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December 2006 Archive

December 1, 2006

Worldwide GI Races 11

いつもの
DateRaceAreaTrackDistanceWinnerSireDamBroodmare SireFamily NumberSire Line
2006/11/02JBC マイルJPN川崎D1600m ブルーコンコルドフサイチコンコルドエビスファミリーブライアンズタイム7-c アストニシメントNijinsky
2006/11/03JBC クラシックJPN川崎2100mタイムパラドックスブライアンズタイムジョリーザザAlzao14Roberto
2006/11/04VRC Victoria DerbyAUSFlemington2500mEfficientZabeelRefused the DanceDefensive Play9-hSir Tristram
2006/11/04VRC Ascot Vale SAUSFlemington1200mGold EditionLion HunterGlimmersSuccess Express22-dDanehill
2006/11/04VRC Saliner SAUSFlemington1200mDance HeroDanzeroGypsy DancerDance Floor18Danehill
2006/11/04VRC Mackinnon SAUSFlemington2000mDesert WarDesert KingHigh HeelsCanny Lad9-hDanehill
2006/11/04VRC Myer SAUSFlemington1600mLyrical BidSpinning WorldOh Pretty WomanJevington12-cNureyev
2006/11/04Breeders' Cup Juvenile FilliesUSAChurchill DownsD8.5FDreaming of AnnaRahyJustenuffheartBroad Brush2-dBlushing Groom
2006/11/04Breeders' Cup JuvenileUSAChurchill DownsD8.5FStreet SenseStreet CryBedazzleDixieland Band22-bMachiavellian
2006/11/04Breeders' Cup SprintUSAChurchill DownsD6FThor's EchoSwiss YodelerHelen of TroyMr. Integrity1-IDamascus
2006/11/04Breeders' Cup MileUSAChurchill Downs8FMiesque's ApprovalMiesque's SonWin ApprovalWith Approval7Mr. Prospector
2006/11/04Breeders' Cup Filly and Mare TurfUSAChurchill Downs11FOuija BoardCape CrossSelection BoardWelsh Pageant12-bDanzig
2006/11/04Breeders' Cup DistaffUSAChurchill DownsD9FRound PondAwesome AgainGift of DanceTrempolino20-dDeputy Minister
2006/11/04Breeders' Cup TurfUSAChurchill Downs12FRed RocksGalileoPharmacistMachiavellianA29 Alibhai RoseSadler's Wells
2006/11/04Breeders' Cup ClassicUSAChurchill DownsD10FInvasorCandy StripesQuendomInterprete14-cBlushing Groom
2006/11/05Premio RomaITYCapannelle2000mCherry MixLinamixCherry MoonQuiet American1-gLyphard
2006/11/07VRC Melbourne CAUSFlemington3200mDelta BluesDance in the DarkDixie SplashDixieland Band3-dSunday Silence
2006/11/09VRC OaksAUSFlemington2500mMiss FinlandRedoute's ChoiceForest PearlWoodman1-s Moon CactusDanehill
2006/11/11VRC Emirates SAUSFlemington1600mDivine MadonnaHurricane SkyMy MadonnaPrego4-oStar Kingdom
2006/11/11New Zealand 1000 GuineasNZRiccarton Park1600mDorabellaPostponedCaserioKaapstad21-aStorm Bird
2006/11/12エリザベス女王杯JPN京都2200mフサイチパンドラサンデーサイレンスロッタレースNureyev8-f Best In ShowSunday Silence
2006/11/12Criterium de Saint-CloudFRSaint-Cloud2000mPassage of TimeDansiliClepsydraSadler's Wells8-h Blade of TimeDanehill
2006/11/18New Zealand 2000 GuineasNZRiccarton Park1600mMagic CapeMagic AlbertCape CityKaapstad14-bNearco
2006/11/19マイルチャンピオンシップJPN京都1600mダイワメジャーサンデーサイレンススカーレットブーケノーザンテースト4-d BoudoirSunday Silence
2006/11/24Citation HUSAHollywood8.5FAshkal WayAshkalaniGolden WayCadeaux Genereux17-b GoofedNureyev
2006/11/24Clark HUSAChurchill DownsD9FPremium TapPleasant TapPremium RedThirty Six Red5-f Mira femmeHis Majesty
2006/11/25ジャパンカップダートJPN東京D2100m アロンダイトエルコンドルパサーCatherine ParrRiverman16-aKingmambo
2006/11/25Cigar Mile HUSAAqueductD8FDiscreet CatForestryPretty DiscreetPrivate Account2-n Happy MoodStorm Cat
2006/11/25Frank J. de Francis Memorial Dash HUSALaurelD6FThor's EchoSwiss YodelerHelen of TroyMr. Integrity1-IDamascus
2006/11/26ジャパンカップJPN東京2400mディープインパクトサンデーサイレンスウインドインハーヘアAlzao2-f HighclereSunday Silence
2006/11/26Hollywood DerbyUSAHollywood10FShowing UpStrategic MissionMiss AlethiaT.V. Commercial4-nMr. Prospector
2006/11/26Matriarch SUSAHollywood8FPrice TagDansiliTarocchiAffirmed13-c FrizetteDanehill
2006/11/30Levin ClassicNZOtaki1600mPorotene GemPinsRubyfooDanzatore16-hSilly Season
BCもあったし全部で33レース。今回はちょっと趣向を替えて次。

