが出ました。
あとDe Beersもこの一族ですわな。牝系図出した方が良さげ。
Eight Carat 1975 (by Pieces of Eight)
|Cotehele House 1980 (by My Swanee)
||Theme Song 1987 (by Sackford)
|||Emerald Dream 1996 (by Danehill)
||Danewin 1991 (by Danehill)
||Commands 1996 (by Danehill)
|Diamond Lover 1982 (by Sticks and Stones)
||Antwerp 1988 (by Sir Tristram)
|||Dangerous 1996 (by Danehill)
|||Viscount 1998 (by Quest For Fame)
||Tristalove 1990 (by Sir Tristram)
|||Chimeara 1997 (by Danehill)
||||De Beers 2002 (by Quest For Fame)
|||Viking Ruler 1998 (by Danehill)
|||Kempinsky 2000 (by Danehill)
||Don Eduardo 1998 (by Zabeel)
|Kaapstad 1984 (by Sir Tristram)
|Marquise 1991 (by Gold and Ivory)
||Shower of Roses 1999 (by Zabeel)
|Octagonal 1992 (by Zabeel)
|Mouawad 1993 (by Zabeel)
GI級の馬に注目して抜粋してこんな感じであります。これだけで十分化け物ファミリーです。Eight Caratの産駒のうち5頭がGI馬。
とりあえずこいつらがどんなGIを勝ってきたかというのを一覧にしてみましょう。
■Emerald Dream: Waikato RC International S
■Danewin: Mackinnon S、Caulfield S、Doomben C、Spring Champion S、Rosehill Guineas
■Diamond Lover: Railway H
■Viscount: AJC Sires Produce、Champagne S、George Main S
■Don Eduardo: AJC Derby
■Tristalove: AJC Sires Produce、AJC Oaks
■De Beers: Rosehill Guineas
■Viking Ruler: Spring Champion S
■Kaapstad: VRC Sires Produce
■Marquise: Captain Cook S
■Shower of Roses: Arrowfield Stud S
■Octagonal: AJC Derby、Cox Plate、Mercedes Classic、Australian C、Rosehill Guineas、Canterbury Guineas、AJC Sires Produce、Underwood S、Chipping Norton S
■Mouawad: VATC Futurity S、George Ryder S、Australian Guineas
とかく目立つのがSir Tristram、Zabeelの親仔とDanehill。前者が初期にKaapstad、後にはOctagonalを出したのに対して、後者はDanewinなど。Quest For Fameも2回試されて、その両方がGI馬になるという素晴らしい結果。
種牡馬としても成功する馬が目立つのが特徴です。
Danewinは初期には大物に恵まれませんでしたが、ようやくCounty TyronというGI馬を出すと、その後Elegant Fashion、Toulouse Lautrec、Vitesse DaneとGI馬を出しています。今年もEasterのSire's ProduceをExciteで勝ちましたし、ここに来てようやく良血種牡馬の本領発揮というところはあるでしょう。そしてDanewinの全弟Commandsも種牡馬としてGI馬Paratroopersを出しました。
Kaapstadはオーストラリアで現役を引退した後、ニュージーランドに戻って種牡馬となりました。Kaaptive Emotionを始めとして複数のGI馬を出しました。今年の5/6に体調を損ない、その後安楽死処置が取られています。母父として名が出てくることが多くなりました。

Octagonalはまあ、説明不要かと。現役時GI10勝で、一時はオセアニアの賞金王。種牡馬入りしてもいきなりLonhroが出て、父を超えるGI11勝を挙げる活躍を見せました。また、Octagonalは種牡馬入り当初からフランスへのシャトルが行われていました。
Octagonalの一つ下の全弟Mouawadは故障もあり、通算8戦7勝と向こうの活躍馬としては短いキャリアで引退しました。そのキャリアでGIを3勝と兄に劣らない能力を秘めていたのではありましょう。種牡馬としては偉大なる兄Octagonalの一年後輩としてのスタッドインという事情もあり、すぐに中国に送られたようではあります。
DangerousはGIでは2着止まりでしたが、良血を活かして種牡馬となりました。New South Walesではなく、Victoria州での供用といことで確実に裾野を広げるといったところか。その半弟Viscountは2歳3歳でオーストラリアのトップに立ち期待されましたが、故障で引退。今シーズンに初年度産駒が競争年齢に達しましたがまだ活躍馬は出ておりません。
Viking Rulerは9戦1勝の1勝がGI AJC Spring Champion S。初年度産駒は来シーズンにデビューの予定。また、アイルランドにシャトルされていた模様。Don Eduardoも産駒が来シーズンにデビューを控えています。
最近はOcgtagonalやDanewinを使ってEight Caratのクロスを狙った配合も見られ、ますます発展していくんだろうなってところはありますか。De Beersの半弟の父がさり気無くRubitonだったりするのが凄いなと思ったり。泣ける。
さて、Eight Caratがオーストラリアに輸入されたのは繁殖入り後のことです。半妹のGreat Klaireがオーストラリアで活躍したことがきっかけです。最初の娘Coteheleはイギリスで産んでいますが、未出走でオーストラリアに繁殖として輸入され、Eight Caratの血はオセアニアで繁栄することになりました。
Great Klaireも繁殖として成功していて、その孫にTelesto、Bonanovaの兄妹が出ています。
欧州に残った妹が名スプリンターHabibtiで彼女も孫にMorshdiという活躍馬を得ました。

July 18, 2007

サンデーサイレンスの天下を作ったのは誰か 後編

Hyperionですよ?間違いありません。
いや、忘れてたわけではないんですが、何となく気が乗らなかったり、一度作った下書きを行方不明にしたりしたので…
Hyperionの血などありふれたものには違いありませんが、北米においては今でも一定のHyperionの血が入らない血統は存在します。Mr. Prospectorがそうでしたし、A.P. Indyもそうです。また、Hyperionだったら何でも良いというわけでもないですし、良い中でも特に良いというのもあるわけです。
ということでサンデーサイレンスがこれまでに送り出した43頭のGI馬の血統を簡易に表示してみます。
馬名母父祖母の父三代母の父四代母の父五代母
フジキセキLe FabuleuxIn RealityCornish PrincePrince QuilloVirginia Water
ジェニュインWhat LuckTentamNorthern DancerCanadian ChampReply
ダンスパートナーNijinskyKey to the MintRaise a NativeTom FoolBluehaze
タヤスツヨシCaroBuckpasserBetter SelfBull BrierTilly Kate
マーベラスサンデーVice RegalLaugh AloudNative DancerCourt MartialRun Honey
バブルガムフェローLyphardProminerTabrizTourbillonAstaria
イシノサンデーAlydarRidanPrince JohnWar RelicBeanie M
ダンスインザダークNijinskyKey to the MintRaise a NativeTom FoolBluehaze
サイレンススズカMiswakiAck AckNever BendTudor MinstrelPrecious Lady
ステイゴールドディクタスノーザンテーストプリンスリーギフトPrince ChavalierSylko
スペシャルウィークマルゼンスキーセントクレスピンヒンドスタンプリメロ第二スターカップ
スティンガーAffirmedMinnesota MacChieftainHelioscopeReal Delight
アドマイヤベガトニービンNorthern DancerTom FoolBold RulerAmoret
トゥザヴィクトリーNureyevSharpen UpTerrible TigerSwapsMost Likely
チアズグレイスAl NasrNorthfieldsKashmirPrince TajFloralie
エアシャカールWell DecoratedGleamingRibotOlympiaGolden Trail
アグネスフライトロイヤルスキーリマンドサリーマウントTeneraniDark Brocade
メジロベイリーマルゼンスキーラディガアドミラルバードトシシロマリオン
アグネスタキオンロイヤルスキーリマンドサリーマウントTeneraniDark Brocade
マンハッタンカフェLaw SocietyLucianoTicinoMagnatSchwarzgold
ビリーヴDanzigIcecapadeYoung EmperorOlympiaTrustworthy
ゴールドアリュールNureyevHostageVaguely NobleNever BendCherokee Rose
デュランダルノーザンテーストCreme dela CremeHigh PerchTom FoolMiss Grillo
アドマイヤマックスノーザンテーストヒッティングアウェーDetermineKing DorsettHianne
Sunday JoyDanehillSeventh HusserPipe of PeaceFun FairTide Time
ピースオブワールドCaerleonThatchRoan RocketChamossaireBlue Dun