世界の種牡馬情勢2006

欧州の平地シーズンは閉じたし、そろそろリーディングも見ていこうかなという時期ではあるんだが、今年のGIの結果を追いかけていて思ったことあたりを書き連ねてみる。
NORTHERN DANCERS
Danehillがオセアニアで強いという事もあってとにかく目立つのがDanzigの凄さ。既にDanzigの分枝だけでMr. Prospectorに匹敵しつつあるというのがえげつない。2歳世代がラストクロップのDanehillはその最後まで強力な布陣を有して欧州を制圧したとも言える。またDanehillの後継種牡馬陣では、Danehillが最初にトップサイアーとしての地位を獲得したオーストラリアで先行してDanzeroなどがGI馬を出していたが、昨年から欧州でもDanehill Dancerを皮切りに本格的にDanehill後継種牡馬の時代が訪れたとは言えそうで、今年はDansiliがRail Linkを出してクラシックディスタンスまでは問題なくDanehill後継が進出するという形になっている。一方父Danzigも今もってなお現役に産駒が残っている状態で、Ad Valorem、LibrettistなどがGIを勝つなど最後まで活躍馬を出し続けたということにはなるだろう。欧州ではこのDanehill以外のDanzig後継も代を進めて影響力を維持しており、Green DesertのラインからCape CrossやDesert StyleがGI馬を出している。Chief's CrownからのラインはSinndarがまずまずといったあたりで、この状況ではAlamsharが向こうに残されていてもどの程度のチャンスを得られたかってのは微妙なところではないかなとも思われる。Polish Precedentも今年はCourt MasterpieceとDarsiがGIを勝っているが、Court Masterpieceは日本で種牡馬入りになるし、Darsiに至っては急遽National Hunt Stallionになることが決定したというあたり、なかなかこのあたりでGIを勝っていても、欧州には種牡馬としての居所がないというのはあるのかなと。このように欧州の芝に蔓延しつつあるDanzigだが、北米圏でもBelong to MeやLangfuhrという種牡馬が中堅クラスとして踏ん張っていて、LangfuhrからはLawyer Ronなんかが出ている。南半球ではオセアニアでDanehillが圧倒的な存在感を誇り、またDanehill以外のDanzig系も短距離王国オセアニアで強いところを見せるのだが、ダートではあまり目立たないという北米の事情を反映してかアルゼンチンではあまり見かけないし、芝が整備されているブラジルもDanzigの浸透というのはまだ成っていない。ブラジルはNijinskyやらRainbow Quest、Shirley Heightsが目立つのでそこそこスタミナを持ってるのが好きというのはあるのだろう。
NureyevはいろいろなラインからGI馬を出しているがそのほとんどがセン馬か牝馬という状況で、今年牡馬でGIを勝ったのはCosmo BulkとチリのKossimoだけである。特に牝馬の活躍が目立ち、Spinning Worldから出たGI馬は3頭とも牝馬だし、Peintre Celebreも今年はPrideだけといった状況。Pivotalは変わらず距離をこなせるのは牝馬だけだし、StravinskyもSerenade Roseの次が出ない。初年度産駒が2歳で大活躍したFasliyevは3歳になってからがさっぱりで、2年目以降の産駒は2歳戦ですらなかなか見かけなくなってしまった。しかしマイナーな後継からよくこれだけという感じも受けるが。King's SignetだのJoyeux Danseurだのことごとくセン馬ってのはなあ。希望は日本を離れたSoviet Starが昨年のStarcraftに続いて今年もRussian PearlでGI勝ったというあたりか。それにしてもオセアニアが得意という感じは受けるが。あと、AshkalaniがついにAshkal WayでGIを勝ったというのもあるが、このAshkal Wayもセン馬。ブラックホークという事になるのかなあ。日本では2年目の産駒になって萩Sとか福島2歳OPを勝って、上向いてきてはいるのかなと。
Nijinskyはブラジルを中心にRoyal Academyが強いところはあるのだが、それ以外となると寂しい限り。今後Sulamaniが成功するか、ドイツからLomitasがもう一度というあたりに期待をかけるしかないのかなとも。フサイチコンコルドだって悪くはないと思うが。
Sadler's Wellsはほぼ世代交代を果たしてしまったとも言えそうで、初期産駒としては現役時最強クラスだったOld Vicが種牡馬として不発に終わっているものの、In the WingsからSingspielというラインがあるし、Baratheaだって結果を残しているといっても良いだろう。日本にきたOpera Houseだって悪くないとは思えるし、北米にはEl Pradoもいる。南アフリカではFort Woodがトップサイアーとして存在感を示している。これだけの布陣でも不満が出たのはつまるところ自身の真の後継者として、欧州クラシックディスタンスで軸となれる種牡馬に恵まれなかったということに尽きるのではないか。そしてそれは、後年産駒では最強クラスであるMontjeuとGalileoによってなされつつあるといったところではあるだろう。Galileoはやや長距離に向きすぎているかとも思えたが、まだちょっと分からないか。古馬になった産駒がどれくらいやれるかということになりそう。Montjeuは今年の3歳は目立たずで、4歳が踏ん張った部分というのはあるか。今後産駒デビューを控えるHigh Chaparralなんかもいるわけで父系の発展段階という感じはあるかなと。
そのSadler's Wellsの全弟Fairy KingはオーストラリアでEncosta de Lagoがトップクラスのサイアーとして活躍中。日本ではせいぜいヘルスウォールというレベルに留まったHelissioもオーストラリアだとGI馬を出せるので、向こうのレースが合っているということになるのではないかな。今後北半球にEncosta de Lagoが導入されれば面白いかとも思います。そうでなければFalbrav頼みか。血統構成がHelissioに似ているのが不安と言えば不安なんですが、既に欧州にリースもされてるしというところに希望を持っておきたいかなと。そういやOathなんてのもいましたな。インドに行ってしまった模様。
Storm Catはその特徴を見事に受け継いで2歳戦を席巻する役割ではHennessyからJohannesburgへという方向になりつつあると言ったところか。少なくともAshfordはその意図を持っているとは思われ、一時期話題に上ったトレード話もまあないでしょということで落ち着いたかなと。また3歳や古馬で活躍となるとGiant's Causewayは今年GIを勝っているのはAragornだけだが、ステークスクラスの勝ち馬が多く、Blood-Horseの北米供用種牡馬対象のリーディングで3位につけている。一気に30万ドルまで上げた種付け料は来年Privateに変更されている。Discreet Catを出したForestryだが、それ以外ではせいぜいがSmokey GlackenやDiplomat Ladyというレベルなのはちょっとどうかなと思うところもあり。これ以外でも良血の後継種牡馬が人気を集めている。GIを勝てるほどとなると、なかなか厳しく、ニュージーランドの2歳戦でBlach Minnaloushe産駒のJokers Wildが勝ったり、アルゼンチンあたりでBernstein産駒が勝つ程度か。
Storm Cat以外のラインのStorm BirdとなるとほとんどSummer Squallとなった印象。Dolphin Streetがオセアニアで割りと踏ん張っているくらいか。Summer Squallも最良の後継になりえたCharismaticが日本に輸入されてしまっているので、北米に残っている後継はちょっと見劣りがする。
Deputy Ministerは後継種牡馬の時代に入ったとは言えて、Awesome Again、Touch Gold、Silver Deputy、Deputy CommanderなんかがGI馬を出していて、Awesome Againには後継者として大物Ghostzapperがいる。日本にいるFrench Deputyも恵まれた環境で活躍馬を出しているし、こっちの後継にもすでにクロフネが存在するというあたりでしばらくどうということもないかなと。
LyphardはDancing Braveの仔らではキングヘイローが結構面白い種牡馬になってはいる一方でCommander in ChiefとWhite MuzzleはGIに産駒を送り込めなくなっている。フランスでは相変わらずLinamixというところではあるのだが、重用してくれたLagardereは既に亡くなって、自身もそろそろ高齢と言われる段階に差し掛かったあたり、今後はどうなるかなと。Linamixはフランスのリーディング級だったわりに後継種牡馬に恵まれてないので。Fair Mixは障害兼用だったかと思いますし、Sagamixもこの状況ではなあと。Cherry MixがGodolphinの元で種牡馬にさせてもらえたらまだ何とかなりそうかなとは思ったり。Manilaで失敗した北米は壊滅。Bien Bienなんかもそうだけど、結局欧州に渡ってしまったのがほとんど。若くして死んだBien Bien唯一の後継になれそうなBienamadoもアイルランドだし。
その他のNorthern DancerとなるとオーストラリアでGI馬を出しているPentireとか、割と頑張るMarjuとLouis Quatorzeとかになってくるかなと。
NATIVE DANCERS
ほとんどミスプロ。それ以外だとしぶといMajestic Lightのラインともう終わるかと思ったらBrother Derekなんか出してきたAlydarのラインがもう少し粘れそうではある。Affirmedは完全に行き詰まったのでExclusive Nativeのラインは終了しそう。HallingやSelkirkがいるSharpen Upも欧州地盤ということで、しばらく存続できるか。Sea-BirdはBeringの後継が一応American Post、Pennekamp、Urban Oceanあたりでいると言えばそうなるんだが、American Post次第なんだろうなあ。
Mr. Prospector直系の中で現在トップの種付け料なのがKingmambo。コンスタントに活躍馬を出してリーディング上位に入るタイプではなくて、とにかく当たりが出ればとてつもないというのが特徴。しかもとにかく良血牝系に相性が良いということもあって、アベレージを考えてしまうと高額すぎる種付け料でも何とかやってこれたというのはあったんだろうと思われる。来年の種付け料はPrivateと発表されましたが、これは良い方向でのPrivateではないだろう。獲得賞金上位の産駒を見れば、King Kamehameha、American Boss、Star King Man、El Condor Pasa、Lemon Drop Kid、Alkaased、Mambo Twist、Tawqeet、Divine Proportions、Asakusa Kininaruとなり、お前どこの種牡馬だよと言いたくなるのも事実。この形で上位10頭の賞金を比較すればStorm Cat以上であり、北米の現役種牡馬ではトップだろう。まあ、Storm Catは10頭で日本で走った産駒がシーキングザダイヤ、ゲイリーイグレットしか出ないと言えばそうなりますが。A.P. Indyならシンボリインディとアラタマインディな。良駒が次々に流出するとはいえKingmamboの北米での不振はかなり深刻化していて、今年は北米重賞は勝つどころか上位入賞すらままなりません。後継種牡馬も北米より日本、欧州という状況で、エルコンドルパサーを亡くしているもののキングカメハメハを持つ社台、Alkaasedに続いてRule of Lawまで日本に持ってくるDarleyが突出しています。欧州はDubai DestinationとKing's Bestあたりが上位で、北米だと今のところはLemon Drop Kidということになるか。Tawqeetはあの血統なら北米以外ならどこでも種牡馬になれるだろう。
全弟Miesque's SonもWhipperに続いて、Miesque's ApprovalがGIを勝つのだから、マイルくらいに限定されてKingmamboほどの無茶苦茶さは無いとはいえ、血統的なポテンシャルの高さは言うまでも無いところか。そんなあたりでMythic Tribeもなんとかなりませんかね。
Mr. Prospectorの分枝中で最大の繁栄を誇るのがFappiano。UnbridledからUnbridled's Songへのラインが強力なのですが、Quiet AmericanやRubianoのラインも健在。とはいえUnbridled's Songの後継種牡馬が人気を集めていると言うことが大きいと思わされる部分はあります。南米に行けばRoyがおります。Fappioanoの分布としては北米と南米と言ったところで、欧州も日本もさっぱり見かけないし、それはオセアニアも同じ。世代の更新が速く、バリエーションもあるのだが、ダートに特化しすぎているきらいはあるか。
Forty Ninerは日本に輸入される前に北米に残してきた産駒が種牡馬として成功したために評価を高めたというところが大きく、その後End Sweep、Coronado's Questと成功した種牡馬も日本に輸入された。現在北米でのForty Ninerの後継種牡馬としてはDistorted Humorが来期の種付け料が22.5万ドルに達したが、その他となるとちょっと頼りなくて、Ecton Park、Roar、Sunday Breakあたりとなってくる。で、End Sweepなんかもよく考えたら北米に残ってるまともな種牡馬はTrippi位なものか。あとはRich Man's Goldの仔のLido Palaceあたり。まあ、Roarあたりが特にそうだが、シャトルサイアーとして人気になるタイプが多いんで、まあそっちで頑張れってのもあるわけで、これから先北米だとDistorted Humorがどこまで伸びるかということになって来るんでは無いかな。
Gone Westは最近はあまり北米で強い馬が出ていないような感じも受けるが、Mr. GreeleyからEl Corredorという直系の人気は相変わらず高い。Smarty Jonesを出したElusive Qualityもいるわけで、陣容としてはかなり大きいか。Zafonicは欧州の芝でも走れる産駒を出していて、Xaarが出ている。南半球では南アフリカ集中し、Winter SolsticeなどをだしたWestern Winterが強力。またCount DuboisなどZafonicの仔も南アフリカで人気。Came Homeは初年度産駒がデビューしたがいまいちぱっとしない。
Machiavellianは北米ではほぼStreet Cryだけ。欧州で人気のある系統でAlmtawakelやMediceanなどがいる。Almutawakelは今期限りでの種牡馬引退となってしまったようだが、Mediceanは初年度から産駒が好調。中距離くらいまででスピードのある産駒を出している。北米のStreet Cryは今年初年度産駒がデビューしたところだが、その中からBC Juvenileを勝ったStreet Senseが出て上々のスタートである。種付け料も5万ドルに上昇した。
GulchはSpainとPoint Given以降さっぱりだったThunder GulchがBalance、Circular Quayと2年連続で2歳から活躍する馬を出して評価が持ち直してきていることと、Point Givenも初年度産駒のPoint Determine、Go Between、2年目の産駒のPoint Ashleyと出ていて、セカンドクロップリーディングで2位とまずまず。ただし、種付け料は来期は2万ドル減額されて3万ドルになってしまった。
Seeking the Goldは相変わらず安定感が無いが、今年はBob and John、Jazilと2頭のGI馬を出したし、その後継種牡馬になっているMutakddimもまずまず。シャトル先で結果を出している。
Fusaichi Pegasusは自身の人気はまあ落ち着いたと言えるようなところではあるが、血統の良さを背景に初年度産駒からでたRoman Rulerが種牡馬として早くも人気を集める存在となっている。これが産駒でビューまでにどうなるかというのは若干気にかかるところながら、Mr. Prospectorの最後の大物としてのFusaichi Pegasusの立場というのはかなりのものかなと思われるところ。
English Channelを出したSmart Strikeも人気を高めている。それと同時に種付け料も上昇中ではある。
この他マイナーな後継種牡馬が特に南米で暴れてるというのはある。
HAIL TO REASON
大きくはRobertoとHaloの二つに分けられる。このうちRobertoは北米と欧州、Haloは北米、南米、日本を中心とするのが特徴で、Robertoはわりと融通が利くが、Haloは欧州ではさっぱり走らない。
Roberto系の最大勢力はKris S.で、既に結果を出しつつある後継種牡馬がArch。更に晩年に出したRock Hard Tenとシンボリクリスエスがそれぞれ北米と日本で人気を集める種牡馬となり順調。北米芝で存在感を見せるDynaformerは活躍馬に牝馬が多いこともあって、まだ後継種牡馬を得ていない。現在は闘病中のBarbaroが種牡馬として活動できるかどうかにかかっている状況。また、欧州に向いたRobertoとしてはRed Ransomが挙げられ、Sri Pekanなどが後継種牡馬として活躍中。ただし、Electrocutionistを失ったのが痛手なのは間違いないところか。Silver HawkやLear Fanは長く活躍馬を出してきたが、これといった後継種牡馬に恵まれなかった。Silver Hawkからはグラスワンダーが出ているが、ほぼこのグラスワンダーにかかる状況。Lear Fanには期待の持てるクラスの後継が存在しない。ブライアンズタイムはDynaformerと酷似した血統構成で、長く日本でトップサイアーの一翼を占めていたが、その後継者はサンデーサイレンスの猛威の中で存在感を失いつつある。マヤノトップガンが気を吐くくらいでしょうか。あとはタニノギムレットということになってくるかな。まだこれから先に良い馬が出てくる可能性もありますが。
Haloはとにかく日本のサンデーサイレンスの存在が大きい。後継種牡馬からもGI馬が出ているし、オセアニアへのシャトルでも結果を出しつつある。今後は北米や欧州への浸透が待たれるところで、欧州ではフランスに導入されたローゼンカバリーらの存在があるし、Laymanも種牡馬入りした。北米にも既に後継種牡馬がいるが、今後ということになればSilent Nameに掛かってくるところではあるだろう。日本では既にGI級ですら種牡馬としては余ってきているので、適当に見繕って売り渡すなりリースするなりしてやるべきではあるかなとも。北米ではSaint BalladoとDevil's Bagの兄弟の遺産があるのだが、Saint Balladoの方はSaint Liamを失ってちょっと苦しいといった風ではある。Devil's Bagの方もDevil His Dueが頼りになるわけで、Roses in Mayをあっさり日本に売ってるあたりがどうにも。他にはSouthern Halo、More Than Readyの親仔が頑張っている。
Hail to Reasonを通らないところではオセアニアのZabeelということになろうか。随分Danehillとその後継及びEncosta de Lagoに圧されてきているというのはあるんだけど。
NASRULLAH
北米で主流にあるのはSeattle SlewとCaroのライン。Seattle SlewはA.P. Indyがいて安泰。Capoteも頑張ってるとは言えるか。あとはVindicationが今後どうなるかというのもあるし、しばらくは問題ないかなと。
A.P. Indyは北米のトップサイアーの一角として大物をコンスタントに出している。今年はBernardiniの活躍で北米リーディングを獲得するだろう。後継種牡馬はまだこれからといった感じではあるが、初期産駒ではPulpitが成功を収めているし、Stephen Got Even、Golden Missile、Apptitudeも悪くないスタートではあるだろう。そして今後は大物のMineshaftも控えている。
Caroの方もCozzeneとSiberian Expressに分かれて、それぞれAlphabet SoupとIndian Charlieがいる。また、アルゼンチンで頑張ったParade Marshalもいた。
フランスのZeddaan系Highest Honorもしぶとく活躍馬を送り出すラインで、今年はStormy Riverを出している。これと同系のトニービンは後継者ジャングルポケットに期待がかかる状況。また、名種牡馬を続出させたファミリーに連なるテレグノシスもその血統を活かす機会を得れば良いんですけどね。
その他Blushing Groomもその枝が世界に広がっている系統であり、北米の中堅以下に蔓延しているのがMt. LivermoreとRunaway Groom。上位クラスにはRahyがいるが、Rahyは後継にやや難があり、期待出来るのはFantastic Lightということになろうか。また、南米にも強く、アルゼンチンの雄Candy Stripesがいる他、Rainbow Questの後継が南米で活躍している。
Never BendからはMill ReefとRivermanが出てそれぞれに繁栄したが、現在ではShirley Heightsを除いて斜陽。RivermanはIrish Riverの後継がわずかに残るものの、既に北米ではマイナー種牡馬に転落し、スプリント戦などを賑やかす存在になってしまった。一方Shirley Heightsを筆頭とするMill Reefの系統は欧州でAga Khan殿下に重用され、DarshaanからDalakhaniが出た。また、短い距離にはMark of Esteemがいて、Sir PercyやReverenceを出した。一方でDoyounの流れを汲むラインは、先日Daylamiは南アフリカに売られたし、その仔Grey Swallowはオーストラリアと欧州を追われてしまった。あとはKalanisiがいるがどんなものだろ。初年度産駒の活躍はさっぱり聞かない。Aga Khanの庇護がある間は生き残るかとは思われるが。
MINORS
Tom Foolの直系はBuckpasserのラインが北米でマイナー化して残っているのとブラジルでSpend a Buckが頑張っていたという程度。Silly Seasonの方はオセアニアに土着してSnippetsからPinsと出て健在。
Ribotの直系は北米にはHis MajestyからPleasant Colonyと行くのが主流。微妙な種牡馬だったPleasant TapもGI馬が割と出るし、父系としたらタップダンスシチーやDavid Juniorが日本で種牡馬だし、北米にはPremium Tapが残って将来的には種牡馬入りするだろう。Pleasant Colonyの直仔としてPleasantly Perfectもいる。
北米のNearcticの傍流もしぶとい。Northern Dancer以外でもIcecapadeという後継を得ていた事が大きいか。Clever Trickの方はPhone TrickからFavorite Trickと受け継がれていたもののFavorite Trickは十分な後継を残せないまま今年火事で死亡。一方Wild Againの方はWild Rushを日本に輸出してしまったものの、Offlee Wild、Milwaukee Brewなどこのクラスとしては後継に恵まれたと言える。
PrincequilloはMeadowlake次第という状況ではあるが、これが後継に恵まれない。
Hyperionも直系としてはオセアニアでわずかに残るという形になりつつある。Efisioが死んだ時点で欧州でもほぼ終了となってしまったのではないかな。残るはStar Kingdomという事になりそう。
BlandfordはドイツのMonsunと南米で少し残るのみ。
DjebelはオセアニアでRubitonの後継が上手くいくかというあたりで、なかなか良い種牡馬はいない。トウカイテイオーもまだ牝馬を集められてはいるので、何とか後継ができるといいがなあとは思う。一方欧州ではAhonooraの後継が一定の勢力を残している。Inchinorに続いてIndian Ridgeを失ってしまったが、Dr. Deviousが直仔として残る。またIndian Ridge後継としてはNamidがいるし、これからDome DriverやIndian Creek、Indian Heavenの産駒もデビューしてくるのでなんとかなりそうという感じはある。北米のRelaxed Gestureはちょっと微妙か。北米に縁の無い父系だけになあ。InchinorもNotnowcatoが何とか成ればというところか。
ドイツのMonsunへの注目が世界的に高まっているというのはこういった状況に行き詰まりを感じてという部分もあるんだろうなあとは思う。もちろんマイナーで稀少な血統だから注目されていると言ってしまうのはMonsunを馬鹿にし過ぎではあるし、Monsunが注目されるに足る種牡馬としての実績を有しているからではあるんですけどね。