ネオユニヴァースKrisShantungPall MallWordenSunny Cove
スティルインラブRobertoNorthern DancerCreme dela CremeThe DogeBy Me
アドマイヤグルーヴトニービンノーザンテーストガーサントNever Say DieFeather Ball
ゼンノロブロイMiningClever TrickPia StarRomanHasty Request
ヘヴンリーロマンスSadler's WellsRibotDedicateNasrullahVagrancy
オレハマッテルゼジャッジアンジェルーチノーザンテーストガーサントNever Say DieFeather Ball
ダンスインザムードNijinskyKey to the MintRaise a NativeTom FoolBluehaze
ダイワメジャーノーザンテーストCrimson SatanBeau MaxRoyal ChargerYour Hostess
ダイワエルシエーロドクターデヴィアスDanzigDamascusPrince JohnEvening Belle
スズカマンボKingmamboNijinskyKey to the MintRaise a NativeDinner Partner
ハーツクライトニービンLyphardBupersRevokedMiss Muffet
ハットトリックLost CodeDamascusSwoon's SonAlibhaiOn the Level
ショウナンパントルIn the WingsMiswakiLyphardProminerEuridice
ディープインパクトAlzaoBustedQueen's HusserBorealisHypericum
エアメサイアノーザンテーストWell DecoratedGleamingRibotOn the Trail
スズカフェニックスFairy KingAllegedNorthern DancerSicambreTorbella
フサイチパンドラNureyevBuckpasserTraffic JudgeMr. BusherLate Date
43頭の中で母方に全くHyperionの血が入らないのはタヤスツヨシのみ。残る42頭の母は何らかの形でHyperionを有します。
そしてそれは蔓延するNorthern Dancerを経由したNearctic-Lady Angelaに頼るものではありません。Northern DancerのNearcticはサンデーサイレンスにHyperionを供与するという観点からは役立たないという印象がどこかにあります。勿論Northern Dancerと組み合わせた場合にはHaloとの間でAlmahmoudをクロスさせるということの方が大きいという事情もありますが、どうにもNearcticにHyperionのイメージを抱くことが出来ないのですね。
以上の理由をでっち上げましたので43頭が持つNorthern Dancer中のNearctic以外のHyperionをまとめてみましょう。
その前にサンデーサイレンス自身が持つHyperion。祖母Mountain FlowerがHyperionのクロスを有します。
Mountain Flower
Mountain Flower Montparnasse Gulf Stream Hyperion Gainsborough
Selene
Tide-Way Fair Way
Drift
Mignon Fox Cub Foxhunter
Dorina
Mi Condesa Barranquero
Pethy
Edelweiss Hillary Khaled Hyperion
Eclair
Snow Bunny Boswell
La Rose
Dowager Free France Man O' War
La France
Marcellina Figaro
Belle Mere
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到底一流などとは言えないサンデーサイレンスの母系ですのでMontparnasse、Hillaryという現在サンデーサイレンスの血統以外ではまず見かけることの無い種牡馬を介して取り込むのですが、それぞれの父Gulf StreamとKhaledは良血出身であり、入り方としてはそう文句をつけられるようなものではないでしょう。このうちMontparnasseの父Gulf Streamが果たしている役割はかなり大きいです。一方HillaryはBlack Rayの3X4、Serenissimaの4X4かつGondoletteの5X5*5という思わず目を疑うような牝馬の多重クロスを持ちます。また、両者共に母父がSon-In-Lawの直系である事も注目されるべきでしょう。
Hillary
Hillray Khaled Hyperion Gainsborough Bayardo
Rosedrop
Selene Chaucer
Serenissima
Eclair Ethnarch The Tetrarch
Karenza
Black Ray Black Jester
Lady Brilliant
Snow Bunny Boswell Bosworth Son-in-Law
Serenissima
Flying Gal Sir Gallahad
Finante
La Rose Jacopo Sansovino
Black Ray
La Rambla Sir Gallahad