December 8, 2006

12/10 Hong Kong Vase GI Sha-Tin HK Turf 2400m

せめてViva PatacaくらいはVaseに出て来いや。というかこのなげっぷりが流石は香港ってなところではあるんですがね。
No.PostHorseSireDamBroodmare SireJockeyTrainer
19MaraahelAlzaoNasaniceNashwanR. HillsSir Michael R. Stoute
210Collier HillDr. DeviousPolar QueenPolish PrecedentD. McKeownG.A. Swinbank
37EgertonGroom DancerEnricaNiniskiT. MundryP. Rau
45ScorpionMontjeuArdmelodyLaw SocietyJ. HeffernanA.P. O'Brien
58SaturnMarjuDelphinusSoviet StarD. NikolicC. Fownes
62Ouija BoardCape CrossSelection BoardWelsh PageantL. DettoriE. Dunlop
71KastoriaSelkirkKassanaShernazarM. KinaneJ.M. Oxx
83ShamdalaGrand LodgeShamadaraKahyasiC. SoumillonA. de Royar-Dupre
96Song of WindEl Condor PasaMemorial SummerSunday SilenceK. TakeH. Asami
104Admire MainSunday SilencePromotionHector ProtectorY. TakeM. Hashida
ま、さすがにOuija Board相手にどうにかなるとは思えなかったというあたりではあるか。地元調教馬は前年10着というSaturn一頭の馬場貸しモードです。
さて、やはり今年フル稼働ながら前走のJCも3着と気を吐くOuija Board。この最後の最後でガタっと崩れてしまっては台無しですからきっちり締めてくれる事を願っております。こういう言い方をするのもなんだが、相手関係としてはJCよりはるかに楽。今年は春にQueen Elizabeth II Cでも香港に出向いていて、真逆の3着に終わっているのですが、ここの2000mってのはあれこれ言われる秋華賞と大差ないってのはあります。そうなるとスタートをミスると悲惨というパターンに嵌まったところはあります。2400mになればそんな事にはならないだろうし、安心して見ていて良いんではないかなと。
そして異境でOuija Boardに一矢という形でやってきた欧州馬ご一行ですが、これがまたShamdala、Collier Hill、Kastoria、Maraahel、Egerton、Scorpionというある意味壮観な面子。MaraahelとEgerton以外は揃いも揃って「Extendedにようこそ!」されてしまってるような感じではあります。まあ、JCが香港に出走馬を奪われているといってもこれが現実でして、こんなステイヤー連中に府中で走ってもらえないと嘆いたところでなあ。この辺のどの馬が来てようが、場違いと言われてしまうのがオチではないのかと。
さて、Sha-Tinは割と京都に似たサイズのコースながら、スタミナにものを言わせてやりたい馬には良いかなというところもあります。ShamdalaもOuija Boardと同じく2年連続の参戦で、昨年は4着とまずまず。Ouija Boardにまともに向かっていっても無理でしょうから、何とか相手の隙を突くという形が理想かなと。Collier Hillがこの距離で来るパターンってのはほとんど2分30秒を切らないスローの力勝負ですから、Ouija Boardと日本の2頭が走ってその時計ってのはちょっと無いかなとは思われます。Egertonはいまいち狙いどころが分からんなってのはあるわけで、また相手なりに走るという自身の本質を取り戻してるんじゃないかという気もしていたり。今年のHardwicke S勝ち馬たるMaraahelも実績を考えれば上位なんですが、King Georgeで情けないレースをしてたりというのもあるので信頼を置くには足りないでしょう。どうにも10Fの方が得意という印象もあって、そうなるとChampion Sの惨敗というのは気にかかる。KastoriaはカナダでCollier Hillに大敗。Irish St. Leger勝ちではありますが、それよりはもうちょっと短い方が向いている事は確かなんだろう。それでもGIだと余程上手く立ち回らないと厳しいかなと。ScorpionはBC Turfでは2番手追走も直線伸びず。まだまだだろうとは思われます。
鞍上が兄弟対決となる日本馬2騎は菊花賞と同様、逃げるAdmire Mainと追い込むSong of Windとなるのでしょう。そうなるとJCでもアレだけの末脚を見せたOuija Boardを両者がどの程度意識するかとはなるだろう。Admire Mainとしてはどこかでペースを落としてレースを作りたいのだろうが、Scorpionあたりがそれを許してくれるかということになりそう。ただ、他に何が何でも逃げるというタイプもいないのでやりやすいレースではないかな。マークは後ろのOuija Boardが引きつけてくれるし。