La Rablee
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ざっと見えるだけでSerenissimaとBlack Rayの2頭の牝馬クロスが見える怪配合。更に言えばSansovinoはSerenissimaの半弟です。
GI馬のHyperion
  • フジキセキ: 母系のVirginia Water(Red Ray)
  • ジェニュイン: Ten Tamの母Mixed Mariage(Tudor Minstrel)
  • ダンスパートナー=ダンスインザダーク=ダンスインザムード: Key to the MintのGraustarkの母父Alibhai
  • マーベラスサンデー: Laugh Aloud(Alycidonの母Aurora)、母系のRun Honey
  • バブルガムフェロー: Prominer(Rockefella)
  • イシノサンデー: Alydarの母系Plum Cake中のPensive
  • サイレンススズカ: Tudor Minstrel
  • ステイゴールド: ノーザンテーストのLady Angela
  • スペシャルウィーク: セントクレスピン(Aureole)
  • スティンガー: Heliopcope(Heliopolis)
  • アドマイヤベガ: トニービン
  • トゥザヴィクトリー: Nureyevの母父Forli、Sharpen Upの母父Rockefella、Sharpen Upの父Atanの母Mixed Marrigae(Tudor Minstrel)、Terrible Tigerの母父Your Host(Alibhai)、Terrible Tigerの父Amerigoの母系Sun Hamlet、Swaps(Khaled)、Most Likely(Heliopolis)
  • チアズグレイス: KashmirのTudor Melody(Tudor Minstrel)
  • エアシャカール: Well Decoratedの母父Majestic Princeの母系Your Hostess(Alibhai)、Well Decoratedの祖母父Tudor Minstrel、Olympia(Heliopolis)
  • アグネスフライト=アグネスタキオン: リマンドのAlycidon(Aurora)、サリーマウントのTudor Minstrel
  • メジロベイリー: ラディガのGraustarkの母父Alibhai、ラディガの母父Swaps(Khaled)、アドミラルバードの母系Aurora
  • マンハッタンカフェ: Law Societyの父Allegedの母系にDetermine(Alibhai)、Law Societyの祖母の父Summer Tan(Heliopolis)、LucianoのTudor Minstrel
  • ビリーヴ: Danzigの母父Admiral's Voyageの母父Olympia(Heliopolis)、Icecapade(Nearctic)、Young Emperorの母系、Olympia(Heliopolis)、Trustworthyの母父Owen Tudor
  • ゴールドアリュール: Nureyevの母父Forli、Vaguely Nobleの祖父Aureole、Vaguely Nobleの母系Tropical Sun
  • デュランダル: ノーザンテーストのLady Angela、Creme dela Cremeの父Olympia(Heliopolis)、High Perchの父Alycidon(Aurora)、High Perchの母系Phaetusa
  • アドマイヤマックス: ノーザンテーストのLady Angela、Determine(Alibhai)
  • Sunday Joy: Danehillの父DanzigからOlympia(Heliopolis)、Danehillの母父His Majestyの母父Alibhai、Seventh HussarのTudor Minstrel、Pipe of PeaceのOwen Tudor
  • ピースオブワールド: Thatch(Forli)、Blue Dunの父の母Sun Chariot
  • ネオユニヴァース: Krisの祖父Atanの母Mixed Marriage(Tudor Minstrel)、Krisの父Sharpen Upの母父Rockefella
  • スティルインラブ: Creme dela Cremeの父Olympia(Heliopolis)
  • アドマイヤグルーヴ: トニービン、ノーザンテーストのLady Angela
  • ゼンノロブロイ: Miningの祖母父Majestic Princeの母系Your Hostess(Alibhai)、Clever Trickの父Icecapade(Nearctic)、Pia Starの父Olympia(Heliopolis)
  • ヘヴンリーロマンス: Sadler's Wellsの祖母父Forli
  • オレハマッテルゼ: ノーザンテーストのLady Angela
  • ダイワメジャー: ノーザンテーストのLady Angela、Your Hostess(Alibhai)
  • ダイワエルシエーロ: ドクターデヴィアスの母父Allegedの祖母父Determine(Alibhai)、Danzigの母父Admiral's Voyageの母父Olympia(Heliopolis)