Result

勝ち時計2:27.1ってのはステイヤーサイドの連中が来るような時計ではないようにも思えたが。
1.Collier Hill: Dr. Devious - Polar Queen by Polish Precedent
2.Kastoria: Selkirk - Kassana by Shernazar
3.Shamdala: Grand Lodge - Shamadara by Kahyasi
4.Song of Wind: El Condor Pasa - Memorial Summer by Sunday Silence
5.Maraahel: Alzao - Nasanice by Nashwan
6.Egerton: Groom Dancer - Enrica by Niniski
7.Scorpion: Montjeu - Ardmelody by Law Society
8.Admire Main: Sunday Silence - Promotion by Hector Protector
9.Saturn: Marju - Delphinus by Soviet Star
Non Runner: Ouija Board
スタートから飛び出してAdmire Mainが引っ張る展開。外から掛かり気味にSaturnがつけ、ScorpionとCollier Hillがそれに続く。そこからやや離れてKastoria、Egerton、Maraahel、Shamdalaと固まっていて更に離れたSong of Windは最後方。向こう正面に入るとSong of WindとShamdalaが並ぶような位置取り。Admire Mainはペースを落とさず、ラップは25.6-23.7-24.7-24.5で3,4コーナー。4コーナーでSong of Windが外から進出を始めて、一方のShamdalaは内を突く構え。直線を向いて外から先頭に並びかけたCollier Hillがリードを取り、Song of Windは一時Egertonまで交わして二番手にまでポジションを上げてきたがそれ以上伸びず。Shamdalaは内からこのSong of Windを交わしたがそれまで。最後は直線ギリギリまで溜めたKastoriaが一気に差し込んでCollier Hillに並びかけたが、わずかに届かず。Kastoriaの勢いは完全にCollier Hillを上回っていたが、直線でSong of Windの外に出すのにやや手間取ったかという部分もあったかなと。
ほぼ平均ペースで引っ張ったAdmire Mainが直線で力尽きて沈んだあたり、時計の割にスタミナを削る馬場だったのかなとも思われます。Egertonも内埒沿いで伸びてないし、Maraahelも最後の一伸びがない。その一方でCollier Hillが粘るし、最後はKastoriaが飛んでくるのだからなあ…

12/10 Hong Kong Sprint GI Sha-Tin HK Turf 1200m

どうやらこれまでの直線1000mではなく、1200mとなった模様。
No.PostHorseSireDamBroodmare SireJockeyTrainer
112Takeover TargetCeltic SwingShady StreamArchregentJ. FordJ. Janiak
24Desert LordGreen DesertRed CarnivalMr. ProspectorN. CallanK.A. Ryan
314Red OogBrief TruceMary JuliaZoffanyH. BowmanJ. Pride
47Meisho BowlerTaiki ShuttleNice RaiseStorm CatY. FukunagaT. Shirai
53BenbaunStravinskyEscape to VictorySalseJ. SpencerM.J. Wallace
66ScintillationDanehillSubterfugeMachiavellianG. MosseC.S. Shum
72Silent WitnessEl MoxieJade TiaraBureaucracyF. CoetzeeA.S. Cruz
88Sunny SingSri PekanSagradaPrimo DominieC. SoumillonJ. Moore
91Natural BlitzMaroofMiiharoBletchinglyA. DelpechD. Cruz
109Able PrinceHurricane SkyQueens ChoirPalace MusicM. NunesJ. Moore
1113Down TownScenicTwainKenvainO. DoleuzeC.H. Yip
125Absolute ChampionMaraudingBeauty BelleIdeal PlanetB. PrebbleD.J. Hall
1310Billet ExpressKeltricePazzihiManihiD. WhyteJ. Moore
1411She is ToshoSakura Bakushin OJane ToshoTosho FleetK. IkezoeA. Tsurudome
しかし藤田小姐と来たかw
Takeover Targetが既にGlobal Sprint Challengeの王座を確定したためかLes Arcsは居りません。しかしそのTakeover Targetにしてもボーナスを獲得するためにはこのレースを勝たねばなりませんので本気で獲りに来ているレースとなるのは間違いの無いところ。追いきりでは最後の400mを21.4だそうで…オバケだよ。しかし周回コースとなったので外枠を引いたのが嫌かなとも。
これを中山で彼の4着に終わったSilent Witnessが地元の利を活かして迎え撃つというのが基本線か。こういうところで2番枠を引く当たりの勝負運の良さってのは素晴らしいですな。先手を取って直線粘りこみを狙う事になるでしょう。
一方そのスプリンターズSで2着のMeisho Bowler。復活かと思ったらスワンSが9着と分からない馬ではある。スプリンターズSのようなレースになってくれたらというところではあろうが、香港でそれを望むのは高望みか。
Royal Randwick開催のTJ Smithを勝ったオーストラリアのRed Oogもまともに走れば怖い存在。
She is Toshoにとっては苦手な部類のコース形状ではあるだろうし厳しいかなと。

Result

距離が変わろうとも地元馬の有利は変わらず。
1.Absolute Champion: Marauding - Beauty Belle by Ideal Planet
2.Silent Witness: El Moxie - Jade Tiara by Bureaucracy
3.Benbaun: Stravinsky - Escape to Victory by Salse
4.Down Town: Scenic - Twain by Kenvain
5.Sunny Sing: Sri Pekan - Sagrada by Primo Dominie
6.Billet Express: Keltrice - Pazzihi by Manihi
7.Able Prince: Hurricane Sky - Queens Choir by Palace Music
8.Scintillation: Danehill - Subterfuge by Machiavellian
9.Red Oog: Brief Truce - Mary Julia by Zoffany
10.She is Tosho: Sakura Bakushin O - Jane Tosho by Tosho Fleet
11.Natural Blitz: Maroof - Miiharo by Bletchingly
12.Desert Lord: Green Desert - Red Carnival by Mr. Prospector
競争中止: Meisho Bowler
Non Runner: Takeover Target
Takeover Targetは事前のテストで体内から薬物が検出されていたためスクラッチ。Meisho Bowlerは競争中止。
というところでAbsolute Championでした。2着のSilent Witnessに4馬身1/4差をつける圧勝。22.9-21.8-23.1とまとめてレコードタイム。
Natural Blitzと並びながらDesert Lordが引っ張る展開。この2頭は完全にオーバーペースとなり直線に入ってすぐに失速。Silent WitnessやAbsolute Championは馬群の中でレースを進めていて、直線に入ってからAbsolute Championが瞬発力にものを言わせて馬群を突き放し、Silent Witnessもジリジリと伸びてくるが、差を詰められずに終わった。 Meisho Bowlerはスタートから歩いている状態。

12/10 Hong Kong Mile GI Sha-Tin HK Turf 1600m

当日一番難しいレースかと思われ。
No.PostHorseSireDamBroodmare SireJockeyTrainer
17Bullish LuckRoyal AcademyWild VintageAlyshebaB. PrebbleA.S. Cruz
212RamontiMartino AlonsoFoscaEl Gran SenorE. BottiA. Botti
311MustameetShamHamasahIrish RiverD. McDonoghK. Prendergast
42Joyful WinnerEl MoxieNorthern TycoonLast TycoonC. SoumillonJ. Moore
510Russian PearlSoviet StarVelindaVelosoE. Saint-MartinA.S. Cruz
65ArmadaTowkayDance in TimeRed TempoD. WhyteJ. Size
713LinngariIndian RidgeLidakiyaKahyasiG. SchofieldH. Brown
83Rebel RebelRevoqueFrench QuarterIle de BourbonE. PradoR. Dutrow Jr.
98Bowman's CrossingDolphin StreetBirayaValiyarG. MosseC. Fownes
104The DukeDanehillMer du SudBluebirdO. DoleuzeC. Fownes
116Floral PegasusFusaichi PegasusCrown CrestMill ReefL. DettoriA.S. Cruz
129Dave's BestBishop of CashelBrightsideLast TycoonM. KinaneC.H. Yip
131Sir ErnestoDanehillBrise de MerBeringF. CoetzeeD. Cruz
1414Dance in the MoodSunday SilenceDancing KeyNijinskyY. TakeK. Fujisawa
安田記念で日本のマイラー陣を蹴散らしたBullish Luckですが、今シーズンは状態が良くないらしく、初戦を大敗。続くMile Trialでも6着と本調子とは言えないか。
そのMile Trialを勝ったのはArmada。香港で8戦して7勝という戦績を誇ります。香港の次代のマイルエースという事になるかなと。
そのTrialで2着はThe Duke。以下Floral Pegasus、Sir Ernesto、Vengeance of Rain、Bullish Luck、Bowman's Crossing、Art Trader、Russian Pearl、Joyful Winner、Dave's Bestという順。Joyful Winnerも今シーズン2戦してさっぱりというあたり、安田記念が厳しいレースだったとは言えるか。アサクサデンエンも秋はさっぱりだしな。一方で安田記念を凡走したThe Dukeはしっかり調整されているあたり、遠征は難しいねとも。
さて、その安田記念では5着だったDance in the Moodが参戦します。どうにもダイワメジャーに勝てないので、ダイワメジャーのいないレースをという感じに見ておくと良いかなとも思われ、まともなら牡馬にも伍せる能力というのは何度も示していますし、問題だった気性も落ち着いて安定したってのは大きな事ではあるだろう。
欧州からはVittorio di Capuaを勝ったRamonti、Foret2着のLinngari、Royal Whip Sを勝ったMustameetが参戦。Ramontiがどこまでやれるかという事になるか。アメリカからはRebel Rebel。実績としてはWoodbine Mileを2着程度。

Result

香港は苦手っぽいなあ。
1.The Duke: Danehill - Mer du Sud by Bluebird
2.Armada: Towkay - Dance in Time by Red Tempo
3.Ramonti: Martino Alonso - Fosca by El Gran Senor
4.Bullish Luck: Royal Academy - Wild Vintage by Alysheba
5.Linngari: Indian Ridge - Lidakiya by Kahyasi
6.Joyful Winner: El Moxie - Northern Tycoon by Last Tycoon
7.Floral Pegasus: Fusaichi Pegasus - Crown Crest by Mill Reef
8.Rebel Rebel: Revoque - French Quarter by Ile de Bourbon
9.Sir Ernesto: Danehill - Brise de Mer by Bering
10.Russian Pearl: Soviet Star - Velinda by Veloso
11.Bowman's Crossing: Dolphin Street - Biraya by Valiyar
12.Dance in the Mood: Sunday Silence - Dancing Key by Nijinsky
13.Dave's Best: Bishop of Cashel - Brightside by Last Tycoon
14.Mustameet: Sahm - Hamasah by Irish River
Ramontiが先頭に立ち、Sir Ernestoがそれに競りかける。The Dukeは3番手で後続馬群を引っ張る位置につけていた。Armadaはその馬群の中で、Bullish LuckやDance in the Moodはその後ろ。埒沿いを粘るRamontiを残り200mというあたりでThe Dukeが交わすとそのままゴール。Armadaは外から一気に差を詰めてきたが届かず。更に馬群が殺到するもののRamontiがギリギリ3着でBullish Luckもなんとか4着を確保したといったところ。
香港のマイル戦線も世代交代かというところで高齢馬The Dukeが意地を見せたというようなところもありますが、Armadaも十分なレースかとは思うので来年のAsian Mile Challengeを狙ったら面白そうです。
Dance in the Moodは本当に香港が嫌いなんですね。

12/10 Hong Kong Cup GI Sha-Tin HK Turf 2000m

名牝たちのターフを去るとき。
No.PostHorseSireDamBroodmare SireJockeyTrainer
12Vengeance of RainZabeelDanelaghDanehillA. DelpechD.E. Ferraris
28Viva PatacaMarjuComicBe My ChiefC. SoumillonJ. Moore
37GrowlMontjeuThe Lions RoarWestern SymphonyC. WilliamsD.A. Hayes
46Hello PrettyDistorted HumorBlazing AuraBlazing SwordB. PrebbleA.S. Cruz
512Art TraderArchMathDevil's BagE. Saint-MartinJ. Moore
61High IntelligentAnabaaParty DancerParty LeaderD. WhyteJ. Size
74Admire MoonEnd SweepMy KatiesSunday SilenceY. TakeH. Matsuda
89PridePeintre CelebreSpecificityAllegedC. LemaireA. de Royar-Dupre
910Alexander GoldrunGold AwayRenashaanDarshaanK. ManningJ.S. Bolger
105Satwa QueenMuhtathirTolgaIrish RiverL. DettoriJ. de Roualle
1111Dia de la NoviaSunday SilencePotrizallisPotrillazoY. FukunagaK. Sumii
123Musical WayGold AwayMulikaProcidaR. ThomasP. van de Poele
3年連続の参戦となるのがAlexander Goldrun。2年前に勝ち、昨年は直線の不利で勝負にならず。そして今年、現役最後の舞台としてまたこの場に立つ事になりました。今年はPretty Polly Sの1勝に留まっていますが、Nassau SではOuija Boardと今年のベストレースとも称されるほどの激戦を演じていますし、Irish Champion Sを3着ならそう悪くない内容。マイルに出向いたMatron SでSpinning Queenに真逆のぶっちぎりを許してしまったのが気になるところですが、この馬は10Fでこそというところもありますし、香港は期待しても良いところではあります。しかしこれだけ香港に来ているAlexander Goldrunがついに淀に姿を現す機会を得なかった事はJRAの失態かなと思うところはあるわけですよ。こういう馬にはJCというよりエリ女で誘いを掛けた方が良いんじゃないかなとも(しつこい
一方こちらは2年連続の参戦になるPride。欧州でHurricane Runを葬り去ったその実力は今年のメンバー中随一。この馬もエリ女だったら来てくれても良かったんじゃないかと妄想するわけですが、まあ凱旋門の前後でかなり出走間隔が詰まったので仕方ないのはあるか。昨年はスローペースでVengeance of Rainを捉えきれずではあったが、今年ならスローでも問題なく差し切ってしまえるだけの末脚ではあるだろう。
Satwa Queenは今年になってGII Jean Romanetを勝つと、Operaを2着と頭角を現した。BC FMTは見所無く5着に終わっているが、Prix de l'OperaでMandeshaに3/4馬身差というのは評価されるべきではあるだろう。
前走でさすがにそこまで3着ばかり続くものかと思ったら、繰り上がってしっかり定位置確保のDia de la Noviaはさすがとしか言いようが無いが、この相手なりの差し脚は面白い反面、この場にはPrideを始めとして強力な差し脚を持っている馬も多いので難しいところはあるかなと。牡馬相手でも怯むような馬ではないし、包まれない外枠も恵まれたといって良いかと。というかPride、Alexander Goldrun、Dia de la Noviaと外に並べたHKJCはGJです。
さて、地元馬としては昨年の覇者Vengeance of Rainと昨シーズンのDerby馬Viva Patacaという事にはなるか。Vengeance of Rainは今年の前半を休養に充て、NZに帰っていたのだが、そこからレースへの復帰は遅れて10月の終わりになってようやく出走した。1200m、1600mと明らかに調整代わりのレースを使っての急仕上げではありますが、2000mクラスでの強さは本物。前走のMile Trialも直線に入っても反応が鈍く、最後に一気に飛んできたが明らかに距離不足。斤量背負ってということも考えれば5着でも悪い内容ではないといえるか。昨年以上になって戻ってきたPrideと張るにはどうかとも思われるが、今年も上位に食い込んでくるのは間違いないだろう。
Viva PatacaはHong Kong DerbyとChampions and Charter Cをともに柔らかい馬場で制した。今シーズンは前走のCup Trialで3着だが、直線でHello Prettyとの差が詰まらないどころか引き離されたというのは気になる。これだったらVaseでOuija Boardらにぶつける方が良かったのではないかという気もしなくはない。
Tiralを勝ったHello Prettyは今シーズン2連勝で大舞台に挑戦となった。Trialは強い勝ち方だったが、どうかなと。
Admire Moonは札幌記念は古馬相手とはいえ楽な相手だったからと思っていたら天皇賞でも上がり最速で3着に食い込んできたあたり、2000mという距離は合うのだろう。マイルを走るより2000mで大成して欲しいなと思うところではある。このコースは差し馬が直線まで馬群に包まれて身動きが取れないというパターンが散見されるので、それに嵌まらなければ良いなと思いますが、内目の枠に入ってしまったんだよなあ。

Result

欧州馬の意地を見た。 1.Pride: Peintre Celebre - Specificity by Alleged
2.Admire Moon: End Sweep - My Katies by Sunday Silence
3.Vengeance of Rain: Zabeel - Danelagh by Danehill
4.Viva Pataca: Marju - Comic by Be My Chief
5.Art Trader: Arch - Math by Devil's Bag
6.Satwa Queen: Muhtathir - Tolga by Irish River
7.Dia de la Novia: Sunday Silence - Potrizallis by Potrillazo
8.Hello Pretty: Distorted Humor - Blazing Aura by Blazing Sword
9.Alexander Goldrun: Gold Away - Renashaan by Darshaan
10.Musical Way: Gold Away - Mulika by Procida
11.Growl: Montjeu - The Lions Roar by Western Symphony
12.High Intelligent: Anabaa - Party Dancer by Party Leader
High Intelligentが先頭に立ち、Hello Pretty、Growlという形でレースを作って、その後ろが香港のVengeance of RainとViva Patacaが並んで続く。Dia de la Noviaは好スタートを切ったが1,2コーナーまでに下げて向こう正面では最後方。他の有力馬もDia de la Noviaの前にPride、Admire Moonが並んで、更にその前がAlexander Goldrunと後ろに集まっていた。最初に動いたのがAlexander Goldrunで、コーナーを回りながら進出。大外から良い形で直線に向いたがそこからの伸びが無い。前の方ではVengeance of Rainが外から先行馬を交わしに掛かり、Prideもやや早めの仕掛けで4コーナーで順位を押し上げる。このPrideについていく形になったのがAdmire Moon。直線の半ばで先頭に立ったVengence of RainをPrideが交わすと後は後ろから差してくるAdmire Moonとの勝負になり、Admire Moonは並びかけ、写真判定となったが短頭差でPrideが凌ぎきっていた。
Prideとしては昨年のことがあるから早めに仕掛けたというのはあると思われます。Admire MoonはAlexander GoldrunやPrideが動いたときにすぐにはついていかずやや溜めるような形で直線の入り口あたりからというところはあり、その段階では外にDia de la Noviaがいてどうかという部分もあったが、Prideが一気に行ったおかげで進路ができ、Viva Pataca、Vengeance of Rainを一気に葬るもののPrideを差し切るまでには至らず。香港の2騎は好位から直線で抜け出そうとしたものの、意外に早くPrideが来たのが誤算といえばそうなるか。Dia de la Noviaも直線の入り口ではAdmire Moonと並ぶような位置にいたがそこからの脚がありませんでした。Alexander Goldrunは前を交わす前にPrideらに交わされて終了。
今年の香港はVase、Mile、Cupでゴール前接戦となりましたが、その全てで追い込んできた方がわずかに届かないという形。差しが効かないというんではなく、それだけ勝った方が最後しぶとかったということにはなるだろう。
結局Ouija Boardはレースに出走することなく引退。Prideは勝ってターフを去り、Alexander GoldrunとDance in the Moodはやや残念な形で終わりとなってしまったなあ…と。