  • スズカマンボ: Kingmamboの母父Nureyevの母父Forli、Kingmamboの祖母父Prove Outの父Graustark(Alibhai)、Key to the Mintの父Graustark
  • ハーツクライ: トニービン
  • ハットトリック: Lost Codeの父系Arts and Lettersの祖母父Heliopolis、Lost Codeの母系Helioscope(Heliopolis)
  • ショウナンパントル: In the Wingsの父Sadler's Wellsの祖母父Forli、In the Wingsの母父Mill Reefの母系Red Ray、Prominer(Rockefella)
  • ディープインパクト: Borealisの母Aurora、Hypericum
  • エアメサイア: ノーザンテーストのLady Angela、Well Decoratedの母父Majestic Princeの母系Your Hostess(Alibhai)、Well Decoratedの祖母父Tudor Minstrel、On the Railの父Olympia(Heliopolis)
  • スズカフェニックス: Fairy Kingの祖母父Forli、Allegedの祖母父Determine(Alibhai)
  • フサイチパンドラ: Nureyevの母父Forli、Traffic Judge(Alibhai)
トゥザヴィクトリーなどはHyperionの3x3を作ったところから偏執じみてTerrible Tiger、Sharpen Up、NureyevとHyperionのクロス馬ばかり使ったのでフェアリードールは8本のHyperionを8通りの入り方で持つというとんでもないことになっていたりするんですが、全体を通して目立つのはAlibhai、Tudor Minstrel、Heliopolis。この3つを合わせ持つのはトゥザヴィクトリー、エアシャカール、マンハッタンカフェ、エアメサイア、Sunday Joyです。ノーザン、社台、社台、社台、アローフィールド…そりゃ社台のサンデーというようなブランドになっても当然じゃないかなあとも。
トニービンには3本のHyperionのラインが存在します。自身の母系、父Kampalaの母系そして母父Hornbeamです。このうちKampalaのボトムラインであるRock GoddessはRockefellaの姪です。
そのトニービンに入るHyperionとして最も重要なのは自身の母系に入るものでしょう。
Campanette
Campanette Fair Trial Fairway Phalaris Polymelus
Bromus
Scapa Flow Chaucer
Anchora
Lady Juror Son-In-Law Darl Ronald
Mother in Law
Lady Josephine Sundridge
Americus Girl
Calluna Hyperion Gainsborough Bayardo
Rosedrop
Selene Chaucer
Serenissima
Campanula Blandford Swynford
Blanche
Vesper Bell Pommern
St. Catrine
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Viva Patacaの五代母トニービンの三代母です。
HyperionにとってはFair TrialやSwynfordがかなり重要な役割を果たしているといえます。
Alibhai
Alibhai Hyperion Gainsborough Bayardo
Rosedrop
Selene Chaucer
Serenissima
Teresina Tracery Rock Sand
Topiary
Blue It Wild Flower
Petit Bleu
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Alibhaiは北米において最も成功したHyperionの分枝であり、特にBourdoirとの組み合わせが有名です。
Your Host=Your Hostess, Graustark=His Majesty
Your Host
Your Hostess
Alibhai Hyperion Gainsborough
Selene
Teresina Tracery
Blue Tit
Boudoir Mahmoud Blenheim
Mah Mahal
Kampala Clarissimus
La Soupe
Graustark
His Majesty
Ribot Tenerani Gainsborough
Tofanella
Teresina El Greco
Barbara Burrini
Flower Bowl Alibhai Hyperion
Teresina
Flower Bed Beau Pere
Boudoir