December 10, 2006

12/9 Hollywood Turf Cup GI Hollywood CA Turf 12F

メンバーいまいちだが、今の北米芝の古馬だったらこんなもんかなと思うところもあるか。
PostHorseSireDamBroodmare SireJockey
1Artiste RoyalDanehillAgatheManilaCorey S. Nakatani
2Meteor StormBig StoneHunt the SunRainbow QuestVictor Espinoza
3CosmonautLemon Drop KidCosmic FireCapoteJulien R. Leparoux
4Symphony SidUnbridledHappy TuneA.P. IndyMichael C. Baze
5T.H. ApprovalWith ApprovalPotrichalPotrillazoAlex O. Solis
6Mighty MysteriousMystery Storm Bourbon StarForty NinerDanny Sorenson
7BobomanKingmamboSlewveraSeattle SlewGarrett K. Gomez
8Runaway DancerRunaway GroomSalsa DancerDaharAaron T. Gryder
さて、この程度のメンバーならまだMeteor Stormが大きな顔をしていられると言う部分はあるのかなという気もしますが、もうそろそろMeteor Stormは良かろうとも。
そうなったら、10Fだとちょっと距離が足りないながらも相手関係からすれば十分にチャンスがあるT.H. Approvalあたりに期待ということになりますかね。
まあ、CosmonautがここでGI勝ったら萌えるという程度に見ておきますです。

Result

素で距離を勘違いしてました。12Fだよバカタレ。
1.Boboman: Kingmambo - Slewvera by Seattle Slew
2.Runaway Dancer: Runaway Groom - Salsa Dancer by Dahar
3.Artiste Royal: Danehill - Agathe by Manila
3.Meteor Storm: Big Stone - Hunt the Sun by Rainbow Quest
5.Cosmonaut: Lemon Drop Kid - Cosmic Fire by Capote
6.Symphony Sid: Unbridled - Happy Tune by A.P. Indy
7.T.H. Approval: With Approval - Potrichal by Potrillazo
8.Mighty Mysterious: Mystery Storm - Bourbon Star by Forty Niner
Artiste RoyalとMeteor Stormが3着同着。
逃げたのはSymphony Kidながら直線で早々に脱落。Meteor Stormが先頭に立ちましたが、直線の半ばでBobomanがこれを交わし、更にRunaway Dancerが一気に追い込んだものの届かずBobomanがGIどころかステークス初勝利を決めました。Meteor Stormは最後にArtiste Royalに並ばれるがこれはなんとか同着で凌いだ。
それでこの距離ならというところがあったかと思う一番人気のT.H. Approvalは全く良いところなく後方侭。
ステークスレコードで勝ったBobomanはKingmambo産駒の5歳馬。Wertheimerの自家生産馬。フランスでデビューして4戦1勝の後Mandella厩舎に移籍するも1戦だけで負傷して休養入り。今年故障から復帰して本格化していたという感じでDel Marのマイルを連続で3着したあと、芝転向して3連勝してGIをとってしまったということになるか。

December 13, 2006

海外遠征を振り返る

移転された有芝まはる殿下がネタを振っておられるので食いつく。移転記念でトラックバックも投げてみるかな。
殿下執務室2.0 β1: 2006年の海外遠征を振り返る
まぁ有芝の拠って立つところからすればある程度それも致し方ないので(少なくともディープが現役である限りは、有芝は「ディープの語り部」であることを免れない気がするので)、出来れば他の誰かに色々複眼的な視点を含むようなエントリをこのお題で期待してみたいところではあるかな。
ということらしいので非力を承知でちょっとやってみるかなと。
ユートピア(GII Godolphin Mile)
とりあえず、Godolphinも買ったんならちゃんと使えと。
ま、取り巻く環境が変わってしまう訳ですしこういった移籍をして、レースに使うというのは困難が多いというのは、欧州→北米、南米→北米という移籍でも見受けられる事態ではあります。その上で明らかに引退後の種牡馬入りを前提とした価格で購入した以上、下手にレースに使うというわけにも行かなかったとはなりますかね。今年ちゃんと使えていれば来年から種牡馬入りだったんだろうなと思われますが、移籍して1戦も出来なかったのでは、現役続行も仕方ないかなと思われる部分はあるかな。どこで走らせるかというのも難しいところかとは思われますが。
ハーツクライ(GI Dubai Sheema Classic、King George)
今年はこの2戦とJCの3戦のみというのはどう考えても不満。レースに対して慎重になりすぎているとは思います。一方でJC前後の状況を鑑みるにそうせざるを得ない部分があったにはあったかとも。Sheema Classicに参戦する欧州馬の状態はシーズン初戦の遠征であるからして推して知るべしというものではあろうかと思うのですが、それでも直線で他馬を寄せ付けない圧勝を演じたことにけちがつくわけではありません。その後キングジョージに参戦して惜しい3着。言うまでも無く欧州クラシックディスタンスの頂点として凱旋門賞に並び立つこのレースに三強の一角として参戦し、それに相応しいパフォーマンスを示したことも日本競馬の実力を世界に知らしめることになったのは間違いないでしょう。
コスモバルク(GI Singapore Airline's International)
コスモバルクは日本でGIを走る限りは良くいる善戦屋としての立場を超える事は出来なかったでしょう。そういうクラスの競走馬が、海外のGIでもレベルとしてやや落ちるレースを狙い済まして参戦するならば勝機は十分にあるということを示したとは言えるか。この種の機会を得るべき日本の競走馬たちはこれまでにも数多く存在していました。しかし、その挑戦を実現させることが出来たのはほんの一握りでした。この結果を手にしたコスモバルクは賞賛されるべきだが、これをコスモバルクだけのものに留めてはいけないということにはなります。その意味では来年コスモバルクのような挑戦を敢行する陣営が現れるかどうかは注目すべきで、アドマイヤムーンがその候補になるのではないかなと。
ディープインパクト(GI Prix de l'Arc de Triomphe)
今年の日本馬の海外遠征とはキングジョージと凱旋門賞という欧州を代表するクラシックディスタンスのレースに出走が叶い、そしてそのどちらのレースでも有力馬として扱われたということに尽きるのではなかろうか。ハーツクライとディープインパクトはそこでその評価に相応しいパフォーマンスを見せたのだし、この欧州トップのレースが既に手を伸ばせば届くところにあるということを改めて思わせてくれたことは大きい。
結果的に薬物検出で失格となったわけだが、検出された物質は競争能力の向上には寄与しない。3位入線という事実はそのままに受け取ってよいと考えます。
更にディープインパクトの素晴らしかったところは海外遠征のその前後で破綻を見せていないということも挙げられます。トップクラスの馬がそのピークを維持する事が特に困難なサンデーサイレンス産駒にあって、2年間頂点を極めつづけたということは頭抜けた実績であり、それが海外遠征を挟んでのものであればなおさらです。スペシャルウィークですら軽いスランプを経験し、ゼンノロブロイは良い終わりを得なかったということを考えればディープインパクトが如何に優れているかの一端が垣間見えるでしょう。
アサヒライジング(GI American Oaks Invitational)
今年で3年連続日本馬が挑戦したAmerican Oaks Invt.は3歳牝馬にとって優駿牝馬後の選択肢に定着したとも言えます。ダンスインザムード、シーザリオに継いだ今年のアサヒライジングは先駆者2頭とは異なり春のクラシックを勝てませんでしたが、このレースで2着に入りました。このような世代限定戦で毎年のように結果を残すということは日本競馬全体のレベル向上を示す一例としてよいのではないでしょうか。
ダンスインザムード(GIII CashCall Invitational、GI Hong Kong Mile)
Hollywood Parkは好きだが、Sha-Tinが大嫌いな社台のお嬢様。
今年は安田記念をBullish Luckに勝たれ、香港ではダンスインザムードが惨敗とマイルでやられているが、昨年のマイルはハットトリックが制しているのだし、ダンスインザムードについては今年は大丈夫かと思ったがやっぱりダメだったという程度ではある。日本と香港のマイル路線はまず拮抗していると言ってよいだろうし、そうなれば後は安定して実力を発揮できる馬かどうかという個体の問題に帰していくとは思われる。
デルタブルース、ポップロック(GI Caulfield C、Melbourne C)
昨年惨敗したアイポッパーの借りを一年で返したMelbourne Cでのフィニッシュは今年打ち立てられた最大のマイルストーンです。既に競馬の中心が短距離にシフトして久しいオーストラリア競馬であり、今年の出走メンバーにオーストラリアのチャンピオンステイヤーとして彼らを迎え撃つ馬がいなかったとはいえ、Melbourne Cの歴史と伝統は別格。その勝ち馬リストに日本産の日本調教馬の名が刻まれたことの意義はこれまでに日本馬が海外で手にしてきたどんな勲章よりも大きなものではないか。
ソングオブウインド、アドマイヤメイン(GI Hong Kong Vase)
菊花賞からJCにも有馬にも向かないで香港Vaseという選択は昨年のシックスセンスもそうだったが、これは国内に手のつけられない馬がいるという事情によるとしても良いでしょう。基本的に香港Vaseは国内でそれらのGIを取れる見込みの無い馬による遠征であります(と言えばステイゴールドに起こられるかも知れんが)。ソングオブウインドはレース後故障判明(レース前から気にしていたとの話もあるくらい)であるならばこの結果によってどうのということは出来ない。アドマイヤメインはペースを外したということになるか。
アドマイヤムーン、ディアデラノビア(GI Hong Kong Cup)
Pride相手に写真判定に持ち込む2着ならばアドマイヤムーンの強さは本物としてよいでしょう。相手は今年の欧州ナンバー1であります。ディアデラノビアに関してはもとよりこのレースでどこまで通用するかという話でしかなく、勝負にならなかったと言って悲観することは無いでしょう。
薬物
今年はディープインパクトが引っかかったため日本で話題になったということではありますが、ディープインパクトだけがそうなのではないということでもあります。
GIに関るところではBrass HatもDubai World Cup2着を取り消されているし、Takeover Targetは香港Sprintに出走できなかった。また、北米リーディングトレーナーのPletcher師も管理馬から出走後に薬物が検出されたとして調教停止処分を受けることが濃厚になりつつあります。
しかしこれらの事件で検出される薬物は競技能力を向上させることを目的としたいわゆる「ドーピング」には該当しないものであるということは認識されていなければなりません。ディープインパクトの件が発覚した時点でヒトの競技でのアンチドーピングに絡めてあれこれという意見が散見されたのですが、根本の考え方が違うのでそれは間違い。一方で欧州競馬は潔癖すぎないかという事例もあるようで、1972さまに拠れば(*1)フランスのトロット競馬で製造工場のミスによって混入したビタミンCが問題視されて、結果失格とされるという事件もあった模様。これなどはビタミンCは通常検出されても問題にならないはずの物質であるわけでして、過剰反応するにも程があるというレベルかとは思われます。飼料から多めにビタミンCを摂らせた場合とどう違いが出るのかと。
(*1)あさ◎コラム: プレッチャー師、調教師停止処分が濃厚にの後段
遠征期間
ハーツクライにしろ、ディープインパクトにせよレース出走までの滞在期間はまだ長い。
サラブnetのコラムにおいて野元賢一氏がディープインパクトの遠征をエルコンドルパサーのそれと比較して「退行」であると断じているが、これは全く逆である。私に言わせれば、エルコンドルパサーのような特殊な前例をいつまでも崇め奉っていてはダメとなる。そもそもあの年のエルコンドルパサーを日本調教馬と言えたものか。籍だけJRAの二ノ宮厩舎に置いてあるならば、それを根拠に日本調教馬と強弁するのか?
また野元氏は上記コラムの続編において
斤量差に不平を言う前に、3歳時に遠征することを考慮すべきである。「日本の無敗の三冠」と「非欧州馬初の凱旋門賞制覇」を量りにかければ、答えはおのずと明らかだろう。なぜ、後者が選択されなかったかは知るよしもないが、三冠を待望する競馬界の空気と、当事者の眼前の利益が一致していたことは指摘できる。
(10/16)敗戦から何をくみ取るか(2) 凱旋門賞から
という指摘をなされているが、それだけの価値を日本の三冠体系がいまだ有しており、だからこそデルタブルースが出現しているのであると反論しておきたい。昨年ディープインパクトが本家におけるNashwanの業を背負う選択を為したならば、それを起点として日本においてクラシック三冠が保持していた権威は霧散したであろうし、菊花賞は多くのSt. Legerの運命を追うことになったと思われる。
欧州域外の馬が、目に見える犠牲を払わずに勝ちに行くのは、無理な話だったと言わざるを得ない。
同上
特別なことをしなければ勝てないというのではまだまだなのである。そしてディープインパクトはその種の特別な手を打たずとも凱旋門賞で勝負になった馬であるという事を誇りに思えば良いのだ。ハーツクライにしてもそこまでの手を尽くさずともキングジョージで勝負が出来たのだからどちらもエルコンドルパサーの頃と比べると「進歩」している。しかしこれはまだその途上であるに過ぎない。その最終到達目標は数年前に佐々木師がタップダンスシチーで目論んだ短期間の遠征であるはずだ。JCを走りに来る外国馬のほとんどは2週間前程度になってから来日する。彼らは1ヶ月、2ヶ月もかけて現地で調整などしない。現地のレースに慣らせるために本番前に一度使うならばともかく、長期間の滞在はまだ海外遠征が特別なものとなっている証左であろう。海外のレースに出走することが特別なことでないという認識が共通のものになったときにこそ、日本の競馬は真に国際化を達成したと言えようし、その状態で勝ち負けを繰り返すことが出来たときこそ日本競馬が欧米に肩を並べたと言う事ができる。
そしてアメリカ西海岸Hollywoodへの遠征でそれは実現されているとも言える。次はこのやり方で欧州を取りに行かなければならない。
有馬記念には香港を使ったアドマイヤメイン、アドマイヤムーンが登録したが、このように遠征後すぐでも馬の状態が許せばレースに使うという姿勢を見せるのも当たり前のことであると認識されていけば良いだろう。
海外からの遠征
安田記念に香港から3騎。香港のマイル馬のレベルを知らしめたということにはなるか。
スプリンターズSには4騎。Global Sprint Challangeはオセアニアの馬にとってちょうど良い開催時期である反面、日本、イギリスから参戦するにはやや難しい時期というのはあると思われる。それでもこのシリーズがあったからこそイギリスからLes Arcs参戦となったわけである。日本のスプリンターに駒が無いというのも事実ながらシリーズの前半で存在感を持ち得ない現状には問題があるかと思われる。
エリザベス女王杯には遠征馬無しという事態になった。今年は牝馬の活躍が例年以上に目立った欧州競馬シーンから1頭もつれて来れなかった事はJRAの失態となるだろう。
昨年がゼロだったマイルCSにはCourt Masterpieceが参戦している。引退後は日本で種牡馬という事情があったにせよ海外馬がゼロにならなかったのは良しとすべきか。
JCダートにも遠征馬無し。どのクラスの馬を狙って呼ぶかというのは難しいところではあろうが。
JCは2頭ながらもOuija Board参戦なら文句は出ない。この素晴らしき牝馬は残念なことに古傷を再発させて香港の引退レースに出られなかったわけだが、当たり前のように世界各地を転戦した陣営を見習うべきところはあるのではないかな。

December 23, 2006

有馬記念 GI 中山 2500m

Am Ende der Geschichte: 物語の終わりに
2年に渡るディープインパクトの物語はこの有馬記念を以ってひとまず終焉を迎える。第二幕が彼のこの現役馬としての輝きに匹敵するかどうかはともかく、現役馬としての物語の幕を綺麗に下ろしてもらいたいというのが正直な気持ちではあるかな。
馬名母父騎手調教師
1ポップロックエリシオポップスサンデーサイレンスO. ペリエ角居勝彦
2デルタブルースダンスインザダークディクシースプラッシュDixieland Band岩田康誠角居勝彦
3ドリームパスポートフジキセキグレースランドトニービン内田博幸松田博資
4ディープインパクトサンデーサイレンスウインドインハーヘアAlzao武豊池江泰郎
5ダイワメジャーサンデーサイレンススカーレットブーケノーザンテースト安藤勝己上原博之
6スイープトウショウエンドスウィープタバサトウショウダンシングブレーヴ池添謙一鶴留明雄
7コスモバルクザグレブイセノトウショウトウショウボーイ五十嵐冬樹田部和則
8メイショウサムソンオペラハウスマイヴィヴィアンダンシングブレーヴ石橋守瀬戸口勉
9トウショウナイトティンバーカントリーミッドナイトオアシスJava Gold武士沢友治保田一隆
10アドマイヤメインサンデーサイレンスプロモーションヘクタープロテクター柴田善臣橋田満
11スウィフトカレントサンデーサイレンスホワイトウォーターアフェアMachiavellian横山典弘森秀行
12アドマイヤフジアドマイヤベガアドマイヤラピスBe My Guest武幸四郎橋田満
13ウインジェネラーレタマモクロスマヤノカンパネラヤマニンスキー蛯名正義国枝栄
14トーセンシャナオーサンデーサイレンスジョウノエンジェルトウショウボーイ勝浦正樹森秀行
この出馬表を見て最初に思ったのはJRAのネタを作る能力というか空気の読み方というものはなかなかどうして侮れないものがあるなというところではあったり。とりあえず8番までの並びには感動すら覚えるw。
Melbourne Cのワンツーでオセアニアを震撼させたデルタブルースとポップロックが並んで1枠を占める。デルタブルースは昨年の有馬記念、今年の天皇賞春と見るにどうにもGIになると頼りないという印象すら受けたのだが、オーストラリア遠征で見事に復活したと言って良いか。春の天皇賞のイメージから高速馬場に対応しないという意見も聞かれますが、3歳時のレースのイメージなら問題無いかと思われます。この馬の場合はダンスインザダーク産駒に一般的にみられるここ一番と言う舞台での勝負弱さというのをやっぱり抱えているんだろうという気もしますが。ポップロックに関してはMelbourne Cの2着とはいえ、デルタブルースとは大きな斤量差があってのものですから、デルタブルースと比較して一枚劣るというのは否定できないでしょう。今年になってから500万下から一気に駆け上がって4連勝で目黒記念を勝ちましたが、馬場が悪化したレースになったのがこの馬には向いたというところもあるかなと思われ、国内のトップクラスとぶつけるには厳しいのではないかなと。
菊花賞、JCと連続で2着に入ったドリームパスポートは菊花賞のあとはJCか有馬記念かどちらか一つという選択になりがちな3歳馬が多い中で破綻の無いレースを続けつつ両方に出走ということは褒められて良いのではないかなと。その上で今回ドリームパスポートがどこまでこなせるかというのは注目なのですが、押し切って勝つというところまでには行けそうもないか。割とこの手の安定感のある馬がシーズンの最後に息切れというパターンもあるだけに注意したいところではあるけど。
ディープインパクトは中山より東京の方が向いているのは確かだろうが、そんなことはディープインパクトにとっては今更といったことではあるだろうし、これほどの馬が苦手な舞台だからなどと言ってはいけないだろう。というわけでディープインパクトにとっては昨年2着に敗れて初めて土をつけられたこのレースをしっかり勝って終わる以外にない。レース後に引退式をやるという予定は実のところあまり歓迎しないが、圧勝して舞台を去ったシンボリクリスエスのように誰にも文句をつけられない強さを見せて去って欲しいものである。
天皇賞秋、マイルCSとGIを連勝してこの舞台に立つのがダイワメジャー。ここを勝てば変則ながら秋のGIを3連勝となる。ダイワメジャーにとっては距離をこなせるかどうかというのが最大のポイントになるだろう。有馬記念は2500mという距離の割にはスタミナを要求しないレースでもあるわけで、秋の天皇賞を勝てるくらいなら十分ではないかとは思われます。またダイワメジャー自身が2番手あたりで先行して抜け出すというパターンで勝つ馬だけに直線の短いコースは得意とする部類でしょう。ただ、最後の粘りという部分で距離の影響は受けるかも知れず、問題は先行するであろうアドマイヤメインのペースとどのタイミングでこれを処理して先頭に立つかというところに尽きるか。
有馬記念やJCを走りに来る牝馬は無条件で好きになる事にしているのでスイープトウショウの参戦は大歓迎。ではあるのですが、追い込んで勝負のスイープトウショウにとってはあまり嬉しくない舞台と相手ではあると思われます。好きだから馬券は買うけどなあ。
すっかり優等生になってしまったコスモバルクはJCの直線で見せた粘りは健在なものの、その一方で3歳の頃に持っていた怖さを失ったような印象も受ける。ややレベルの落ちたレースとはいえシンガポールで国際GIというタイトルを手に入れてきたことが、陣営に良い意味で力を抜けさせているのではないか。それがこの秋に見せている安定に繋がっているのなら皮肉なものだが、いろいろな形の展開への対応ができるようになったとはいえ勝ち切るところにまでは手が届かないのだろう。
二冠馬メイショウサムソンの秋シーズンは物足りない。菊花賞、JCと走ったが何よりもJCの直線入り口でディープインパクトにあっさり千切られているようではここで逆転をという期待は掛けづらい。それでもこの舞台に上るというのなら、二冠馬としての意地を一つ上の三冠馬たるディープインパクトにぶつけてくれば良いのかなとも。
トウショウナイトは秋になってから馬が変わったのかとも思われるようなところはあるが、基本的に秋から冬のこの手の距離を得意とする馬ではあるんだろう。アルゼンチン共和国杯を勝って、昔日経賞とかで2着していた頃の状態には戻ったということで良いかなと。ただ、それでこの舞台というのはやや敷居が高かろうなあとも。
香港から中1週のアドマイヤメイン。アドマイヤムーンは結果的に回避となったが、あっちは2000mに拘ったローテーションを踏めばいいかなとは思うのでアドマイヤメインで十分です。逃げてレースを作る役割を担いそうで、アドマイヤメインのペースでレースが決まるということになるのではなかろうか。ダイワメジャーは大人しくついていくだけだろうし、コスモバルクも今の様子なら突付きに来る馬もいなそうで望みどおりのペースを作る事はできるだろう。ただ、ダイワメジャーが大人しいのは4コーナーを回るまでではあるだろうし、何よりディープインパクトがいるとなれば少し早めに仕掛けてリードを可能な限り大きく取りたいとは思われ、そうなるとアドマイヤメインにとっては嬉しくない事態にはなるかと。
スウィフトカレントも距離に自信を持てるような馬ではないわけで、JCの結果というのがこの馬のレベルを示しているといって良いのではないかな。前で勝負できるダイワメジャーならともかくスウィフトカレントのようなタイプで勝負できるとは思えない。
日経新春杯後に骨折、復帰戦に予定していたアルゼンチン共和国杯にも出走できずに有馬記念で復帰となったのがアドマイヤフジ。4歳馬がディープインパクトとこのような状況のアドマイヤフジだけというのは確かに問題ではあるか。インティライミやシックスセンスが結果的につぶれてしまったという事情はあるし、トップレベルの層の薄さではあるだろうが。この1戦を以ってディープインパクトが引退となる以上、アドマイヤフジは来年奮起してもらわなければならない馬ではあるでしょう。長期休み明けになるとはいえ調教の調子が良さそうというのはプラスか。
タマモクロス産駒の最後のGIランナーになりそうなウインジェネラーレだが、その種のセンチメンタルを起想するに留まる。トーセンシャナオーも菊花賞とJCのレース振りでよくここに出走してきたなとは思えるが、まあそれはそれということで有馬記念だし良いじゃないかとかは思う。
日本競馬史上で2頭だけの無敗の三冠馬。シンボリルドルフも古馬初挑戦のJCに負け、海外挑戦のSan Luis Rey Sも敗退した。海外遠征においてディープインパクトが失格なら、シンボリルドルフは故障して引退に追い込まれるという失望を味わった。こうした部分で彼らは似ている。シンボリルドルフには有馬記念連覇があるが、その一方で秋の天皇賞で不覚を取った。ディープインパクトは4歳の内に海外遠征を行った。シンボリルドルフは計画こそあったものの軽い故障もあって実現できなかった。彼らの違いの出る部分である。しかしシンボリルドルフは古馬になって2度目の挑戦でJCを勝ち雪辱している。ならば、ディープインパクトも当然のように勝たねばならない。勝ってシンボリルドルフに並ぶ七冠馬にならなければならない。引退のこのレースを飾り、英雄は皇帝になるのだ。
ディープインパクトが負けることは考えられないというのではなく、どんな展開になろうとも負けて欲しくはないというのが本音である。ディープインパクトのキャリアにおいて2度目というのはこの有馬記念だけであり、最後にまたしても土をつけられてしまったならば、それは画竜点睛を欠くというやつである。初めて敗戦を経験したレースをその1年後に引退の花道とする事ができればこれもまたドラマであるし、ディープインパクト自身の歴史はもちろんのこと、有馬記念というレースの歴史にも深く刻み込まれることになるだろう。