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GraustarkとHis Majestyに関しては今更語るようなこともないですが、一つだけ。Flower Bedの父として出てくるBeau Pereですが、これはサンデーサイレンス自身の母系を遡っていくと現れるBelle Mereの全弟になります。サンデーサイレンスの母系はこのBelle Mereの後代で没落していくのですが、ほとんど無名で競争実績も無いFree Franceでも構成してる血は最上級に近くて、そういう血統表の奥での質を落とさなかったということは言えるでしょう。さらにFree FranceとHillaryは近親関係にあります。そういう面では一番弱いUnderstandingですら、その父Promised Landは母父としてSpectacular Bidを出しています。
で、Your HostessはRoyal Chargerを父とする娘Gay HostessからMajestic PrinceやReal Quietが出る北米屈指の名門となります。日本にもスカーレット一族が入ってきています。Royal Chargerを使ったことでSolarioが入り、MahmoudとSun Princessの間にMumtaz MahalやBlenheim、Gainsboroughのクロスを作ることになります。これによってBeau PereとRibotから強固なスタミナを得るGraustarkとはやや趣が異なり、スピードのあるスタミナを有します。
これら以外のAlibhaiの血はKentucky Derby馬DetermineやHasty Roadの半弟Traffic Judgeによって広められています。Determineはファンシミンの父にもなった種牡馬で、他に2歳王者Warfareなどを出しています。一方のTraffic JudgeはBest in Showなどの父となり、後継種牡馬にはDelta Judgeを得ています。
Tudor Minstrel
Tudor Minstrel Owen Tudor Hyperion Gainsborough
Selene
Mary Tudor Pharos
Anna Bolena
Sansonnet Sansovino Swynford
Gondolette
Lady Juror Son-in-Law
Lady Josephine
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Tudor Minstrelは欧州でスピード化したHyperionの分枝です。そのスピードはTudor Minstrelの祖母がLady Josephineの娘Lady Jurorであるというあたりに由来します。このとき母父として得るSansovinoはHyperionの母Seleneの叔父であり、Seleneと酷似した血統を有しており、実質Selene≒Sansovinoで3x2となります。
Selene, Sansovino
Selene Chaucer St. Simon Galopin
St. Angela
Canterbury Pilgrim Tristan
Pilgrimage
Serenissima Minoru Cyllene
Mother Siegel
Gondolette Loved One
Dongola
Sansovino Swynford John O'Gaunt Isinglass
La Fleche
Canterbury Pilgrim Tristan
Pilgrimage
Gondolette Loved One See Saw
Pilgrimage
Dongola Doncaster
Douranee
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Lady JurorはMumtaz MahalがThe Tetrarchによってさらなるスピードを得ていたのに対しSon-In-Lawが入っていますが、このSon-In-LawはHyperionに対するニックスで有名です。Beau PereもSon-In-Law直系にあたりますから、Graustarkらの血統表中にもこのニックスは現れます。Tudor Minstrelは類い希なスピードを示し、自身とその後継者Tudor Melodyの時代にHyperion父系の最大勢力を形成します。その後直系は衰退しながらも欧州の短距離を舞台にかろうじて生き延びています。また、Welsh Pageantなど母系に入っての貢献は計り知れません。
Heliopolis, Gulfstream
Heliopolis Hyperion Gainsborough Bayardo
Rosedrop
Selene Chaucer
Serenissima
Drift Swynford John O'Gaunt
Canterbury Pilgrim
Santa Cruz Neil Gow
Santa Brigida
Gulf Stream Hyperion Gainsborough Bayardo
Rosedrop
Selene Chaucer
Serenissima
Tide-Way Fairway Phalaris
Scapa Flow
Drift Swynford
Santa Cruz
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さて、最後のHeliopolisもAlibhaiと同様北米でスピードに振ったHyperionとして勢力を持ちましたが、こちらはリーディングサイアーを獲得したものの、Alibhaiほど強大な勢力を築いたとは言い難いです。ここに出てきたものでもOlympiaがDanzigの血統内に見られる他は地味です。OlympiaからCreme dela Creme、Rich Creamと優れたスピードを持つ父系でしたが、Rich Creamの代表産駒Creme FraicheはBelmont Sを勝ち、Jockey Culb GCを2勝するようなステイヤーでした。Creme Fraicheはトゥザヴィクトリーの近親でTerrible Tigerまでを共有します。