Result

Turn the Wheel Again, A New Beginning, Another End
3コーナーから加速し、馬群の外を切り裂いて伸びるいつも通りのディープインパクトの競馬であった。これについていける者は無く、彼は最後のウイニングランを披露した。
1.ディープインパクト: サンデーサイレンス - ウインドインハーヘア by Alzao
2.ポップロック: エリシオ - ポップス by サンデーサイレンス
3.ダイワメジャー: サンデーサイレンス - スカーレットブーケ by ノーザンテースト
4.ドリームパスポート: フジキセキ - グレースランド by トニービン
5.メイショウサムソン: オペラハウス - マイヴィヴィアン by ダンシングブレーヴ
6.デルタブルース: ダンスインザダーク - ディクシースプラッシュ by Dixieland Band
7.トウショウナイト: ティンバーカントリー - ミッドナイトオアシス by Java Gold
8.アドマイヤフジ: アドマイヤベガ - アドマイヤラピス by Be My Guest
9.アドマイヤメイン: サンデーサイレンス - プロモーション by ヘクタープロテクター
10.スイープトウショウ: エンドスウィープ - タバサトウショウ by ダンシングブレーヴ
11.コスモバルク: ザグレブ - イセノトウショウ by トウショウボーイ
12.スウィフトカレント: サンデーサイレンス - ホワイトウォーターアフェア by Machiavellian
13.ウインジェネラーレ: タマモクロス - マヤノカンパネラ by ヤマニンスキー
14.トーセンシャナオー: サンデーサイレンス - ジョウノエンジェル by トウショウボーイ
ラップタイム: 7.1 - 11.5 - 11.4 - 11.3 - 11.8 - 12.8 - 12.9 - 12.7 - 12.2 - 12.8 - 12.2 - 11.2 - 12.0
桁違いの33.8という上がりをマークして余裕の3馬身差。ある程度JCで勝負を付けてしまったという部分はあって(ディープインパクトが中山を苦手とするってのは追い込み脚質が向かない程度の話でしかないとは思ったわけですし)、この有馬記念は一年前の雪辱という側面が強く、また引退レースを勝ってターフを去るというのはディープインパクト物語にとって欠くべからざるピースではあったでしょう。結果、ディープインパクトはそれに応え、そしてデビューして以来2年間に及ぶ現役生活の幕を引いた。
スタートから行ったのはアドマイヤメインだが、他馬はこれに付き合わない。後続馬群はダイワメジャーが引っ張る形であり、これはこの秋の天皇賞、マイルCSとほぼ同様のパターン。ダイワメジャーという馬の能力もさることながら展開が味方するという部分は大きい。アドマイヤメインが速いペースで引っ張ったのはほぼ1000mあたりまでで、そこから1コーナーに差し掛かるあたりでペースを落としているというのがラップから読み取れるのだが、映像を見る限りではこの時点でも後続は差を詰めていない。このあたりの駆け引きがダイワメジャーの心得たところでもあるのだろう。結果的にダイワメジャーは脚を溜めることが出来た。向こう正面から3コーナーに入る地点になってこの差が詰まって、4コーナーまでのコーナーリングでダイワメジャーが先頭に立つものの、既にディープインパクトが外からいつも通りの次元の違う末脚を伸ばし始めていた。ダイワメジャーの通る内は止まらない馬場になっていたが、関係無く外から交わしていくディープインパクト。これまでにも何度も繰り返された光景はやはりここでも変わらなかった。抜け出したディープインパクトを差せる馬など無く、最後は流しながらのゴール。ダイワメジャーもこの舞台を走る中距離向き先行馬としてのセオリー通りの走りを見せて粘ったが、ポップロックの末脚に屈した。そしてドリームパスポートはダイワメジャーを交わせず4着。メイショウサムソンは早めに仕掛けてダイワメジャーと並ぶように直線を向いたが、結果5着に終わった。デルタブルースは前につけたが見せ場の一つすら作れないまま終わった。そのあたりは実にダンスインザダーク産駒らしいと言ってしまえばそうなるか。コスモバルクは前に行かず中団のやや後ろという印象すら受ける位置取りで、直線に賭けたのかと思いきや、その直線で見るべきものは無し。位置取りを間違ったと言えばそれまでなのかも知れないが、もうちょっと何とかできなかったかなあ。
ディープインパクトに関してはこれ以上言う事など無い。そのレーススタイルには少なからず批判があったが、彼の実力はその批判を黙らせる事が出来た。3コーナーからゴールまで伸び切れる問答無用の末脚。一頭だけ違ったスピードで4コーナーを回る姿に魅了される。それこそがディープインパクトであった。
さて、2着に来たポップロックは本格化していたということにはなるのだろう。それでもオーストラリアでの活躍は(僚友に比して)軽斤量であったことと、エリシオ産駒は向こうにこそ向いているという印象であっただけにこれは驚かされた結果でもある。この距離が最も得意であるといえばそうなるのではあろうが、それにしてもとは思わされる。ダイワメジャーは理想的な展開であり、これで3着なら仕方が無いとはいえる。
思うにこの有馬記念はアドマイヤメインを無視して(実際相手にされてなかったし)、ダイワメジャーこそがレースを引っ張った馬と考えれば、2001年の再現なのである。ダイワメジャーはトゥザヴィクトリーであり、ポップロックはアメリカンボスである。だからこそメイショウサムソンは5着でなければならなかった…とデムパ。
来年以降となればディープインパクトは去るが、ポップロック、ダイワメジャー、ドリームパスポート、メイショウサムソンが現役に残る。ポップロックはまだちょっと分からないかという部分があり、ダイワメジャーはまたマイル-中距離に戻るだろう。ならば来年の古馬の中心を張るべきなのはドリームパスポートとメイショウサムソンである。秋になり立場を逆転させたとはいえ、この最後にメイショウサムソンも春2冠馬としての矜持をぶつけにいったことは評価出来るし、仕上がってさえいればと思わせるに十分なものではあった。
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MARIUS / MARL
mail: marius@fairydoll.net
メールはspam判定で巻き込まれる可能性があるので、メールフォームの方が確実です。
メッセンジャーにもいますのでそっちの方がより確実でしょう。
messenger: karl_cz_marius@ホットメールドットコム
IRCやmixiにもいますが、そっちは適当に探してください。
ここしか見ない人もいるので一応。

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