このHeliopolisは母がDriftで、サンデーサイレンス中のHyperionの片割れであるGulf Streamの叔父であり、笠雄二郎氏の主張する3/4同血クロスを形成します。Driftの父SwynfordはCanterbury Pilgrimの仔であり、Hyperionの母父Chaucerの半弟です。また、Gulf Streamの母父に入るのはFairwayでこれも母父にChaucerを持ちます。Gulf Streamの母となったTide-Wayは英1000ギニーを勝ち、またその姉Sun Streamは英牝馬二冠馬という優れた血統で、Heliopolisがアメリカ、Gulf Streamがアルゼンチンでそれぞれ種牡馬入りし、どちらもリーディングを獲得する成功を収めています。
Forli
Forli Aristophanes Hyperion Gainsborough
Selene
Commotion Mieuxce
Riot
Trevisa Advocate Fair Trial
Guiding Star
Veneta Foxglove
Dogaresa
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Forliも目立ちますがそのすべてがSpecial=Thatchを経由します。ForliはTudor Minstrelと同様Lady Jurorのスピードを享けた血統で、Riot≒Fair Trialの3X3という強いクロスを有します。Riotの父はColoradoでその母CanyonはPhalarisに供された第三のChaucer牝駒であり、Phalarisとの間にColoradoの他にCaerleonを得ています。
Riot, Fair Trial
Riot Colorado Phalaris Polymelus
Bromus
Canyon Chaucer
Glasalt
Lady Juror Son-in-Law Dark Ronald
Mother in Law
Lady Josephine Sundridge
Americus Girl
Fair Trial Fairway Phalaris Polymelus
Bromus
Scapa Flow Chaucer
Anchora
Lady Juror Son-in-Law Dark Ronald
Mother in Law
Lady Josephine Sundridge
Americus Girl
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また、ForliとMontparnasseはどちらも父がアルゼンチンに送られたHyperion直仔であること、母系がアルゼンチンで代を経たこと、そしてイギリスからフランスを経由してアルゼンチンに流れ着くことになるSon-In-Law直系のFoxhunterの血が入ることという共通点を持ちます。とはいえ、Nureyevがトゥザヴィクトリー、ゴールドアリュール、フサイチパンドラと出して成功したのに対してSadler's Wellsはヘヴンリーロマンスがやっとで、Fairy Kingにしてもスズカフェニックスに止まり、Nureyevとの間に差が見られます。Sadler's Wellsらの母父Bold ReasonはHail to Reasonの仔になるので、Hail to Reasonのクロスを嫌ったか、あるいはサンデーサイレンスがNever Bend父系とあまりマッチしないことを重視すれば母方Lalunも気になるところではあります。
といった事を言い始めると限が無くなるのでやりませんが、Princely Giftや、Seattle Slewなども苦手ですし、Mr. Prospectorも条件が揃わなければとは思えるところ。サンデーサイレンスが高いアベレージを誇る種牡馬であったこと自体はは否定しませんが、その中でも得手不得手が存在したというのもまた忘れてはならないと思うところ。
Sadler's WellsがShirley HeightsやHigh Topとの組み合わせで知られるような明快なパターンこそ作りませんが、サンデーサイレンスはHyperionやLady Josephineのようにより古く普遍化している血に依拠したと言える部分はあるのではないかな。そして社台にとっては幸運な事にノーザンテーストやトニービンはその要求を満たす事が出来たと言う事になるのではなかろうか。
無論Hyperionだけに帰するつもりはありませんが、一番分かりやすい例ということで。
Sitemaster

MARIUS / MARL
mail: marius@fairydoll.net
メールはspam判定で巻き込まれる可能性があるので、メールフォームの方が確実です。
メッセンジャーにもいますのでそっちの方がより確実でしょう。
messenger: karl_cz_marius@ホットメールドットコム
IRCやmixiにもいますが、そっちは適当に探してください。
ここしか見ない人もいるので一応。

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